近年CBD製品がよく目にする機会が増えている。
CBD自体は体にとってとても良い働きをする。しかしアスリートが使用するにはドーピングの問題があるため、製品選びに注意が必要となる。
なぜならCBDはドーピング違反ではないが、THCが含まれていることが多く、THCはドーピング違反になってしまうからだ。
この記事ではCBDに関して記し、CBDとTHCとの違いやドーピングに関して理解を深めていただければと思っています。
結 論 |
CBDはドーピングにならない ただしCBD製品にはTHCが微量含まれているため要注意 THCは日本は微量でも所持が違法となる競技会外検査(抜き打ち検査)ではTHCは使用しても大丈夫 競技会検査(大会中)は使用禁止CBD製品を使うなら自己責任となってしまう |
大麻草とは
大麻草(カンナビス・サティバ)はいろいろな呼び名がある。
マリファナ、ウィード、ポットなどとも呼ばれているが全て同一のものである。
大麻草とヘンプ
大麻草とヘンプの2つは同じアサ科のアサ属の植物である。
ただし、遺伝子的にははっきり区別でき、進化過程も歴史も異なっている。
茎、柄、根、花穂、葉からなっている。
この全体がベトベトした微細な毛に覆われていて、この毛をトリコームと呼び、大切な成分が全てこの毛の中に入っている。
THCとは
THCはテトラヒドロカナビノールという。
よく言われる大麻やマリファナの原料でハイになることで知られている。多幸感を与える。
医療用としては疼痛知覚、気分、空腹感、筋肉の動きのコントロールに影響するといわれている。
CBDとは
CBDはカンナビジオールという。
THCのようなハイにはならない、多幸感を生じない。
そのため現在さまざま分野で期待されているものである。
茎と種から抽出して作られている。
CBDの主な効能
- 制吐作用:嘔吐
- 抗痙攣作用: 痙攣発作
- 抗精神障害作用: 精神疾患
- 抗炎症作用: 炎症性疾患、鎮痛
- 抗酸化作用: 神経変性疾患
- 抗がん作用: 腫脹、がん細胞
- 精神安定作用: 抗うつ、不安症、うつ病
副作用
基本なし
ただし個人差はもちろんあるので合わない際はすぐ使用中止を
CBDオイル使用で頭痛の報告はあり
処方薬とCBDを併用する際は必ず医師に相談するように
麻薬及び向精神薬取締法
大麻やマリファナは国によっては合法な国もある。
医療大麻制度のある国もある。
日本の場合
麻薬及び向精神薬取締法
THCが検出されたら麻薬及び向精神薬取締法違反にあたる。
そのためTHC成分が含まれている製品を日本では所持できない。
大麻取締法
成熟した茎及び種から製造されていることを証明する製造証明書が必要となる。
成熟した茎と種だけしか作れないんだ
上記の2つが認められないといけないんだ
アメリカの場合
THCが0.3%以下なら合法であるが、州によって非合法もある。
世界各国の場合
・カナダはTHCが0.3%未満なら合法である。
・EUはTHCが0.2%未満なら合法である。
・ロシアはTHCが0.1%以下なら合法である。
・スイスはTHCが1%未満なら合法である。
各国によって異なっている。
矛盾が発生している
ここで問題なのが、日本に輸入されていることである。
日本の場合、THCが検出されたら違法となるのであるが、実際にTHCが含まれたCBD製品が流通している。
CBD製品を輸入するには法律に基づいた書類を提出しなければならない。
アメリカのCBD製品はTHCが0.3%以下なら合法であり、そういった製品が税関を通って正規輸入されている。
つまり、成分を調べた際にTHCが検出されなければ輸入可能であるということです。
ドーピングのルール
WADA(世界アンチ・ドーピング機構)の禁止物質の表から確認することができる。
ドーピングには2種類あり、大会中の競技会検査と抜き打ち検査の競技会外検査である。
THCに関してはカンナビノイドとしてS8という分類にあたり、競技会で禁止物質と指定されている。
そのため競技会外検査では陽性とならないのだ
S8.カンナビノイドの項目では天然カンナビノイド、合成カンナビノイドはTHCを含め禁止されている。
その下にカンナビジオール(CBD)は除くとなっている。
そのためCBDはドーピングにはそもそもならないということである。
ドーピングに対して
・競技会検査(大会中、リーグ中)は禁止となる
・競技会外検査(抜き打ち検査)では使用しても大丈夫
・CBDはドーピング違反にはならない
法律とドーピングは別物である
ここで問題なのが、CBDの製品にはTHCが国によっても異なるが、アメリカだと0.3%含まれていても合法である。
そして正規輸入の許可が下りたとしても、ドーピング検査ではTHCが検出される可能性があるということだ。
完全にTHCを排除した製品づくりということは現在まだまだ抽出方法や製造過程でさまざまな問題もあるため、ドーピングに関して完全に安心して使用できるレベルではないということである。
この辺りを以下の項目で記していく。
バスケットだとオフの期間のみ使用可能という形になるかな
使用するにも自己責任だよ、2年間競技できなくなる可能性がある
CBDの原材料
大麻草とヘンプから抽出できる。
CBDは樹脂の量なのでヘンプは少量しか取れなく、大麻草は多く取れる。
割合としてはヘンプにはCBDが多く含まれている。大麻草にはCBDが少ない。
