B.LEAGUE チーム トレーナー トレーナーの仕事 バスケ 群馬クレインサンダーズ

群馬クレインサンダーズでのトレーナー活動の3年間として

バスケチームのトレーナーとして25年以上関わってきました。
プロチームもたくさんのチームで活動し、今回専属アスレティックトレーナーとして最後となったチームの群馬クレインサンダーズでの3年間を終えたので、自分自身感じたことを伝えられる範囲で記したいと思います。

群馬クレインサンダーズはこの3年間でとても大きく飛躍したチームだと思っています。
私が関わった1年目はまだ体育館も厳しい状況で地域に認知はされているものの現実的には厳しい環境でありました。

シーズンの最後にオープンハウスアリーナが完成し、観客動員やエンターテインメントとしても素晴らしいものへと進化していきました。
それもフロントスタッフの努力とファンやスポンサーの応援があった事で飛躍的進化をしていったのだと思っています。

アウェイの試合会場では数えられる群馬のファンが今や相手チームを圧倒する存在となっていることは誇りであります。
このチームでプロチームの専属トレーナーとして最後を迎えられたことに誇りを持っています。

今回トレーナーとしての節目を迎えたので、チームのことをスタッフ目線として少しだけですがブログでお伝えできればと思いました。
しっかりとファンの方々にお礼を言える機会がなかったのでご理解いただければと思っています。

チーム合流1年目

プロバスケチームは選手だけでなくスタッフの移籍もとても多いものです。
チームとの相性、ニーズ、人間関係、環境、地域などさまざまな要素がありスキルだけでなく運とタイミングがとても大きく影響します。

私も7年間で10回引っ越しをした経験があり、モンゴルで活動したこともあります。
今や移籍は当たり前のプロチームでの文化となっています。

群馬に決まる際はHCから依頼があり、声をかけて頂いたこと、以前に一緒にプロチームで5年間活動して、日本代表でも共に活動していたので力になれればと思い群馬で活動する事と致しました。

出身が埼玉県なので群馬県太田市は栃木県足利市にある高校のバスケチームのトレーナーをしていたこともあったので車での通り道でしたのでイメージはできていましたが予想以上に暑くて熱い地となりました。
こんなに風が強いとは想像をしていませんでした!

チームの土台作り

チームスタッフが一気に変わったこともあり、HCの新たな文化を築くという改革からのスタートでした。
とにかく全てが初めての事だらけで当時選手だけでなくスタッフも混乱しながらの活動でした。

環境を変えること、土台を作ることをHCとSCとよく語り合ったものです。

体育館も固定されず、チームの備品も不足だらけで、どう対応していくか、どう変化させるかを思考しながらみんなで考えていました。
土台から作り上げることは本当にエネルギーが必要で、うまくいかないことも多く、皆疲弊していて仕事量もとても多かったです。

仕事場も整備されていない状態であったので、オフの日も事務所の2階の掃除からパテーションの組み立てなど雑務が多く本当に一から作り上げていきました。

メディカルとしても治療器をはじめ治療ベッドも低レベルなものしかなかったもで購入するにあたり予算確保するための段取りを作り承認して貰うように導かなければなりません。

よく群馬はお金を使いまくっていると言われますが、チームでは予算に関してかなりシビアな現実があり、物品の購入のハードルは高いので、そこをいかにOKをもらうためにプランを立てていく必要がありました。

環境が不十分だと選手不満が大きくなり、マイナスなエナジーが溜まると勝敗にも影響してしまいます。
悪い環境の中でも最善を尽くし、選手の居心地の良い空間とストレスを減らすことがスタッフの役割なので、できる事とできない事の線引きをして物品購入して上を納得させることが必要となるわけです。

幸い私の意見に関しては優遇して頂けたので必須な備品は購入させて頂けたことはありがたいことでした。
ただ治療器は1年目は予算的に厳しい現実があったので翌年となりました。

1年目は朝から晩までスタッフ全員が稼働してとにかく疲弊していたそんな1年目でしたが、その努力が翌シーズンに大きくプラスとなったと思っています。

大誤算のハプニング

群馬県太田市は外国籍移住者が多い街です。
シーズン途中で発覚した出来事がチームとスタッフに大きな影響が出ました。

外国籍選手の自動車の国際免許問題です。

日本新規加入の選手の場合、問題なく国際免許が使用できるのですが、2年目以降になると一旦日本を離れて3ヶ月程期間を空けて再入国しなければ国際免許が無効となってしまうルールが存在するのです。
多分当時リーグも把握していなかった案件で、太田市は外国籍移住者が多く警察がこのルールを熟知していた点で発覚したのです。

