プロチームでも一般社会人と同じで体調不良になるケースは多い。
心の病も多い職業だと思っています。
プロチームは勝敗に左右される仕事であり、スタッフも勝敗によって空気感が大きく変化する環境となるため、常に緊張感、緊迫感、使命感など心に秘める想いも強いかと思います。
最近感じること
特に最近感じることは、外国籍選手のうつ症状を抱えている選手が多くなってきている傾向かと感じる。
現チームではそういった選手はいないのだが、別のチームではそのような傾向があった。
話を聞くとアメリカでは幼少の頃から当たり前のようにカウンセリングも受けているとのこと。
この辺りは日本とはまだまだ文化の違いを感じてしまう。
プロチームは勝敗にも左右される
私の所属しているバスケットボールのプロリーグでは1週間で2-3試合実施し、レギュラーシーズンのリーグ戦で60試合ある。
チームの状態が悪くても試合に勝っているとそれなりに良い状態で過ごせます。
逆にチームの状況が良くても、試合に負けてしまうと歯車はくるってきます。
遠征中の勝った後のバスは盛り上がり、逆に負けた後のバスの雰囲気はお葬式のような静まり返った厳しいものです。
試合後にヘトヘトに疲労しているスタッフは、次の試合に向けて準備しています。
コーチ陣は試合の映像を確認して、修正ポイントを探し、マネージャーは次のスケジュール管理に追われ、トレーナーは怪我人の対応と、シーズンインすると休みがないような状況下で8-9ヶ月間活動していきます。
選手は肉体的な疲労と精神的な疲労の中戦い続けなければなりません。
スタッフはとにかく時間に追われ、脳の疲労が大きくなっていきます。
いかにオンとオフを作り、リラックスできるような環境を整えるか、ということは各自共通して言えることかと思います。
シーズン中メンタルの状態をいかに保つ事ができるか、とても重要なポイントである。
プロチームは各職種が専門職となる
プロチームは各自が専門職となります。大きく分けるとコーチ、マネージャー、トレーナーといった感じです。
そのため、同じ職種のメンバーは2-3人構成が多く、1人というケースもあります。
現在の所属するチームではトレーナーが1人体制ですので、正直コロナにでもなったらチームは回らなくなります。笑
各自が専門職として、同種でも役割分担をしているので、同じ業務をしているケースは限りなく少ないかと思います。
そのため、各自が責任を持って業務にあたるということとなります。
コーチ
ヘッドコーチ
チームの指揮を取り、勝敗の責任を問われる立場となる。常にメディアにも取り上げられチームの状況が悪くなると問い詰められるので、うまくいっていれば良いのだが、負の連鎖に陥るとメディアから、スポンサーから、また会社の雰囲気も悪くなる。
チームの状況も悪くなるので、一旦悪くなると立ち直すのがとても難しくなりコーチ自身追い込まれるケースも少なくない。
アシスタントコーチ
ヘッドコーチの右腕となって補佐するのがヘッドコーチの役割で、時にはヘッドコーチの軌道修正役に回らなければならない。
映像を観て、編集して、アナリストとしても活動しなければならず、シーズンインすると寝る間も無く映像との睨めっことなり、チームにとって必要な戦術をまとめあげる役割となる。
時間と映像と常に戦術を考えているので、睡眠不足に陥り、体調を崩すケースが多く、脳や目の疲労から頭痛が絶えなくなる。
そして練習でも体を動かすので、肉体的にもしんどくなっていく。
真面目で頑張り屋なほどメンタルがやられ、闇に陥りやすくなるように感じている。
マネージャー
マネージャー
マネージャーはチームの要となるポジションとなり、スケジュール調整、遠征の手配、ホテルやバスなどの手配、フロントスタッフとの調整役、洗濯や雑務もあり、やる事は多く追求すればするほど仕事は尽きない。
一人体制か二人体制かで仕事の内容も異なってくるかと思いますが、いずれにしても本当にハードワークを強いられてしまいます。
チームの体制が整っているチームであれば、まだ良いのだが、そうでないと全ての手配を代行してくれる中間業者が入らずに自ら調整しなければならなくなると仕事量はとてつもなく多くなってしまう。
若く経験値が少ないマネージャーだとキャパオーバーとなってしまう。そうなるとエラーが多くなり、信頼が薄れてしまうと仕事を任せられなくなってしまう。
次の対策としては人材を増やす必要があるのか、負担を軽減させるかという調整をしなければならなくなり、当人は闇に落ちていってしまう。
最初は活力があったのに、あまり喋らなくなり、距離をとるようになり、顔の表情が暗く、低いテンションとなってしまう。
そうなる前にサポートしてあげないと、鬱状態になってしまい、しばらくすると辞めたいと言い出し負の連鎖になる傾向となる。
