かかとが痛いと子供が言っているんだけど...
特に朝起きると痛がるんだよね...
親としては何が原因か確かめないと...
運動させても大丈なのかな...
こんな疑問にお答えします。
私はプロバスケチームで長年トレーナーとして活動しています。
以前は小学生にもバスケットボールのスクールを担当していたこともあり、たくさんのちびっ子選手たちが痛みがあり、対応の仕方を伝えていました。
スポーツ選手が多く通う接骨院で働いていたこともあり、毎日踵の痛みで来院する子供たちも対応していました。
踵(かかと)の痛みは8-12歳くらいの年齢で痛みを発生しやすいです。
これは足の大きさが成長しやすく、また骨自体がまだ柔らかい状態であるため筋肉がくっ付いている踵の部分が引っ張られる事で痛みを発生します。
成長痛でよく耳にするのが膝の痛みのオスグッドだと思いますが、これと同じような現象が踵で起こっているという事なのです。
この記事では踵の痛みを理解し、この記事を読むことで踵の痛みの対応の仕方を身につけていただき、あなたのお子さんや選手に実践していただければと思っています。
結論
踵の痛み
- 成長痛の痛みはセルフケアを継続して練習はやりながら対応できる
- 朝起きて痛いのは筋肉が硬くなっている証拠
- 練習終盤に痛みが増してきたら、ストレッチをしたり、練習を抜けてもよい
- 練習後は炎症が出るのでアイシングをしましょう
- マッサージボールやストレッチで筋肉を良い状態にしておく
- 筋肉を強化して練習で疲れにくくしていこう
- シューズは足に合ったものを選んで履くように
踵(かかと)の痛み
小学生の2年生あたりから4年生くらいに痛みを出す方が多いと思います。
- 足のサイズの成長が大きい
- 運動を始める時期も重なりやすい
そのためまだ安定しない踵の骨が無理に引っ張られて炎症を起こしてしまうのです。
かかとの成長痛(シーバー病)での痛みの種類
かかとの成長痛をシーバー病という。
踵(かかと)の痛みが出る部位として大きく分けると2つあります。
- 足の裏側でのかかとの痛み
- アキレス腱側でのかかとの痛み
足の裏側での踵の痛み
足の裏側の踵の痛みは、足の裏の筋肉や足の指の筋肉が付いています。
そのため体重がかかると痛みを発生します。
特に朝起きて歩き始めた時が最も痛みが出る傾向。
そして20-30分くらいすると痛みは減少していく。
これは寝ている間使わないので筋肉が硬く縮んでいる形となり、動き始めた際に体重がかかり伸ばされる事で痛みを発生させています。
しばらくすると筋肉の柔軟性が出るため痛みは軽減するわけです。
さらに足の指を反らせると痛みが出やすくなることが多い。
そして運動中は歩くことによって柔軟性が保たれるので比較的練習の最初は痛みはコントロールできますが、練習時間が長くなると痛みが出てくる傾向となります。
ポイント
- 朝起きると痛みが強い、筋肉が硬くなっているため引っ張られるため痛い
- 歩き始めることで柔軟性が出て痛みは軽減する
- 練習時間が長くなると、筋肉が疲れて硬く縮むため痛みが出てくる
アキレス腱側の踵の痛み
アキレス腱側の踵の痛みは朝起きて立った状態ではさほど痛みは出ませんが、歩き始めた際に痛みが出てきます。
足首を使って蹴る動作によって痛みが出やすかったり、アキレス腱を伸ばす動作をすると痛みが発生します。
また、通常の歩行ではそこまで痛みはなくても、運動することで足首を使う動作が出るので運動開始に痛みが出やすい。
しかし、体が温まり柔軟性が保たれると練習途中では痛みが緩和されます。
そして練習終盤に疲れてくると筋肉の柔軟性が低下するため痛みが増加してくる傾向となります。
ポイント
- 歩き始めると痛みが出る
- 足首を動かす動作やアキレス腱を伸ばすと痛い
- 急にダッシュなどで痛みが出る
- 練習終盤になると疲れてふくらはぎの筋肉が硬くなることで痛くなる
その他の痛み
成長痛のほかにも痛みは出ることがあります。
繰り返しジャンプ動作をすることで踵での衝撃が多くなると痛みが出現します。
そかにはシューズには踵をホールドする機能があるためシューズのサイズがあっていないと痛みを出しやすいです。
また足の筋肉は足の裏とアキレス腱側で繋がっている筋肉もあるため、踵の両側とも痛みが出る場合もあります。