その為、チームの外国籍選手が自動車の運転ができなくなってしまい、スタッフが常に送迎しなければならなくなってしまいました。
選手だけでなく、家族の学校への送迎もチームで対応しなければならず、スタッフの稼働域が超えてしまったわけです。

スタッフの疲弊だけでなく、選手のストレスも爆発してチーム状況も悪くなってしまったわけです。

打開策としては日本で自動車免許を取得する事ですが、自動車の実技試験は落とすことが前提のような試験で難易度が高いわけです。
結果3月末でようやく1名の外国籍選手と家族が合格する事ができましたが、別の選手は取得できなかったのです。

その為シーズン終了後来シーズンのためにすぐに帰国させなければならないシチュエーションが発生したのです。
こういったアクシデントが突然シーズン中に起こった事でチームに混乱と対応策に追われてしまったことがシーズン後半に失速した引き金となったのだと思っています。

個性ぞろいの選手たち

B1とB2の選手は違いがあります。
B1、B2、代表チームと関わってきましたが選手の意識レベルはもちろん個性が異なります。

群馬に来る前は仙台でB2を戦ってB1昇格を勝ち取りました。
B2であった仙台はその中でも真面目な選手が集まったチームでした。
だから仕事のしやすはさ抜群だったのです。手のかかる選手がいなく理解して対応してくれる選手構成であり、そのような人選をしたチーム構成でした。

群馬は個性が強く、自分のスタイルのこだわりがあり、しっかりと段取りよくしなければ対応してくれない選手も多いわけです。
私はどちらかというとそういった選手の方が得意であり、やり甲斐があるタイプで昔からヤンチャなタイプが集まるようなスタンスでした。

昔からプロチームで活動していた事、段取りよくいかに選手ストレスなく対応できるかを考えて対応していたことが信頼してもらえていたのかと思います。
こちらもプロとして対応する事で体を任せてもらえるようになっていくわけです。

個人的には選手やチームメイトはあくまでも仕事をする仲間であり、友達という近すぎる存在にしてしまうと良い点と悪い点が出てしまうので、あくまでも一線引いての対応が最もいいのだと気づきプライベートでは深く関わらないスタンスで対応してきました。

選手もオンとオフでメリハリが大切なようにスタッフも同様にメリハリをつけることが大切です。
ですから良い関係性が保てているのだと思います。

トップ選手は自我がしっかりしていて決してブレないスタイルを貫いています。
スタッフも同様であることがトップ選手と共に進んでいく秘訣なのだと思います。

いかに怪我を予防するか

プロバスケは長いリーグ戦をチームとして良い状態で戦っていくことが第一となり、前シーズン外国籍選手の怪我が多く、その影響が大きかったとのことでした。
特にエース選手の離脱が多かったことが一つの課題として、私もどのように対応していくかが課題となっていきました。

個人的には全試合出場を意識していましたが、終盤に離脱してしまいその目標は果たせないもののチームとして怪我人を極力抑える事はできたと思っています。

移籍してきた選手が開幕前にプライベートで骨折をしてしまい、離脱してしまいましたがこの辺りはこちらでもコントロールできないことなので仕方がありませんが、予定よりもかなり早く復帰させられたことは貢献できたと思っています。

バスケットボールは足関節の捻挫がとても多い競技ですが、かなり抑えることができたことはとても良かった点です。

SCとATの連携とHCのプランがとても良かったと思っていますし、その結果が選手のコンディションとして表面化したと思っています。

前シーズンまでチームでのトレーニングがなかった事、SCの土台作りが大きな成果となり、選手にGPSをつけたデータ蓄積、ATのトリートメントと予防スキルがチームに浸透して土台となっていった手応えがありました。

このシーズンでは足関節の捻挫をしていない選手が後遺症のダメージによってシーズン終了後に手術しなければならない状態となってしまい、まだまだ力不足であったと思っています。

それでもオフにも選手のケアを実施して自宅でも治療して最善を尽くして対応できたと思っています。
私の考えでプロチームはシーズン途中でも移籍したりといつ何が起こるかわからない状況下で仕事をしています。

