トレーナー トレーナーの仕事

プロチームのトレーナーとしてのメディカル総括の役割と今後の課題

プロチームにもカテゴリーがあり、トップチームだけでなく、高校生の年代がアンダー18、中学生の年代がアンダー15、小学生の年代がアンダー12、など細かく細分化されています。

大会によってはアンダー14の大会などもあり、組織でもチーム編成が各カテゴリーに分かれて実施されているチームも多くなってきました。

私が関わるプロバスケチームでもアンダーカテゴリーの強化に力を入れ出しているチームも出てきています。

私自身メディカルスタッフの総括として今シーズンかからせて頂き3ヶ月が経過しました。

その中で役割や今後の課題もさまざま見えてきた部分もあるので記したいと思いました。

プロチームの組織体制

プロバスケチームでは組織は現在トップチーム、U18、U15と各チームあります。アンダーカテゴリーがないとプロ組織としてのライセンスがなくなってしまうためめ、現在U18、U15はほぼマスト化されています。

さらに今後U21やU12なども増えていく傾向となっています。

トップチーム

現在トップチームは男子の場合Bリーグとしてほぼ全国の都道府県にプロチームが発足されてきています。

トップチームのトレーナーの役割としては、選手の予防、治療、リハビリなどメディカルに対応しています。
その中にはテーピングを巻くこと、ストレッチをしたり治療したりといかに選手がシーズンを通して良い状態でのぞめるかという点に関してサポートしています。

アンダー18

高校生のカテゴリーであり、専門的な競技特性も出てくる年代であります。

トレーナーとしてはチームに不在なケースもあり今後専任のトレーナーが必須条件となってきます。

まだU18は活動実績も少ないため、今後の発展が期待できる部分ではありますがスタッフとしてもマンパワーも少ないのでどうしても兼務せざるを得ない場でもあるのが現実です。

そのためストレングスコーチの要素も必須となりトレーナーとしての対応できる幅がある方がニーズに対応できるのかと考えます。

競技特性の発生頻度の高い怪我への対応や個人のアライメントや癖による悪化をいかに防ぐかコーチングや練習強度のマネージメントも必要となります。

アンダー15

中学生は成長期真っ盛りの年代なので成長痛や動作習得、知識や経験値としても低いので教育要素も必須です。

バスケットボールの場合プロ球団では専任トレーナーが必須となっているのでこの辺りはU18よりもより良い環境であるかと思います。

しかし、選手の人数も多く1人での対応にも限界があるのが現状で何ができるのか、アプローチの仕方も考慮していく必要もあります。

さらに保護者との関わりもとても大切となるのでコミュニケーションをいかに上手く対応していくかもポイントとなるでしょう。

その他

アンダー12は小学生なので自己判断も難しく、大きなトラブルにもつながります。U15もそうですが体調不良にもなりやすく、学校でのはやり病での感染もあるのでチームとしての飛沫感染も含めて内科的な要素も必要となります。

大学生のカテゴリーも今後プロバスケでは作られていくのでプロ選手を組織として育成させていく形式が構築されていくでしょう。

サッカーではプロ組織が大きく発展していますが、バスケットボールの場合では中学生ではプロ組織と部活動では現在プロ組織がレベルが上がってき始めました。

しかし、高校生では高校の部活動の方がまだまだレベルが高くプロ組織のU18への進出よりも高校を選ぶ傾向となっています。

この辺りは今後プロ組織が力を入れて組織強化必須となっていくかと思います。

組織の意識改革

実際にプロチームでもう24年ほど活動していますが、プロチームでも各カテゴリーが連携をとって組織としてトレーナーを育成するような構図にはなっていないのが現状です。

トップチームでは即戦力が求められ、アンダーカテゴリーは未熟な新人に任せる傾向があります。
またスポンサーの病院や接骨院からの出向となり連携しづらい状況もあります。

アンダーカテゴリーは通常平日の夜学校終了後の19時頃から練習開始が多く、遠方や保護者の送迎もあり問題となるケースもあります。
さらに夏休みなどの長期休暇期間では午前中や日中と時間変更となるのでトレーナーが不在となってしまうケースも実際にあり、専任の必要性も実感しています。