成長痛とその他の要因が合わさると痛みの原因がわかりづらく解決しにくくなるため、注意しなければなりません。
踵のその他の痛み
- ジャンプ動作が多いと衝撃により痛みが出る
- シューズのサイズが合わないと踵は痛くなる
- 運動量が多いとかかと全体に痛みが出る
チームに多くの痛みを出している選手がいる場合は、練習メニューに問題がある場合もあるので、コーチは怪我に対しても練習内容を検討したり、途中で一度ストレッチを入れるなど対応してほしいです。
運動制限の必要は
成長痛であるため、基本的には練習を休まなくても対処することが可能ですが、それには以下で紹介する事を行なって習慣づけることが大切となります。
- 成長痛であるため、練習はやりながらでもよい
- 痛みが強く、通常の歩行ができない状態は休ませる
- セルフケアをしっかりやれば練習しながらで大丈夫
- セルフケアをしながら悪化するようなら整形外科を受診する
特に小学低学年から小学中学年の年代であるため自分自身でセルフケアを継続して行うことはまだまだ難しいと思うので、家族の協力やコーチの協力も必要となる。
運動制限をする必要がある場合は以下のセルフケアを行なっても全くよくならない場合は、骨自体に変形が生じている可能性もあるため、整形外科にて一度レントゲンを確認し医師の判断をしてもらいましょう。
私の考えとして
以下で紹介するセルフケアをしっかりと行なっていれば一時的な練習を休むこと(1週間程度)はあっても長期間(1ヶ月間程度)の練習を休むようなケースは防げると思っています。
セルフケアをやっているつもりでも正しく行えていない場合が多く、正しく導きましょう。
対処方法・応急処置
以下の内容をしっかりと行えれば痛みがあっても練習しながらで大丈夫かと思っています。
8-12歳の年齢の方は痛みがなくても予備軍として日頃からセルフケアを行う習慣をこの時期からつけてもらいたいです。
この年代に築いた習慣は一生の宝になると思います。
セルフケア
病院や接骨院などで治療をしてもらうことも大切な考えであるが、自分自身で予防することはもっと大切であり、その事をセルフケアといいます。
アイシング
痛みのあるところは炎症症状があります(熱を持ってしまう)。
そのため冷やすことがとても重要です。
氷で20分程度冷やしてほしい。
寒いから、ジンジンして痛いからといって途中でやめたり、やらなくなったりでは痛みはどんどん増してきてしまいます。
このアイシングが一番重要となります。
踵を包み込むようにアイシングをあて巻きつけて固定する。
アイシングのやり方はこちらを参考に
>>【必須】選手のアイシングで怪我の予防と回復に
おすすめのアイシンググッズ
■アイスバックとバンテージ
【メリット】
・ゴム製で破けにくい
・カビが発生しない
・臭くならない
・全体的に洗える
・耐久性が良い
・キャップ口が強く耐久性あり
他の布製のものは衛生面で良くないです
【デメリット】
汗をかく(表面に水滴)ので濡れる
アイスバックを巻きつけるバンテージもあると便利
プロ選手はゴム製を愛用している選手がとても多いです。
■ビニール袋にはアイシングラップ
私のプロチームではこちらのビニール袋を使用しています。
LD規格袋14号(100枚入り) 厚さ0.04mm 28cm×41cm
ビニール袋を巻きつけるアイシング用ラップ
■アイシングの比較
項目 | ビニール袋 | 氷のう布製 | ゴム氷のう |
水漏れ | ▲漏れる | ◎漏れない | ◎漏れない |
メリット | ◎使い捨て | ◎冷たすぎない | ◎耐久性がある |
デメリット | ▲漏れる/着けにくい | ▲不衛生 | ○水滴がつく |
耐久性 | ▲氷の角で破ける | ○キャップ口が壊れる | ◎長持ちする |
ゴム氷のうは、コスパ最強で使い勝手が良い
マッサージ
手でマッサージするのも良いが、効率が悪いのでボール系を使用して、ボールの上をゴロゴロとマッサージすることで硬くなっている筋肉をほぐし、動きをよくしてくれる。
ボールにも様々なものがあるがこちらが良いです
薦めるわけ
・体重をかけても変形しづらい
・長期間使用できる耐久力
・プロチームでも使われている