「一期一会」常に最善を尽くして仕事に臨むという考えと、「怪我で引退を決断させない」をモットーに日々精進しています。

オープンハウスアリーナの完成

チームとして土台作りの時期はなかなか成績が伴わないものです。
私にとっては練習の体育館が固定されていないことは当たり前の環境ですが、選手にとってはストレスとなってしまいます。

毎日のように午前から移動してトレーニングして、さらに40分程度移動して練習する。
一日の中でも拠点が変わらなければならない環境では疲労度もさ増加してしまいます。

年間通して結構な車での走行距離だったと思います。

さらに気温も冷房環境や暖房環境も厳しい中、難しい環境下で試合も行っていました。
旧体育館はメインコートは寒い中でもまだ良い方ですが、ロッカールームへの導線が極寒でテーピングも倉庫の中で巻いていたような悪環境下でしたね。

オープンハウスアリーナ太田が完成した時はとても夢の世界のようでした。

シーズン終盤に使用でき、まだ環境としては不備ではありましたがとにかくようやく整ってきたという実感となりました。

バスケットボールはチームとファンの距離がとても近いことが大きなメリットであります。
昔からのたくさんのファンから新たに応援してくださる方がどんどん増えてきたことは本当に嬉しく、成長している、土台が作れたと思えたことです。

このシーズンのオフに元群馬で活躍したプロ選手たちの集まりに呼ばれて食事をする機会がありました。
その時のエピソードを聞くとこの一年厳しい環境でしたが、もっと極悪の中で活動していたことを知り、群馬は日々進化しているのだなと実感することができました。

そういった苦労をしてきた先人たちがあってこその現在であり、オープンハウスアリーナが完成してトップレベルの環境になってきたのだと今は実感しています。

環境が整った2年目

チームは生き物であり、シーズンの途中で別チームに良くも悪くも変化していきます。
勝負の世界なので常に緊迫した状況の中での仕事となります。

だから毎年のように選手やスタッフも移籍をしてより良い環境を作り上げていく事がチームにも求められます。

個人的にも練習環境が固定された中で活動する事が初めてなので嬉しい限りです。

ただ環境が良くなったことで仕事が増加していきました。
入浴ができるようになったこと、アイスバスを作れるようになったことで氷の手配、風呂場の掃除をする必要性が出てきました。

これって誰の仕事なのかな...と考えても仕方ありません。
やる人がいないので率先してやるしかないわけです。

毎日風呂掃除をしていましたね。
氷も製氷器の量ではアイスバスがキンキンに冷えないのでタッパーで冷凍庫で凍らせて使用することの毎日です。

このように色々今までにない仕事が環境が良くなったことで増加していきました。

ただ最も良い点はホームゲームでの荷物の移動をしなくていいことです。
固定の体育館でも普通はホームアリーナと練習場が異なることが当たり前で荷物の運搬が面倒なんです。
トレーナーはベッドに治療器など結構な荷物となってしまうのでこの辺りが大変なのです。

チームのシステム作り

HCも2シーズン目となり、我々スタッフも結果を出さなければならないシーズンとなります。
目標はまずプレイオフ進出です。

実際に現場で長いこと活動しているとプレイオフ進出の難しさを理解しています。
1勝の重みがとても大きくなっていきます。

そのためにはメディカルとして選手をいかにベストな状態を維持して全員揃った状態でリーグ戦を戦っていくかとなります。

群馬で大きな問題となるのは外国籍だけでなく英語圏の言語者が多く在籍していることです。
残念ながら私は選手とのケアレベルは問題ないのですが、医学の専門的なことは話せないのでどうしても通訳が必要となります。

トレーナーで英語が話せる人材を連れて来なければならず、直接仙台に出向きオファーを出して向かい入れる事ができました。

次に必須なのは治療器で昨シーズンは予算の関係から断念していた治療器の導入を実現する事ができました。
治療の幅が広がり、時間効率も良くなっていきます。

さらに移動中にも対応できるようにモバイルタイプも導入してもらいました。

チームの備品も遠征用とホーム用で同じような備品が配送時でも不足しないように整え、アイスバスもホテルでもできるように配慮して治療としてのレベルも上げる事ができました。