チームルール

トップチームでは当たり前のメディカルルールがアンダーカテゴリーでは曖昧になりがちである

・怪我をした際に練習に参加できない場合は整形外科受診し画像検査実施
・体調不良の際はトレーナーに連絡して指示に従う
・体調不良の場合内科受診して原因の特定をする、最低限飛沫感染のインフルエンザとコロナの検査実施

このようなルールがトップチームでは当たり前のことであるがアンダーカテゴリーではルール化されていない

体調不良でも練習に来てしまう選手やスタッフが多く、チーム内感染してしまうケースが特にアンダーカテゴリーでは頻発していた
遠征先で発熱しても病院へ受診もさせずに様子を見てそのまま帯同させてしまった

などいろいろなシーンで問題となっていた。

・アンダーカテゴリーのルール設定をチームスタッフで確立させる
・組織としての秩序を守ためにも徹底させる
・本人が大丈夫だと思っていても周りの人間にとって迷惑や不安感が出てしまうから受診させて確定診断によって安心感も得られる

真面目な人間ほどチームに来てしまう傾向が強いが、組織としては相反する行動であることを認識させる必要もある

メディカルがブレてしまうと保護者や選手の考え方はさまざまなので収拾がつかなくなってしまい組織として遂行力にも影響するわけである。

トレーナーの意識改革

個人的な意見としてアンダーカテゴリーほどベテランが必要と実感している。
なぜならさまざまなシーンで少人数の中敏速に対応して規律を守る必要があるわけであるので決断力も必要となる。

そのためには経験値が重要であるのでベテランが必須となるが、人件費の問題があるので若手や経験不足のトレーナーになりやすい傾向である。

アンダーカテゴリーは正直収入となるものが少なく、アンダーカテゴリーだけでは赤字経営となってしまう。

そのためトレーナーの育成が必要となり、意識改革が必要となります。

・自分自身に求められていること
・強みはなんなのか
・何ができるのか
・何をやらなければならないのか
・チームを良くするためには何が現実に行えるか
・チームとして取り組むべき事項
・トレーナーとしての考え方やアプローチ方法

このような点でトレーナー自身の成長を促すサポートをしていく必要があります。

気づきと指摘

若手のトレーナーはまだまだ経験値不足です
トレーナーに気づきを与える必要があります。

トレーナーの対応にもさまざまありますが、知っているか知らないかの部分もあります。

・知らないことを教えてあげる
・知っていても現場で活用できていないなら活用方法を示してあげる
・現場のトレーナーに自分自身で遂行する責任感を持たせる
・ダメなことはダメ、改善の余地があればその方の成長のため指摘する

総括としての役割として誘導して、レールに乗せてあげることも一つである。
そして自分自身で実行させて成功体験を得られるように導くと自信となって更なる発展につながる

トレーナーの個性を活かして、強みを活かして、やり甲斐を与えて、遂行力を引き上げてあげると組織としての人材が強化される

データ蓄積

トレーナーとして実際に行っている業務をデータ化する項目を作り出すことで評価の際にプラス要素となる。

主観的なものだけでなく客観材料としてテータ化しておく事で目に見える形となって蓄積でき、そのデータを元に選手がモチベーションを向上できるようにすると意識改革をチームとして実行でき、6ヶ月後には組織レベルが大幅に強化される

・例えば体重を定期的に測定しても、データ化せずにただ測定しているだけ
・体重のデータから何を導き出すのか、どう意識させるのか

チームでデータ化するよりも個人ベースでデータ化した方が明らかに意識改革できる。

・体重だけでなく、周囲計を測定することで食事とトレーニングの変化もデータ化でき改善点が見えてくる
・体脂肪率を測定すればさらに細分化されたデータ燃えれるので年代で必要となることもある

高校生のアンダー18では身体組成の測定によって大きな変化や取り組み方の改革が行えるのでコーチの教育、指導、アドバイス、練習メニューの構成なども意見ができるようになる。