通訳
通訳の仕事はとても多い仕事となります。
練習中や試合での通訳業務をイメージするかと思いますが、それだけではありません。
外国籍選手の生活のサポート、市役所などの手続き、病院への帯同、買い物の手伝いなどたくさんの雑務が待っています。
外国籍選手は日本の生活に慣れるまでは、様々なトラブルを引き起こします。
そのため、その都度連絡が来て呼び出される事が多く、計画や予定もその通りにはいきません。
外国籍選手に振り回される傾向があり、ストレスがかかっていきます。
トレーナー
アスレティックトレーナー
トレーナーは一番は肉体労働であることがとても辛い仕事であります。
選手のケアやストレッチはとても疲労していきます。チームの雑務をかなりの部分で負担するのもトレーナーの仕事となっていきます。
病院への同行、怪我への対応とアクシデントがあれば選手の病院への手配など緊急性が問われます。
そのため、チームがオフでも予定を入れることはできず、ほとんど休みもない状況が続いてしまいます。
遠征では大量の荷物の運搬をして、選手のケアをひたすら行う形となり、ゆっくり食事も取れないのが現状です。
医師との連携、病院との連携、メーカーとの連携なども多く、シーズン中疲弊していきます。
一番はオフというオフがなかなか作れないので、オンとオフのスイッチの切り替えができず、常に仕事に追われている感覚が抜けないことがしんどいです。
医師
通常の医師としての業務があり、その他の時間でチームに関わるため、時間に追われてしまいます。
病院が休みの時に仕事としてチームドクターとして活動するので、年間通して休みは少ないのが医師となります。
チーム自体に同行する機会は少ないものの、常に多忙な日々を過ごしているのかと思います。
プロチームの心の病のパターン
プロチームでの心の病に陥るパターンはいくつかあるかと思います。
ストレスを感じてしまうケース
- 人間関係
- 自分より周りのレベルが高く劣等感
- 自分より周りのレベルが低くイライラ感
- 仕事量が多すぎてキャパオーバー
- 周りからのプレッシャーによる疲弊
- オンとオフの切り替えができずうんざり感
- 一人で抱え込んでしまい吐口のない孤独感
ストレス対策として
社会人の場合、ストレスをどのように対策するのかという場合、会社に掛け合っても実際には変化が起こりにくいように感じます。
しかし、プロチームの場合はこの辺りは改善されやすいように思っています。
プロチームの組織は、勝敗に左右されることが多く、その結果からヘッドコーチの交代など実際に起こってきます。
ヘッドコーチが変わることで、様々な点が変更になる事も珍しくはありません。
一番は人間性になってしまいますが、GMに問題点をしっかり話すことはとても重要だと思っています。
GMはチームが勝利に向け最善のチーム体制を考えることが仕事となるため、バランスを取るという点に関しては実行する働きはあるかと思います。
とはいえ、チームのなかで選手やヘッドコーチの影響は強いので、その他のスタッフは二の次になってしまうのは仕方がありません。
対応策として
- GMに問題点を伝える
- 一人で抱え込まずチームの仲間に相談する
- オンとオフを短時間でもメリハリをつける
- リラックス方法を見つけ出す
- 身体を動かす
- そのシーズンは我慢して凌ぐ
- 他チームの同じ立場の方と相談できるようにする
- 全く別世界の方・専門家に話をする
GMに問題点を伝える
GMはチームをよくする責任者であるため、問題点があれば修正をかけチームが良い流れを生み出す環境を整えることが仕事となる。
そのため、一人に負担がかかるような体制であれば、人材を増やす検討をする必要があり、その予算が確保できるのか調整もしなければならない。
プロチームはどちらかというと、明らかにキャパ不足や能力不足でチームが回らない場合は、そこの補充をしていく形となる。
トラブルが発生したら回らなくなるような構成であっても、仕事ができるタイプの人には負担を軽減するような体制づくりは、翌シーズンの話となる。
明らかな問題があって初めて対応するという後手の流れとなることの方が圧倒的に多い。
そのため、個人に発生するストレスは緩和せずに蓄積していく一方となるのも事実である。
しかし、GMに訴えかけなければ、改善することはないので、まずは相談することが大切となる。
一人で抱え込まずチームの仲間に相談する
プロチームは専門職の集まりで各自が独立したポジションとなるケースが多い。
しかし一つのチームとして成り立つので、仲間に相談できるような人間関係の構築をしておくことはとても大切である。
お互いを思いやり、尊重できる関係性は、問題があった時に仲間を助けてくれる行動をしてくれるかと思います。
