足関節捻挫の対処方法の2つ目として足関節に対するリハビリ方法というテーマで解説します。
捻挫して骨には異常なかったけど痛みがあって...何をやればいいのかな?
リハビリにも色々あるからこちらの記事が参考になると思います!
練習があって病院にもなかなか行けないけど...強化方法は...
筋肉にも収縮の仕方によって機能が変わるから知識をつけると意識して強化できるよ!
足関節のリハビリにも段階的に強化する必要があり、痛みや腫れがあると状況も変わってきます。
また、程度がひどい場合など医療機関でしっかりと検査して対応してもらったほうがいいケースもありますので周りの方に相談して判断してください。
まとめ
足関節の動きには底屈・背屈・内転・外転の4方向は覚えておきましょう
筋肉の収縮形態は固定した状態、縮みながら使う、伸ばされながら使う、の3つある
リハビリは痛みを基準として関節の動き、筋力強化、安定感を向上させる
段階的に体重をかけない方法から体重をかける方法へと負担をかけて行なっていくと良い
バランス感覚を向上させることで色々な筋肉の協調性も出てきて安定感が増加する
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして20年ほど活動しています。
足関節捻挫はバスケットボールで最も多い怪我でこれまでも学生からプロ選手までたくさんのケースを対応してきました。
私の知識や経験をあなたにも活用していただき、できるだけ早く競技に復帰していただければと思ってこの記事を作成しています。
足関節捻挫の対処方法の2つ目としてリハビリ方法を紹介していきます。
1つ目の記事はこちらを参考にしてください。
足関節捻挫に対するリハビリ方法
足関節の動き
足関節の動きにはいくつかの方向によって呼び名がありますので難しいですが、覚えておくとリハビリの時に意識して強化できるようになるのでイメージできるように上図を参考にしてください。
歩く動作が最も使う動きで指先が下を向くことを底屈(ていくつ)と言います。イメージとしてはつま先立ちのような体勢が底屈になります。
指先が上にそりかえるような足関節の動きを背屈(はいくつ)と言います。イメージとしては踏み込む動作が背屈になります。
その他に足先が内側に動かすことを内転といい、外側に動かすことを外転と言います。
足先を捻る動作もあり、内側に捻る動作を回内、外に捻る動作を回外と言います。
足関節の捻挫で多いのが内反捻挫(ないはんねんざ)といって内返し捻挫とも言いますが、動きとしては底屈・内転・回外の3つの動作が組み合わさることを言います。
筋肉の収縮形態を理解
筋肉には大きく分けると3つの収縮形態に分類することができます。
1.アイソメトリック
筋肉は伸び縮みせずに関節を固定した状態で筋肉の力を発揮する方法で、等尺性筋収縮とも言います。
このタイプの収縮は安定感やバランス感覚に影響するタイプの力の発揮方法で、関節の動きがなくても力を発揮できるので安全性やリスク管理としてリハビリの最初の段階で導入されることが多いです。
2.コンセントリック
筋肉が縮みながら関節を動かして力を発揮する方法で求心性筋収縮とも言います。
このタイプの収縮はパフォーマンスに直結するような働きとなるので爆発力やパワーなどにも影響します。
関節の動きをつけながら筋力発揮しますのでこのトレーニングを行なっていかなければ通常の歩行ができないというイメージになります。
3.エキセントリック
筋肉が伸ばされながら耐えて力を発揮する方法で遠心性筋収縮とも言われています。
怪我の予防や耐える力、さらに筋肉のパワーを発揮するための爆発的な力をためて一気に縮ませる切替部分に大きな負担がかかるのをサポートする役目となります。
このように筋肉の収縮には3つのタイプがうまく関わり合ってスポーツや動作を行っているので、リハビリの際も3つの収縮形態のトレーニングをしっかりと行う必要があるのです。
ここがリハビリのポイントとなり、不十分であると再受傷や痛みが増してくることなど悪化傾向となってしまいます。
痛みを基準として行う
リハビリの基本的な考えとして痛みがあることは無理してやらない事です。
特に靭帯損傷しているようなケースでは関節を曲げ伸ばしすることによって負担がかかってしまうケースもあります。