Game2の後にアイスバスを準備しておくのはかなり大変で、後片付けも水回りはとても大変です。
いつもバスの出発時間ギリギリまでかかってしまいバタバタでした。

見抜けない障害

新規加入の有望な外国籍選手を獲得したものの開幕してすぐに長期離脱の障害が発生してしまいました。

外国籍選手はヨーロッパではシーズンが日本よりも長ったりと休む期間も短く、メディカルチェックでも問題なく、本人も症状がない状況で契約しています。

しかし、膝の中で炎症が大きくなり、このまま続けてしまえば引退にもつながる部位の症状でありました。
本人も痛めた事が初めてなのでプレイしたいという思いとチーム側も勝利優先となるためプレイ続行ですが、心を鬼にして絶対的に譲れない障害だったため長期離脱させて改善させました。

こういった判断はとても難しいものです。チームとしても勝利が必要でありそこも十分理解しています。
ただ選手の選手寿命を考慮すると絶対NGでリハビリしていくことが必須であったケースです。

その代わり綿密なプランを提示して、結果1日もズレる事がなくゲーム復帰させる事ができました。
もちろん競技復帰とパフォーマンスを伴う完全復帰は別ですが、その後も悪化させずにシーズンを終えたことは良かった点です。

その代わり毎日1時間以上ケアをしなければ改善していかなかったので、チームが終わった後に自宅で治療して、オフも必ず治療することを続けたおかげで自分の手がやられてしまい、コーヒーカップを持つことで激痛になるほど悪化しましたね。笑

こういった障害は見抜く事ができないシチュエーションです。
病気で例えるなら全く問題ない状態から脳梗塞で倒れてしまうようなケースと同様なのです。

日本新規の活動する選手にとっては日本の環境や練習、試合スケジュールに対応するのが難しい点があるわけです。
こういったケースを事前に予知して予防できるようになれば本物のスペシャリストとなれるのかなと思います。

まだまだというわけです。

主力選手の離脱

1シーズン目もかなり怪我人を減らすことはできたと思います。
さらに2シーズン目も結果的にはより怪我人を減らす事ができました。

足関節での試合と練習の離脱者はゼロにできたことはとても大きなことでしたし、自分の考えとアプローチが正解であったこと、SCとの連携も良くなってコンディショニングチームとしておきな成果に繋がった思います。

しかし、残念だったことは外国籍選手が2名同時に離脱してしまった事が、シーズン中に2度起こってしまったことです。

トータル的な怪我を軽減できても、主力の外国籍選手が2名同時に離脱してしまうと勝敗に大きく影響してしまいます。

普通なら勝ち星を上げられる試合でも敗れてしまい、チームの皆が理解しているけど結果としてマイナスなエネルギーが増加してしまうわけです。

特にシーズン終盤に広島戦でGame1を落としてしまい、Game2も落としてしまった事で広島は勢いに乗ってプレイオフを勝ち取って、我々はそこから落ちてしまったことにつながっています。

このリーグは特に外国籍選手の離脱による影響が大きく、一人離脱するとその穴を周りがカバーしてプレイタイムの増加によって疲労の蓄積でパフォーマンスダウンしてしまい機能しなくなってしまいます。

そのためにセカンドユニットのレベルが高い事がチーム力にも大きな力となっていきます。
特定の選手のレベルが高いだけではリーグ戦で戦いきれなくなってしまいます。

外国籍選手のコンディションをいかに維持向上させられるかが大きなポイントとなるのがBリーグなんです。

ファンの熱量がチームを救う

B1の中でもトップレベルのチームは一味違います。
そのチームにどう戦うかという事はコーチも戦術戦略を振り絞って戦っていきます。

トップレベルのチームといっても十分勝利する事ができる相手ではありますが、連勝することはなかなか難しいものです。

1年目は前半は良い位置にいましたが後半になって力尽きていった傾向です。
色々な問題がありチームでも難しい状態でした。

2年目は外国籍選手の離脱によって良いポジションでいられなかったものの後半9連勝でき良い流れとなっていきました。

このあたりは特にファンの応援の力が大きくチームを後押ししてもらえたと実感しています。

2年目になりホームゲームではほぼ満席の中で試合ができ、共に戦っている感覚が強く湧いてきました。

直接お礼が言えなく、スタッフとして何ができるのかでX(ツイッター)で毎試合後に投稿することがファンの力になればと思って投稿を続けていました。
残念なから3年目途中でチームの方針で個人の投稿ができなくなってしまったことは残念であり申し訳なく思っています。