それでもヘンプよりも大麻草の方がCBDを多く取ることができる。
大麻草からの材料
同じ株から取れるCBDの量として大麻草の方が多く取れること、またヘンプよりも大麻草の方が治療効果が大きいこと。
流通は大麻草からの方が発達している。
大麻草の場合アメリカでは法律もしっかりと整っている。
アメリカは州によって
・大麻が非合法であればCBDも非合法である。
・医療大麻制度がある州では患者であればCBDは合法となる。
・医療大麻制度がある州で、嗜好大麻合法であればCBDも合法である。
・合法の州から合法の州へCBD製品の輸送はNGである。
2019年9月のアメリカ状況
医療大麻制度合法の州と米国領 |
アラスカ州、アリゾナ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、デラウェア州、フロリダ州、ハワイ州、イリノイ州、ルイジアナ州、メーン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミネソタ州、ミズーリ州、モンタナ州、ネバダ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、ノーズダコタ州、オハイオ州、オクラホマ州、オレゴン州、ペンシルバニア州、ロードアイランド州、ユタ州、バーモンド州、ワシントン州、ウェストバージニア州 ワシントンDC、米国領バージン諸島、北マリアナ諸島、グアム、プエルトリコ 33州+ワシントンDC+4米国領 |
THC含有量が少ないヘンプ由来のCBD製品の仕様が合法の州 |
アイオワ州、アラバマ州、ジョージア州、インディアナ州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、カンザス州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、バージニア州、ウィスコンシン州、ワイオミング州 (17州) |
ヘンプからの材料
ヘンプ由来の抽出物は、THCの含有量がごく微量である。
しかし、大麻草よりもヘンプの方が有害物質が多い。
ヘンプは栽培環境に影響される
ヘンプの性質上、土壌中の成分を根から吸い上げるので、栽培環境で細菌、真菌、殺虫剤、重金属などの汚染物質も取り込んでしまう。
そのため中国やルーマニアは殺虫剤規制法がないので安全性に低く、ヘンプは環境に大きく影響し、栽培と加工でも大きく異なってしまう。
抽出工程でも有害物質が残らないよう対応しているところもあれば、対応していないところもある。
ヘンプは歴史がとても浅く、2018年に0.3%以上のTHCを含まないものが許可され、産業用ヘンプの栽培と商業利用も認められた。
ヘンプを原料としたCBDが合法となった。
そのためにここ最近CBDが注目されている。
CBD製品として
CBD製品のチェックポイント
・原料の栽培状況
・抽出の技術
・CBD含有量が正確にラベル表示されているか
・添加物や香料添加物
製品の安全性
・アメリカではさほど製造していなく、他の海外から輸入されているのが現状である。
そのため、どこで作られているのかも確認したい。
食品医薬品局の調査
2016年に実施された食品医薬品局の調査では、24製品のうち表記されている通りのCBDを含んでいる製品はわずか2製品であった
2017年の調査
ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーションが行なった84製品の調査のうち70%がCBD含有量表記が不正確であった。
そのうち18製品にTHCが含まれて許容基準をはるかに超える量のTHCが含まれているものもいくつかあった。
本当に抽出方法、製造工程信頼性など確認ができるのだろうか...
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HempMedsオンラインストアまとめ
結 論 |
CBDはドーピングにならない ただしCBD製品にはTHCが微量含まれているため要注意 THCは日本は微量でも所持が違法となる競技会外検査(抜き打ち検査)ではTHCは使用しても大丈夫 競技会検査(大会中)は使用禁止CBD製品を使うなら自己責任となってしまう製品の安全性を考えるとTHCが実際にどれくらい入ってしまっているのかが分からない。 そう考えるとトレーナーという立場から選手に使用させるわけにはいかないとなる。バスケットボールの場合、シーズン中は競技会検査があるので使用できない。 オフの間は日本代表選手以外はドーピング検査はないのでCBD製品は使用しても大丈夫。 それでも、使用するのであれば、やはり自己責任となる。
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参考
参考サイト:日本薬剤師会 薬剤師のためのアンチ・ドピングガイド
参考書籍:CBDのすべて
CBDに関する書籍として日本ではこの本が有用な書籍です
CBDのすべて: 健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド
こちらの記事が参考になれば幸いです
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