前十字靭帯の基本的なテーピングの紹介をします。
テーピングの巻き方は十人十色で、その時の選手の状態によって変化することは前提として理解していただきたいです。
私は現在プロバスケチームでトレーナーとして活動しています。
この記事では前十字靭帯に対する基本的なテーピングを紹介します。
この記事を読むことで前十字靭帯の役割やテーピングの知識を知り、あなたのスポーツ活動に役立てていただければ幸いです。
前十字靭帯とは
膝の靭帯の種類
膝には靭帯が主に5つあります
- 膝蓋靭帯 (お皿と下腿を繋ぐ靭帯)
- 内側側副靱帯 (膝の内側)
- 外側側副靭帯 (膝の外側)
- 前十字靭帯 (膝の中にある)
- 後十字靭帯 (膝の中にある)
その中でもスポーツで最も重要なのが前十字靭帯になります。
ストップや切り返し動作、ターンやスイングなどの回転動作などにおいて膝の安定性を保つ役割があります。
前十字靭帯の役割
前十字靭帯の役割としては
- 大腿骨(ももの骨)に対して下腿(スネの骨)が前方への動きを制限する
- 膝を捻った時に動きすぎないよう制限する働き
大きな働きとしては上記になり、その他の靭帯とともに膝の安定性を保っています。
前十字靭帯が損傷してしまうと、捻れの動作が不安定となり、大きく動いてしまうことで、膝がズレる感覚が起こったり、半月板に負担がかかってしまうことがあります。
前十字靭帯が損傷すると
- 膝が不安定となりズレる感覚がでる
- 膝の間にある半月板に負担がかかり損傷する
- 膝の軟骨にも負担がかかり、変形してしまう
- ストップ動作や切り返し動作に力が入らない
- 回転動作が怖くなる
上記のようなことがスポーツ中に起こりうる現象となります。
そのため、将来的にもスポーツ選手の場合は手術が必須になることが圧倒的です。
手術のタイミング
怪我をしてしまったタイミングや年代によっても手術のタイミングは異なる場合があります。
- 中学生の場合は骨の成長期になるため手術できない場合もあります
- 高校生・大学生では大切な試合や大会によっていつ手術をするのか選択肢にも
- プロ選手の場合はすぐに手術を行い選手のキャリアを優先します
- 社会人の場合は仕事のタイミングなども影響するかと思います。
そのため、場合によっては手術をする前に試合を行わなければならないケースも出てくる場合があります。
その際にはテーピングや装具で対応しなければならないケースもあるのかと思います。
テーピングの種類
- アンダーラップ
- 伸縮ソフト50mm/75mm(手で切れるタイプ)
- 伸縮ハード50mm/75mm(手で切れないタイプ)
身長によってテーピングの太さは変わります。
身長170〜180cmくらいより75mmのテーピングを使用する場合は多いです。
皮膚がかぶれやすい方
皮膚がかぶれやすい方はアンダーラップを巻く前に皮膚を保護するクリームを使用すると皮膜ができかぶれにくくなります。
詳細はこちらの記事を参考に
テーピングかぶれ防止や肌の弱い方にオススメな●●でお肌をブロック
コスパの良いテーピング
テーピングは使い捨てのため、個人で毎回使用すると経済的負担がかかります。
最もコストダウンできるテーピングを紹介しました。
プロチームでも使用しているよ!