怪我の発生状況をデータ化すれば時期、練習頻度、練習強度、試合の組み方なども検討することができるのでトレーナーレベルでもチームにとってさまざまなアイデアや意見交換ができるようになる。

ニーズに応えるサポート体制

プロの組織ではトレーナーといえど専門家として給料をもらっているのだからプロフェッショナルなマインドが必須となる。

技術や知識、経験値が低くともプロマインドは必ず持っておかなければならない。

プロとして競技力を高め、怪我を予防して、早期復帰させることが最大限プロの一員として対応すべき点である。

プロとしてのサポート

中学生や高校生の部活動は毎月の部費はあったとしても月謝としての支払いはなく、プロ組織として大きな価値を出さなければならない。

そのため、その月謝に対する選手満足、保護者満足を与えるサービス業としてのマインドをしっかり持って仕事に臨む必要があり、その考え価値観がチームに浸透して組織力の向上につながり、アンダーカテゴリーに価値を見出してスポーンサーが支援してくれるわけである。

我が子をプロ組織に入れたいと思わせる競技力、育成力、人間形成力、専門知識、サポート体制を提供する事でプロフェッショナルな存在となって差別化できるのかと思っている。

コーチのマインドセット

トレーナーにもさまざまな資格がありアスレティックトレーナーだけでなく、医療資格者もスタッフをしています。

これと同様にコーチにもさまざまな考えの方がいるので相性もあったり、医科学に無関心の方も実際にいます。

トレーナーとしてはコーチの言いなりになるのではなく、むしろ不足を補い医科学知識を与えて練習の効率性、負荷のかけ過ぎ、慢性疾患の多発などコミュニケーションによって改善できることも多くあります。

チームマネージメントに対するアドバイスや指摘を与えてチーム組織にとってより良い構成も必要となります。

アンダーカテゴリーは保護者との関係性もあるので良い意見に対して環境改善の必要性や協力をもらうこともできます。

選手や保護者とコーチの間にも入りやすい立場であるので、コーチマインドを良い方向へ導いて組織として応援してもらえるような形に整えることもトレーナーにとっては必要な部分もあります。

成功体験の経験をさせる

選手にとって刺激を与え、モチベーションを維持向上させ競技力を向上させること、小さな成功体験を積み重ねていくことで大きな成長へとつながります。

これはトレーナー自身にとってもそうです。未知の領域であれば成功体験によって自信となり、さらに向上意欲も湧いてきます。いかに現場のトレーナーが自ら考えて実行して成功させられるか、ということを導いてあげると組織力、人間力、トレーナー力として成長させられ指導者としても自分自身が成長できるポイントとなります。

今後の課題

プロの組織といえど発展途上であり、まだまだ環境の改善余地は多々あります。

この辺りは日進月歩で日々進化していきます。

環境面だけでなく、人材としても必要であり、財政力も必要となります。

バスケットボールのプロチームではまだまだ学校法人のような選手の寮やトレーニング環境、施設など不十分であります。

課題はどのプロチームでも山のようであるかと思います。

より良い環境整備

プロチームといえどGMの弱点はメディカルにとても弱い事です。
そのため人材の適任者がなかなか見つけられないことが問題となります。

そのため今後プロチームも組織としてメディカルスタッフやトレーナーの人材確保は大切な点となるはずです。
そして組織をまとめる総括やディレクターの存在が必須となるでしょう。

私が関わるようになってまだ3ヶ月ですが、アンダーカテゴリーに一気に組織改革は行っていません。
なぜならそれまでなかった文化をいきなり変更すれば反発しか生まれません。

私が最初にとった手段はとにかく参加して現場を見て、問題を把握することでした。
ですから週1-2回トップチームの練習後にU18/U15に参加して状況の確認です。

言いたいことは山のようにありましたが、選手とのコミュニケーションを実施して存在を知ってもらうことからでした。

1ヶ月間はほぼ経過観察で何が必要で、何が問題で、今後の改善点を見出し、トレーナーのモチベーション維持向上しつつ、アドバイスだけ与える。
その後、こちらが手を出しても支障のない部分でデータをとっていくことにしました。