・程よい硬さ
・固すぎず、柔らかすぎずで使い勝手が良い
・いろんな部位に使用できるサイズ感
家族みんなで使用できます。
足の裏でけでなく、肩・背中・腰・お尻・ももなど全身にも使用できます。
ストレッチ
足の裏側とアキレス腱側の痛みの違いはあるかと思いますが、繋がっている筋肉もあるため、ストレッチに関しては共通で両方を対応していきたい。
両方やることでよりスムーズになる。
↓足の裏のストレッチ 足の指を曲げて足裏をストレッチする 20秒くらい
↓足裏のストレッチ 足の指を曲げながら左右に体重移動して、内側・外側と伸ばす場所を変えて行く
左に体重移動すると、左足裏の外側のストレッチ・右足裏の内側のストレッチとなる。10秒くらいで左⇄右と2回程繰り返す
↓アキレス腱のストレッチ 奥にあるヒラメ筋のストレッチ(膝を曲げると奥が伸ばされる)
↓アキレス腱のストレッチ 立って膝を伸ばしてストレッチするとアキレス腱が伸びる
両方のストレッチ
ストレッチボードでより伸ばしていこう
ストレッチボード詳細はこちらの記事をどうぞ
【ポイント】迷ったらこれ! ストレッチボードの有効な使い方
薦めるわけ
・とても丈夫である
・角度調整ができるので、怪我をした時のリハビリでも角度を変えながら段階的に伸ばしていける
・家族でも個人差があるので角度を変えながら調整できるのでとても便利
・プロチームの使用頻度は1番多い
・その他のものよりも長期使用できる
・お父さん世代はアキレス腱を切りやすい世代なのでやる習慣をつけ予防策
トレーニング
足の裏の筋肉と足の指の筋肉、またアキレス腱側の筋肉の強化をして長い練習時間でも痛みが出にくくなるように強くしていこう。
↓足の指のトレーニング(タオルギャザー) タオルを敷いて足の指を動かしタオルを掴む タオル1枚行う
↓足の指のトレーニング(より負荷をかけて) ストレッチと同じ体勢になり、指を使って体を持ち上げる
↓足の指を使って体を持ち上げたところ 10-20回上げ下げする
↓アキレス腱のトレーニング つま先立ちになって上下に足首を動かす 10-20回上げ下げする
テーピング
キネシオテープ
簡単に貼れるので自分でもできるので良い。
筋肉をサポートして痛みを軽減させる目的。
■足裏側の踵の痛みに対してのキネシオテーピング
使用テープ:キネシオテープ50mm (わかりやすくするため、黒のテープを使用)
↑足の指の付け根から、指を剃った状態でテープを貼る。この時引っ張りながら踵に向かって貼る。
↑足の裏に縦テーピングを貼るだけである。自分で貼れるようにしよう。
アキレス腱側の踵の痛みに対してのキネシオテーピング
使用テープ:キネシオテープ50mm
↑踵の付け根にテープを貼る、アキレス腱を伸ばした状態にしてふくらはぎに向かって引っ張りながら貼る。
※この時踵側が剥がれてしまう場合は、足の裏からはじめ踵を通して貼ると良い。
↑踵からふくらはぎにかけて縦に1本テープを貼る。自分で貼れるようにしよう。
■固定テーピング
自分で巻くのは少し難しい。筋肉の付着部を圧迫して引っ張られるのを抑える働きがある。
キネシオテープでは痛みを抑えきれない場合に圧迫固定する巻き方となる。
このテープは成長痛でなくとも踵の痛みがある際は有効である。踵には脂肪が多くあり、脂肪が損傷したり、動く事で痛みが出る場合もある。
使用テープ:ホワイト25mmとキネシオ50mm
↑内くるぶしの下から外くるぶしの下まで足の裏を少し引き締めるように貼る。
↑次は内くるぶしの下(テープの端)から外くるぶしの下(テープの端)まで横にはる。この際は引っ張り過ぎない事である。アキレス腱に食い込むと痛くて動けなくなったり、皮膚が擦れてマメが出来たりする原因となるためだ。
↑約半分重ねて同様に交互に貼っていく。
↑踵の先まで埋まったら最後に斜めに貼ってすべて隠す
↑ホワイトテープだけではずれてしまうため、キネシオテープでホワイトテープの端と皮膚にかけるようにしてホワイトテープが剥がれないように周りを貼っていく。アキレス腱側
↑キネシオテープでアキレス腱側を一周したら8字を書くように足首の前で交差させ、そのまま切らずに足の裏側もホワイトテープの端と皮膚を跨ぐように巻いていく。