チャンピオンシップ出場はできませんでしたが仕事としては最善を尽くして望めたシーズンでありました。
前年度よりも勝率を上げられた事、メディカルとしても土台をを作りシステムを作れたと思っています。

飛躍的進化の3年目

この年はHCが続投のはずが急に変更となってしまい大きな変化を迎えました。
プロチームは突然方向性が変わってくることがあり、そこにどう対応するのかはなかなか難しい点です。

勝負の年となるシーズンであり、良い選手も集まったタイミングです。
私の役割としてはもっとメディカルの良い環境整備を構築する必要がありました。

有望選手の獲得

選手層が揃ったメンバー構成となりました。
特にPGの加入は大きな原動力となっていきました。

以前日本代表でも活動させて頂いた事があり日本のシューターと言われてきた選手のリバウンドをとってきた経験の中で最もシュート力がある選手がチームに2名いることは大きな強みとなったと思っています。

とにかく自主練習での安定したシュート力は見ていても、リバウンドをしても気持ちのいいものです。
それでも試合になると決定力が難しくなるのでいかにボールをもらうまでのムーブが重要なのか、ちょっとしたズレを作る難しさを実感します。

今季はとにかく選手層が厚くなり、セカンドユニットでも十分に戦える戦力となったことがチャンピオンシップをつかめた要因だと思います。

トレーナー体制の違い

私の役割はメディカルとして特に外国籍選手のコンディションを整える環境整備で、選手を離脱させないようにしなければならない事です。

そこで配慮して頂いたのがトレーナーを3人体制にしてもらうことと治療器をさらに導入してもらう事です。

プロ選手はトリートメントのタイミングを待ってまで行う傾向ではない事です。
B2の真面目な選手であれば待ってしっかりとケアをして帰るのですが、B1の個性揃いは自分のタイミングが最優先です。

こちらで段取りよくケアをこなしてもうまく回らないことも実際にはあります。
だいたい練習後の自主練習の終わるタイミングや取材などで同じ時間帯となってしまいケアしないで帰宅してしまう選手もいるわけです。

専属のトレーナー2名ではどうしても限界があるわけです。

そこでトレーナーを3人体制にしてもらい選手のコンディションをより管理しやすくしてもらう形を取る事ができました。
元々は手を痛めて治療の一押し一押しで激痛が走り、どんどん悪化していった事で今シーズンはリタイヤする可能性があった為の配慮としてですが3人体制はズバリ的中しました。

うまく選手を分担でき、個人に対してアプローチする時間を確保できたことは大きなメディカルとしての機動力が上がった点です。
もちろん3人になることで別の問題も出てきますが、うまく連携をとってトレーナーとストレングスのコンディショニングチームは機能していたと思います。

もう一つの要因としては肉離れで離脱した選手が昨シーズン出てしまい、どう疲労を蓄積させないで対応するかという点で別の治療器を導入することで防ぐ事ができたことも大きかったです。

限られた予算の中で優先順位をつけて導入することのメリットをしっかり伝えて価値を伝えてチームの上と交渉するわけです。
この2つ目の作戦も的中させる事ができたのが怪我人を減らすことができた点は大きい事でした。

アクシデントで肘の脱臼から手術となってしまったケース、肋骨を骨折してしまって離脱してしまったケースはやむを得ない点でしたが、水土日の連戦続きで1名肉離れが起こってしまったことは我々の責任でもありました。

メディカルとしての環境や成果も他チームからも認められているとの声を聞いていますので良いシステムにこの3年間で構築できたと思っています。

前半戦の飛躍

チームも好調で前半戦は好ポジションに位置し、ファンの応援やサポートが共に成長して飛躍できたと思っています。
後半戦は相手にスカウティングを徹底されて苦戦したもののチャンピオンシップ出場の目標を果たせた事は大きな成果だったと思います。

コーチングスタッフは試合の分析を毎日徹底して長い時間ミーティングを重ねて練習や試合に対応してくれています。

本当にスタッフの中でもコーチらは移動の際も映像を見て分析をして仕事量が多い現実があるのでとても大変な仕事だと思っています。
感謝しかないです。

ですからメディカルも休みでも選手の状態を改善するために治療をして臨む事がとても多く、チームとしてもバランスが必要になります。
我々は特に怪我人が出てしまうと仕事量が一気に増加するので、予防することに最善を尽くしていくことなのです。