前十字靭帯に対するテーピングの巻き方
テーピングの巻き方は個人で異なる
テーピングの巻き方は個人で異なる
- 前十字靭帯損傷にも程度がある
- 筋力によっても異なる
- 復帰に際してどの段階かによっても異なる
- その他状況によっても変化します
様々なケースによってテーピングの巻き方や使うテーピングの種類も変化するのが実際です。
一般的な前十字靭帯のテーピング方法(自分で巻く方法)
1.アンダーラップを膝下から大腿部に向か巻いていきます。
2.アンダーラップは螺旋状に巻いていけば大丈夫です。
3.伸縮ソフトテープで、アンカーを下腿部に2周巻きます。
4.大腿部も伸縮ソフトでアンカーを2周巻きます。
5.伸縮ハードテープで膝下からテープを出して、お皿の横を通るように貼ります。
6.テープを引き上げて大腿部のアンカーまで貼っていきます。
7.逆側も同じように膝下から貼ります。
8.お皿の横を通るように引き上げてテープを貼り、アンカーで切ります。
9.膝下より斜めに貼っていきます
10.膝の裏を通って、大腿部前面にテープを貼っていきます。
11.大腿部の前面を通過したらテープを切ります。
12.逆側も同様に膝下からテープを斜めに貼っていきます。
13.膝裏を通って前面を通過したらテープを切ります。
※通常であればこの後にスプリットテープを貼りますが、私は使用していません。
安定感はもちろん増しますが、テープの厚みが多くなり制限かけすぎの場合も出るため。
14.ここから再び伸縮ソフトテープでアンカーと同じように巻いていきます。
15.螺旋状に巻いたら、そのまま切らずにラッピングしていきます。
下腿を巻く際は足関節を反らせると動きやすくなる
16.お皿にかからないように膝の上を巻いたら、再びお皿の下に向かいます。
17.お皿の下を巻いたら、再び膝上に行き、巻き上げていきます。
18.大腿部のアンカーまで巻き上げていきます。下から上まで巻き上げることをラッピングと言います。
19.これで完成です。
何度も巻くことで動きやすい感触が分かり、うまく巻けるようになるので!
テーピングのポイント
今回紹介した前十字靭帯のテーピングは本などに載っているタイプとなります。
テーピングのポイント
テーピングをどのように巻くのかは選手によっても異なってきます。
- アンダーラップやアンカーをどこまで巻くのか
- どのメーカーのテーピングと相性が良いのか
- テーピングの幅はどのサイズが良いのか
- テーピングも強く締めるポイントと貼るだけの部分もある
- ラッピングはした方が良いのか、それともサポーターで代用できるのか
- この部分のテーピングは必要ないな、もう一本足した方がいいな
上記のように個人やその日の調子によっても違うかもしれません。
自分自身で巻く場合と、マネージャーや友達に巻いてもらう場合でも異なるかと思います。
巻く前の事前準備
テーピングを巻くと動きに制限がかかります。
そのため、テーピングを巻く前にストレッチを行っておくこと、筋肉をほぐしておくこと、関節の可動域を出すリハビリなどはしっかり行っておくようにしましょう。
どうしても制限ある中で運動することで、偏った筋肉の使い方となり、部分的に硬くなってしまうことはよくあることです。
昔と今では
このようなテーピングは30年以上前に紹介されている巻き方となり、そのような時代にはMRI検査もなく前十字靭帯の損傷も曖昧な時期でありました。
現在のようなキネシオタイプのテーピングもなく、テーピングの種類や品質も現在とは大きく異なっています。
サポーターの性能も現在の方が進化しています。
また手術の技術やリハビリの技術も進化しているのと同様にテーピングの巻き方も様々アレンジが可能となり、巻く方によっても巻き方は多様化されています。
昔と今では
- テーピング自体の性能が向上
- テーピングの種類も多様化
- 検査技術も向上
- 手術やリハビリも進化している
- サポーターも性能アップ
プロの現場では
プロの現場では前十字靭帯は基本手術して、テーピングなしで筋力強化やリハビリを行っていくことが多いです。
60%くらい回復してきた際にテーピングやサポーター、両方を併用したりと選手の好みも考慮して、段階的にテーピングをコントロールしていきます。
最終的にテーピングなしでも競技できるように向かっていきます。
そのため、実際にはテーピングでガチガチに固定して競技をするということはそこまでありません。
この辺りは競技によっても異なるし、トレーナーによっても異なるかと思います。
バスケットボールの場合、昔と違って現在は選手寿命も伸びています。40歳を越えてプレイしている選手も多くいます。
昔のように無理をして出場するよりも、しっかり治して復帰するという考えの選手が圧倒的に多くなっているように感じます。
この辺りは、その年代でしかない学生などの特別な大会や試合で、無理してでも出場したいというケースは少なくなるのがプロと学生での大きな差となり、テーピングに対しても変化する部分があるのかと思います。
まとめ
今回は前十字靭帯の役割や基本的なテーピングの巻き方を紹介いたしました。
テーピングはトレーナーから見ると、その選手のニーズや状態・調子によってテーピングもアレンジして巻いていきます。
そのため、これが正解の巻き方という物はなく、なかなか紹介し辛い部分でもあります。
テーピングは怪我が治るわけではなく、その時に練習や試合を行うための手段となるので、リハビリやトレーニングなど強化していきながら、テーピングを巻いて運動強度や競技力を高めていってもらいたいと思っています。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。
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