8字のように連続で巻くことが難しい場合は、アキレス腱側を巻いたら、一度ハサミで切って、その後に足裏側を巻いていくと良い。
↑足裏側を巻いたら踵の先に向かって巻いていく。この時に隙間がでても問題はない。
キネシオテープはホワイトテープを止める働き、またさらに圧迫をかける働きもあるが、隙間があっても問題はないので大丈夫である。
これで完成、靴下を敷いてもらう。
医療機関
痛みがどうしても強い場合は専門家へ行くことも一つ。
接骨院
踵の成長痛に対しては接骨院で治療してもらう方が楽になると思います。
こちらでもセルフケアの仕方なども教えていただけることもあると思います。
整形外科
痛みがかなり強く、歩くことも大変なレベルでは整形外科を受診しレントゲンで骨の変形がないか確認することも必要かと思います。
スポーツに理解のある医師であれば良いのであるが、そうでない場合は運動をストップされることも多いので、別の病院やスポーツに知識の高い医師を紹介してもらう形の方が良い。
シューズ
人は皆、足の形状が異なるので靴も合う合わないがあります。
特にこの年代は足のサイズが大きくなる時期であるため、細心の注意も必要です。
よくあることはすぐに足が大きくなるからといって大きめのシューズを履かせておく親御さんがいるが、これは子供にとってはやってはいけないことでです。
特に痛みがある場合は注意してもらいたい、靴にも様々で曲がりやすい部分や踵の部分にあるヒールカップの形状で痛みが増加する場合もあるためです。
シューズの履き方
靴を履く事を学ぶ機会はほとんどないのが現状です。
- まず靴を履いたら踵をコンコンと地面にあて、踵を合わせる
- その後にシューズのひもを結び締めて行く。
シューズが大きいと踵の部分がパカパカでずれが出てグリップ力がなくなってしまうので、怪我やパフォーマンス低下につながります。
シューズの選び方
靴の曲がりポイント
シューズでは指の付け根の部分が曲がりやすい構造となってます。
そのためその位置が自分の足に合っていない場合、とても硬くて曲がりが悪い場合などで足に対する負担が増加します。
靴の横幅
シューズには縦のサイズだけではなく、横幅もあります。
自分にあった横幅も選ぶポイントの一つになる。
靴ひもを閉めた時に靴の中で足が横にズレないようにしたい。
靴の紐の隙間がなくなってもまだ良いが、締めて横にズレるようでは横幅が広すぎてしまうので別のサイズや別のシューズを選んでほしい。
↑写真は横幅があっていないため、かなりたるみが出てしまっている。
しかし横ズレは起こっていないので問題ないケースとなる。
デザインよりも機能性
小学生のうちはカッコイイデザインよりも自分にあったシューズを選んでもらいたい。
そのためには一緒にスポーツ店等にいってサイズを合わせてから購入してもらいたい。
その場で自分の好きなカラーがなくてもサイズ合わせをしておけば、ネットで購入もできると思う。
プロ選手の場合スポーツ店で試着してサイズを合わせて、購入するのはネットで購入する選手も多くいる。
まとめ
かなりの長文で踵の成長痛で痛みに解説しました。
まとめ
踵の痛み
- 成長痛の痛みはセルフケアを継続して練習はやりながら対応できる
- 朝起きて痛いのは筋肉が硬くなっている証拠
- 練習終盤に痛みが増してきたら、ストレッチをしたり、練習を抜けてもよい
- 練習後は炎症が出るのでアイシングをしましょう
- マッサージボールやストレッチで筋肉を良い状態にしておく
- 筋肉を強化して練習で疲れにくくしていこう
- シューズは足に合ったものを選んで履くように
子供は年齢的にも本人任せにせず家族も一緒になって指導していってほしい。
怪我で痛みを経験することは選手にとって精神的にも成長できるポイントではあるが、運動神経の向上する時期に練習できないことはマイナスとなってしまいます。
練習は行いながら、痛みが増してできないなら、足を使わなくてもできることもあると思う。
選手自身・家族・コーチとうまく連携しながらスポーツに向き合ってほしい。
この記事がかかとの痛みを抱えている選手の保護者の方の参考になれば幸いです。
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