ケガの大元は疲労の蓄積です。
いかに疲労させないかがリーグ戦を戦う上で大切な事だと思っています。

チャンピオンシップ出場

リーグ戦の最後までチャンピオンシップ出場がかかっているシーズンは緊張感がとても増加します。
プレイオフがなくなってしまうとどうしてもモチベーション維持が難しくなるものです。

ファンのため、スポンサーのためと分かっているものの難しい事です。

その逆でチャンピオンシップが決定した宇都宮さんとの2連戦は正直お互いが別チームの内容だったと思います。

既にプレイオフ進出を決めていて水土日の連戦の最後の節での試合で疲労感がとてもあった宇都宮さんはいつもと動きが違い強度が低かったと感じました。
我々はプレイオフを勝ち取るために必死て食らいつき、チームとしての意識レベル、戦術、トリートメント、応援など力がみなぎっていました。

出だしから勝機あるなと実感できたわけです。

その代わりCSで当たったらとても難しくなるなとも感じました。

それくらいチームは置かれた状況によって変化する生き物と同じように波があり変化していくものです。

さらにCSとなると全てが別物となってギアが上がっていきます。
試合会場の雰囲気もそうだしプレイもより激しくなり、1プレイ1プレイの迫力や気迫が異なっていきます。

私が初めてプレイオフを出場したJBLの時は優勝できた経験があります。
今回も負ける気が全くなかったので行けるかなと思いましたが、力尽きてしまいました。

私の群馬での役目はここまでです。
あとは来期のメディカルチームに託してさらなる進化を遂げてもらいたいと心から想っています。

個人的な想い

個人的な群馬に対する思いを少しだけ記したいと思います。

チームの飛躍的な発展に関われたこの3年間は本当に充実したものでした。
専属として最後のチームが群馬で本当に良かったと想っています。
ファンの方の熱い応援やたくさんのコメントがとても嬉しかったです。

群馬県もさまざまな地へ行き多くの思い出も作る事ができました。
名物の焼きまんじゅうや太田焼きそばは特にたくさん食べましたね!

プロチームに長年関わって

プロバスケチームの専属として多くのチームと長年に渡り関わってきました。
大塚商会(現越谷)、栃木(現宇都宮)、日本代表、タナンガリドゥ(モンゴル)、横浜、広島、茨城、仙台、群馬です。

当時はB2だったチームも現在すべてB1で活躍しているので本当に嬉しい限りです。
プロチームでも体制や方針、環境が全く異なり、業務内容も違うのでとても勉強になりました。

プロチームは選手やスタッフがシーズン途中でも突然変化するので、常に"一期一会"を意識して対応することを心がけていました。
そして選手を怪我で引退を決断させないをモットーに活動してきました。

その甲斐あって、怪我で引退を決断させる事なくプロチームの専属としての使命を終えられたことは嬉しい限りです。

怪我も大きな怪我は防ぐ事ができたのではないかと想っています。
・前十字靭帯断裂 0名
・アキレス腱断裂 0名
・後十字靭帯損傷 1名
・半月板損傷 1名
・肩関節亜脱臼 1名
・内側側副靱帯損傷 3名
・肘関節脱臼 2名
・腰椎椎間板ヘルニア 0名
・足関節捻挫 多数名

ほとんどが身体接触によるアクシデントで発生してしまい、なかなか防ぐことができなかったケースです。
その中でも重症化せずに軽傷で済んで全て競技復帰できてその後も活躍されています。

もちろん運やタイミングなどその他の要素もありますが。20年以上関わってきて予防としては機能させる事ができたのかと思っています。
足関節に関しては群馬での3シーズンでほぼない状態で対応できました。
2023-24は足関節捻挫での離脱は0名、2024-25シーズンでは足関節捻挫での練習離脱2名だけで済んでいます。

経験値が増加してどうアプローチすれば予防できるのか、何をすれば改善できるのか大きな手応えを掴む事ができました。
20年以上プロチームに関わって大怪我を防ぐ事のノウハウを蓄積できたことは大きく、今後は地域に密着して対応していきたいと想っています。

群馬での出会いに感謝

群馬での活動に際してたくさんの方からサポート頂き誠に感謝しています。
その中でも特に大きな存在となった方々がいましたのでこの場で御礼いたします。

私を群馬に導いてくれたHC水野宏太さんには大きな感謝をしています。
本当はもっと一緒に活動してチャンピオンシップを勝ち取りたかったですが、
お互いチームは違えどそのステージに上り詰めて嬉しい限りです。
再び同じチームで活動できたことは大きな財産となりました。