そのような際は痛みを基準として無理しないで進めていく。
可能なことから実施していくことです。
腫れに対するアプローチ
痛みを基準としてアプローチしていくのが基本ですが、痛みがある部分以外に腫れが広かってしまっているケースもあります。
その部分は問題ないのに腫れが広がったために痛みが影響するケースもあります。
腫れは怪我をした際に損傷した血管やリンパなどの流れが外に出てしまい、出血が止まると血管等は修復します。
すると出てしまったものが行き場がなくなってしまうのです。
48時間は炎症症状が持続するのが一般的なので、それ以降は患部以外の腫れに対しては心臓の方へ向かって吸収させるよう押し上げていく必要があります。
その際に癒着してしまっているので剥がすことで痛みが出てしまうケースがあります。
私の場合、このようなタイプの痛みに対してはある程度耐えてもらって腫れを取り除くようにマッサージや動きを出して吸収を早めることを実施します。
腫れが続くとやはり関節の動きは悪いままなので腫れをいかに抑えるかは復帰に際してポイントとなり、応急処置のRICE処置や固定も行うPRICE処置が大切で復帰が2週間以上変わってしまうこともあるのです。
リハビリの段階的なアプローチ
関節の動きを出す
痛みを基準として関節の動きを改善していくことが大切です。
踵をつくまたは浮かせても良いので底屈/背屈の動きを痛みのない範囲で動かしていきます。
このことを関節可動域訓練(ROM)と言います。
この時痛みが強い場合は一度アイシングを行って感覚を軽減させることで痛覚に反応しづらくなるので行う方法もあります。
この方法をクライオキネティクスと言います。
手順としては、10分アイシング→1分ROM実施→3分アイシング→1分ROM→3分アイシング→1分ROM→3分アイシング
ストレッチ
足関節の動きがある程度改善してくるとストレッチをやっていかないと最終的な柔軟性を獲得できないものです。
良い方の足と怪我をした足の差があると負担がかかってしまうため、足の左右差を無くしていくことも必要となります。
その際に有効なのがストレッチボードがあると角度を微調整しながらストレッチできるので、所属先のチームだけでなく、自宅にもあると効率よくストレッチを行うことができます。
背屈の制限はストレッチボードがとても有効です。
特に細かく角度調節できるのが画像で使用している『あさひストレッチボード』
とにかく丈夫で壊れなく、細かな角度調節ができるのでリハビリにもってこいの製品です。
アキレス腱部、ふくらはぎ、もも裏など使用用途は幅広く家庭に1台あると大変便利で家族全員でストレッチできます。
固定した状態での筋力強化
足関節をうまく動かせない、動かすと痛みがあるような状態でも筋力を強化していく必要があります。
そんな時に有効な方法がアイソメトリックのトレーニング方法となります。
1.どこでもいいので壁を探す
2.壁に足の裏をつけて固定する
3.壁に向かってゆっくりと力を入れて、ゆっくりと力を抜く(底屈させるイメージ)
壁があるので足の動きは出ないけど力を入れることが可能となりトレーニングとなります。
4.何度も繰り返す
底屈、背屈、内転、外転の4方向をトレーニングするようにしましょう。
もし痛みがあるようであれば無理せず少しづつでも大丈夫です。
動きをつけた筋力強化
動きをつけたトレーニングとしては、コンセントリックトレーニングをまずやっていきましょう。
関節可動域に抵抗をかけるようにする時に便利なのがチューブを使ったトレーニングがとても有効です。
こちらも底屈、背屈、内転、外転の4つの方向に実施して強化していきましょう。
チューブは色々なメーカーからあるのでどれを使っても構いません。
リハビリでプロチームがよく使用するのがセラバンドというメーカーです。
カラーによって強度が異なるので実際にさまざまな色(強度)のチューブを活用して段階的に強化します。
何を購入すればいいかわからなければセットタイプを購入するとどんなシーンでも対応可能です。
足のリハビリだけでなく全身のトレーニングにも活用できるのであると便利です
負荷をかけた筋力強化
チューブトレーニングなどで強化したら、立った状態でトレーニングを行なっていきます。