オンとオフを短時間でもメリハリをつける
仕事はいくらでもあるわけで、自分で線引きをしなければ、いつまで経っても終わらないのがプロチームの仕事である。
チームの仕事はOFFであっても、正直やることは多く、仕事をしなければ後々大変になってしまうもの。
そんな中でも、いかに効率よく、質の高い仕事をし、メンタルダメージを少なく保ちながら行えるのかという事は重要かと思っている。
トレーナーとして
私はトレーナーとしいうポジションで仕事をしているが、オフの日でも選手の治療や病院帯同などやる事は多い。
オフの日でも13時から14時頃には仕事を終わらせて、自分の時間を作りメリハリをつけるようにしている。
リラックス方法を見つけ出す
とにかく疲弊していくメンタルをいかに正常に保ちながら仕事をしていくかという点でリラックスする方法を見つけると良いかと思う。
人によってリラックスできる方法は異なるので自分なりのことを見つけると良いかと思う。
・コーヒー豆の種類
・お茶碗の模様
・お風呂に入りながら動画鑑賞
などなどプチ幸せを意識!笑
身体を動かす
ストレスが溜まり鬱状態に良いこととして
・太陽にあたる
・身体を動かすこと
学校の授業で勉強した中でも簡単にでき印象に残っていることです。
いつもと違った事をやってみるのも一つかと思います。
私の場合
毎日のように汗をかいているし、毎日体育館に行っているので、逆に活動したくない病に陥ります。
どちらかというとアウトドアは好きではないのですが、キャンプやバーベキューは疲れるのでパスですが、自然と触れ合う程度で良い景色を見る事はとてもリフレッシュできます。
そのシーズンは我慢して凌ぐ
プロチームではプロチーム間の移籍は、選手だけでなくスタッフもとても多くなっています。
最近では完全な引越し族となっていますが、チームによって体制や環境は全く異なるのが事実です。
誰もが仕事にやりがいや生きがいを見出し、活動していきたいと思っていますが、現実はなかなかうまくいかないものです。
今シーズンは耐える,,,という事は多くの年月で経験してきた事であり、今後もそのようなケースはあると思っています。
自分自身で変えられるものと変えられないものがあり、仕方がないことも多々あります。
変えられないことにエネルギーを注いでも、正直疲れるだけで進展しないことが多かった経験があります。
変えられることにチャレンジし、自分のエネルギーを注ぐようにしていくことが前進できるという考えです。
他チームの同じ立場の方と相談できるようにする
チームが違えど同じ肩書きの方はたくさんいます。そのような方とのネットワークを構築することで、さまざまな意見やアイデア、ケースを知ることができます。
自分よりも悪い環境で仕事をしている人もいれば、そういうやり方もあるんだという気づきを得れる事もあります。
いわゆる横のつながりを作ることで獲れるものも多くあるかと思います。
さらにその後のタイミングでは引き抜きをしてもらえる可能性も出てきます。
若いうちからネットワークを構築しておくとプラスになることも多いかと考えます。
全く別世界の方・専門家に話をする
自分自身ではどうしても解決までいかない、メンタルの疲弊が増加するような場合は、全く別世界の方との友達を作ってオンとオフを切り替えるというのも良い対策となります。
さらに専門家に相談するというのも、科学的にサポートしていただけるので、安心材料も増えるのかと感じています。
なかなか精神科に受診するということはハードルが高い事だと思います。ましてプロチームのスタッフはたださえ時間がない状況であるため、病院に受診することさえままならない事だと思います。
気軽に相談できるコミュニティー活用するのも一つだと思います。
心の病になる前に
現代の社会ではプロチームでも心の病になる方は多いです。
自分自身を追い詰める前に、どのようにすれば改善できるのか、相談できるのか、リフレッシュできる事はあるか、事前に準備して備えられるように工夫してほしい。
それでも改善できないような場合は、早めに専門家やケアしてくれるところを活用し、初期の段階にて改善できるようにしよう。
プロチームで長年仕事をしていると私自身のコントロールはできても、仲間のコントロールはできないものである。
チームのバランスを考え、各自が仕事しやすいような環境づくりを目指しているが、うまくいくとは限らない。
特に近年感じることは、選手の精神面の不安定さはよく目にするようになっている。
ひと昔前は、パワハラなど当たり前のような時代であったが、現代ではそうはいかない。
病名もどんどん細分化され、ついていけないほどとなっている。
プロチームでうまく働き、選手だけでなくスタッフも子供たちの憧れの存在になれるような体制になればと願っています。