AGMだった天田さんは私のわがままを対応して頂きメディカル部門のシステム確立に大きく貢献して頂きました。
天田さんなくして群馬クレインサンダーズはなかったと影の立役者だと思っています。
そして吉田GMの決断力にも感謝しています。

AC東頭さんと同じチームで再び活動できたことは大きな財産となりました。
代表チームで共に戦い、プロチームでは初めて一緒に活動でき勉強されてもらいました。
いつも気にかけて頂き感謝しかありません。

SC和田さんからはトレーニングの考え方がとても共感できたくさんのことを学ばせて頂きました。
知識が豊富で勉強熱心でプロ中のプロである姿をまじかで学べたことは大きな財産となりました。
土台作りの立役者だと尊敬しています。これからの活躍期待しています。

ATC山陰さんは群馬にきて共にチームのメディカルを支えて頂き感謝です。
飛躍的にスキルアップし大きな自信をつけたのかと思います。
どのチームでもヘッドトレーナーとして活躍できると思いますので益々のご活躍を期待しています。

AT伊達さんは若手ホープのトレーナーです。
更なる成長と今後の群馬のメディカルを支えてほしいと願っています。

カテゴリーは違えど山田大治U18コーチと再び同じチームで活動できた事は本当に嬉しかったです。
群馬で5チーム同じチームで活動できた事、選手時代からトレーニングや治療と対応させて頂いた事もあり、幸せな時間でありました。
コーチとして更なる飛躍をしてほしいと願っています。

AGM上野さんはとても重責あるポジションですが群馬の構築に貢献する方
ユースの発展にも更なる力を入れてプロチームの一貫性を確立してくれる人材だと思っています。
お身体に気をつけて更なる発展を願っています。

メディカルチームの医師の中川先生、草野先生、伊藤先生、そしてPT天野さんにはいつも緊急の対応をして頂き感謝しかありません。
これからのご活躍を期待していますし、今後も個人的にお世話になりたいと思っています。

今後の活動

私自身の今後は7月に宇都宮でミズノ治療院スポーツマッサージをスタートします。
まだ店舗が調整中であり、はっきりとした事が伝えられませんが挑戦していきます。

長年プロバスケチームで活動してきましたが、プロ選手はとても繊細で少しの変化によってコンディションが変化して競技に影響します。
ただごく一部の選手だけを見ていると自分の今まで培ってきたスキルと経験が活かせなくもっと対応しなければという思いが募ってきました。

今回U15やU18の選手と関わらせて頂き、アンダーカテゴリーにトレーナーがいても選手一人一人と向き合う時間が限りなく少なく悩んでいる選手が多いことや別のプロチームからも相談される機会が多くなりました。

悩んでいる方々が本当に多いと実感しています。

バスケットボールという競技を自分でもしてトレーナーとして活動し、プロチームや日の丸での経験もさせて頂きました。

そろそろバスケットボールに恩返ししなければならない時期であり、プロチームの専属トレーナーという枠を卒業して悩んでいる方のサポートができればと想っています。

スポーツ選手だけでなく、むしろ一般の方にも対応できるかと思っています。

これまで情報発信としてこのブログからスタートしてさまざまな事をオンラインで実施してきました。

・「ジャンクトレーナーのケアルーム」を8年間運用してきました
https://junk-trainer.xyz

・その次にコロナ禍となった際にTikTokで情報発信しました。
https://www.tiktok.com/@junktrainer

・群馬に来てからPodcastで音声発信もしてきました
https://stand.fm/channels/64279afac881d58fc5c24393

・テーピングだけのインスタグラムでも1年前から情報発信してきました
プロレベルのテーピング技術に導く先生
https://www.instagram.com/junk.trainer_/

・今回7月下旬よりミズノ治療院スポーツマッサージをオープンします
https://www.junk-trainer.com/

ようやくオンラインだけでなくオフラインでも活動することができますので、お身体に何かお悩みがあればご連絡いただきたく思います。
今後ともより精進して活動してまいりますので、暖かく見守っていただければと思います。

プロチームの専属は卒業しますが、サポートスタッフしての関わりは行っていきたいとも思っています。
私を必要としてくれるチームや機関がありましたらご連絡いただければと思っています。

群馬に関わる皆様方、本当にありがとうございました

水野彰宏

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