立つことで自分の体重が負荷となってチューブよりも強度の高いトレーニングになります。
実際にスポーツをする際には自分の体重をコントロールできないと瞬間的に動くことができずどんなスポーツでも体重以上にスピードも加わるのでGがかかってきます。
そのため、まずは自分の体重をしっかりとコントロールできるようにする強化が必要となってきます。
写真のようなつま先立ちもゆっくりやって痛みが出ない状況で行なっていくようにしましょう。
ゆっくりと行うことでコンセントリックとエキセントリックの両方の筋収縮の強化にもなります。
安定感を出すための強化方法
筋肉はおのおのトレーニングしても実際にスポーツをする際はすべての筋肉が活動することで安定感が出てバランス感覚も養われます。
特に安定感に関与する筋肉は腓骨筋や後脛骨筋の関与が大きいです。
これらの筋肉の強化と全体的な協調性のトレーニングが必要です。
片足立ちのバランス
足関節捻挫をすると筋力が低下してバランス感覚が一気に低下します。
1.目を開けた状態で片足立ち
2.片目をつぶって片足立ち
3.両目を閉じて片足立ち
3になるほどバランスを取ることが難しくなります。
バランス感覚は目の情報の影響が大きく、目を使えなくなると耳の三半規管でバランスを保ちます。
スポーツ時はスピードが出たり、疲労してくると、目を閉じた状態と同じように不安定感が出てしまいます。
そのため、両目をつぶっても安定できるようにバランスを取れることはトレーニングとして必要なわけです。
バランスパッド
バランス感覚をさらに向上させるためには動きながらも安定感を出す必要があります。
そんな時に良いアイテムがバランスパッドになります。
厚みのあるクッション素材で柔らかいながらもしっかりと反発するのでバランスを向上させるにはもってこいの強化方法となります。
1.バランスパッドの上で両足の足踏み
2.スクワット
3.サイドランジ
4.ランジ
このように動的なエクササイズを行いながらバランスパッドの不安定な上でも行えるように強化していきます。
リハビリやバランス感覚の他にもストレッチの際の膝あて、クッションとしても利用でき、ヨガやセルフケア、セルフトレーニングのアイテムとしてもあると便利です
バランスディスク
さらにバランス力が必要になるのがバランスディスクという空気を入れるゴム製のアイテムです。
足関節の安定感がとても必要になるレベルで競技復帰に向けて取り組むレベルで使用していきます。
2個あればその上でスクワットしたりと色々な動作を行なってバランス感覚を養え強化できます。
1個しかなくても写真右図のように片足乗って別の足を動かしたり、手を動かしたりと不安定感を出しながら強化できます。
さらに仕上げ期になるとジャンプして乗ったり、降りたりと着地や踏み切りをイメージした強化も行なっていきます。
1個あるととても有効的なトレーニングができ、怪我が治っても継続して強化していくことで強い足首となり、パフォーマンス向上にとても良いアイテムです。
まとめ
まとめ
足関節の動きには底屈・背屈・内転・外転の4方向は覚えておきましょう
筋肉の収縮形態は固定した状態、縮みながら使う、伸ばされながら使う、の3つある
リハビリは痛みを基準として関節の動き、筋力強化、安定感を向上させる
段階的に体重をかけない方法から体重をかける方法へと負担をかけて行なっていくと良い
バランス感覚を向上させることで色々な筋肉の協調性も出てきて安定感が増加する
今回はリハビリに関してを中心に紹介してきました。
上記のようなポイントを押さえて段階的に向上していくと競技復帰の時に以前の怪我をする前よりも強化されて復帰ができるかと思います。
すると、今まで以上に安定感が増した感覚で競技をやることができパフォーマンスの向上にも繋がり、地道なトレーニングの必要性を実感していただければと思います。
すると習慣化され、練習前にやるべきこと、練習後にやるべきこととして意識して取り組むことで知識の向上、科学的なトレーニング、怪我の予防策、対応力も身についてレベルの高い選手になっていくかと思います。
この記事が参考になれば幸いです。
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