身体測定、練習前に実施すべきアクティベーションの提案も行い、トレーナーになぜこれをやるべきか、実施して数週間経過した変化を実感してもらう。
その結果選手のモチベーション、パフォーマンスを評価していく。

選手の意識レベルの大きな変化があり、取り組み方、成功体験、変化がない課題への気づきなどチームとして良い反応が起こっています。

最も良い影響はコーチやチームをまとめている総括が大きな変化に対してしっかりと認識して対応して実行してくれていることです。

今後としてきっかけづくりは成果を実感しているので、トレーナーの思考のレベルアップをして自ら実行してより良い対応を目指していくことです。
今は私がサポートしていますが、アドバイスだけで対応できるようになればとても良い関係になるかと思います。

ライセンスによる対応の変化

プロ組織でもトレーナーの資格が必須となり、リーグによる規約があります。

そして2年後にはそのルールがさらに微しくなりトップチームでのトレーナーにはトップチームの実務経験が必要となってきます。
ですからアンダーカテゴリーからトップチームに上がるも実務経験が必要となるのでこの辺りの対応策も構築しなければならならない現実が出てきます。

トレーナーを育成してもトップチームで働けないと年俸の上昇は厳しいのがアンダーカテゴリーのデメリットとなっている現実があるので改革が必要となってくるかと思っています。

スタッフ増員の理解

トレーナーとしてプロチームに関わるには必須の資格もあります。
さらにプロバスケリーグでは3シーズン後から始まるプレミアムリーグに移行されるにあたりトレーナーの必須条件も上澄されます。

そしてリーグの規約によりアンダーカテゴリーからプロ選手を輩出する事で大きなメリットにもつながっていきます。

今からアンダーカテゴリーの強化をする必要性が出てきました。

それに際しアンダーカテゴリーのスタッフ強化も必須となりより良い環境整備も重要視していく必要があります。

トレーナーはトップチームで活動するに際して資格プラス実務経験を要するようになり、条件を満たさないとあくまでも見習い扱いとなるため収入に反映できないかと思います。

より即戦力となる人材をどのチームも確保したいかと思いますが、人材を育成する制度も構築しなければなりません。

トップチームは日中の活動に対して、アンダーカテゴリーは夜の活動になる傾向が高く、現状経験値を積むことは可能ではありますが、毎日では疲弊してしまいます。
この辺りも含めて経験値を向上させることも大切な点かと思います。

総括するポジションの確立

トレーナーだけでなく、GM、ストレングスなどプロ組織として専門知識のある分野ごとに総括が必要になっていくかと思います。

各カテゴリーの連携されたシステムづくり、スタッフ同士の同じスタンスなど必須になっていく土台を作り上げるには上に立つ者が必須となります。

しかし、こちらも兼務して全てを見るということはかなり無理が生じてしまい、遂行力が低くなってしまう傾向にあります。

実際私はトップチームで専任をしながらアンダーカテゴリーの練習に参加して現状を把握して、対策を検討し、トレーナーに負担がかからないように工面しながら改善点を実施していく形となってしまいます。

平日にも試合があり、遠征もあるので正直いくら時間があっても足らない状況となってしまいます。
中途半端にならざるを得ない状況であり、難しい問題となってしまいます。

専属で全てのチームを把握するメンバーがうまくサポートしながら進められると組織として効率よく発展していくかと思っています。

まとめ

今回、プロチームのトレーナーとしてのメディカル総括の役割と今後の課題というテーマで記事を作りました。

私自身まだ総括としての経験値不足ではあり今後とも力を入れていかなければならない分野は多いものです。

まとめ

この辺りをまず実行していくと良いかと考えています。

レベルが明らかに低い場合ははっきり言って育成するよりも優秀な人材にシフトすべきだと思いますが、そのための準備も必要となり、いかに現状のなかで良い組織づくりに変更していけるかも大切かと考えています。

この記事が参考になれば幸いです。

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