バスケットボール選手で中学生に多い成長痛として腰椎分離症がある。
バスケットボール選手の20%くらいの選手が実際に問題を抱えている。
中学生はまだまだ成長過程である。
そのため、骨もまだ不安定な状態である。
中学になると部活で運動量が急に向上したり、不慣れな動作も多くなる。
しっかりと予防していきたい。
結 論 |
・激痛でなければ練習は基本的に継続できる ・激痛の場合は、整形外科に受診しレントゲン検査で確認※ただし正しい動作習得と体幹の強化 肩関節の柔軟性も獲得しよう |
腰椎分離症とは
腰の骨は5つある。
腰椎(ようつい)という。
腰椎は軸になる椎体(ついたい)と椎弓(ついきゅう)の2つに分類できる。
椎弓はジャンプしたり、体を捻ったり激しい運動によって骨に負荷がかかってしまい、骨にひびや亀裂が入り疲労骨折となってしまう。
5つある腰椎の一番下の第5腰椎が一番負担がかかりやすい。
腰の痛み、お尻の痛み、足の痛みなどが症状として出る。
痛みが伴わない場合もあるので、見落としてしまうこともある。
発症メカニズム
↑腰を後ろに反らし、捻ると痛みが出るのが腰椎分離症の特徴
中学生になると身長もどんどん伸びていく。そのため、背骨も成長している。まだまだ骨が安定していないため、負担はかかりやすい。
中学になると部活も行われ、それ以外でも今の時代は、スクールやユースチーム、クラブチームと練習する機会も増えている。
体の柔軟性と体幹の筋力不足から過剰に腰の部分が動いてしまい、骨に負担がかかり、疲労骨折となる。
男子の方が圧倒的に多い。
身体を後ろに反った時に激しい痛みが出ることが多い。
また後ろに反って、さらに捻ると痛みが顕著に現れるケースがある。
このような時は、一度整形外科を受診し、レントゲンなどの検査で確認してほしい。
腰椎分離症のポイント
・男子中学生に多い
・第5腰椎に多い
・腰を反らせて、ねじった時に痛みが強く出る
対応
特に痛みが出ていなかったり、練習や試合ができる状態であれば、練習はやりながらで大丈夫である。
腰椎分離症の選手の練習を見ると、やはり負担がかかりやすい動作でプレイしている選手が多い。
肩の柔軟性が低下していると、過剰に腰で反ってしまう事や腹筋の力を入れられない選手、腰椎と骨盤の動きが習得できていなく、負担がかかりやすくなっている選手などがいる。
この辺りの動作習得と体幹の強化をする事でバスケットボールの練習や試合でも対応できるようになる。
セルフケア
腰椎分離症の場合は腰だけでなく、全身の柔軟性も大切になる。特に肩周りの柔軟性は腰への負担を軽減するので大切となる。
ストレッチ
↑腰のストレッチとしてランジの体勢で腸腰筋が伸びる
腰の前にある腸腰筋のストレッチは練習前後からなず行ってほしい。
↑臀部(お尻)と大腿外側のストレッチ
バスケットボールではお尻と大腿外側がとても使用するため、筋肉が硬くなりやすい。
トリガーポイント
↑脇の下から肩甲骨の外側をしっかりトリガーポイントを使ってほぐしてほしい。筋肉を包む膜(筋膜)が硬くなるとくっついて動きが悪くなってしまう。
縦にコロコロやったら、横にスリスリやる事。縦と横の2方向で刺激を与える事で動きが良くなっていく。
トリガーポイントの使用
・縦にコロコロ
・横にスリスリ
2つの方向に刺激を入れることでほぐれやすい
ストレッチポール
肩の動きをよくするためには、ストレッチポールがとても効果的である。ストレッチポールを実施前と実施後では肩の可動域が違っている。
バレーボールの選手は練習前に必ず行うセルフケアである。
1.(↑左)手の甲で円を書くように回す(10回、逆回りも10回)
2.(↑右)肩を背泳ぎのように回す(両手とも10回)
3.(↑左)両手を天井にあげて、円を書くように回す(10回、逆も10回)
4.(↑左)両手を天井にあげる、そして肩甲骨を上下に上げ下げを繰り返す(10往復)
5.(↑左)両手を天井に、肩甲骨を上げたまま、円を書くように回す(10回、逆も10回)
6.(↑右)手はおろして、後頭部をストレッチポールに押し付ける(3秒5回)
ストレッチポール
ストレッチポールはマッサージではほぐれない、奥にある筋肉を緩める。
胸を広げることで、肩甲骨の動きが良くなり、肩の可動域が大きくなる。
※頭をつけて行う。頭を浮かせると筋肉は緩まない。
動作習得
ドローイン
ドローインとは...
息を吸って胸を膨らませる。その状態で腹筋を締める。
これがドローインという。
体幹を占めて安定させる働きがある。
腰への負担が軽減できる
ドローインの状態で呼吸ができるようにしてほしい。
↑腰を反ってみる
1.力を抜いて反ってみる
2.ドローインの状態で反ってみる
これだけで腰の痛みは全然異なってくる。
日常生活から意識してドローインできるようにしよう。バスケットの練習中は意識してドローインしているゆとりはない。
そのため、常日頃から行う事で無意識にできるようになってくる。
骨盤の動き(ペルビックティルト)
よく腰椎-骨盤リズムと言われるが、腰と骨盤での動きをしっかり確保する事で腰痛は軽減する。
中学生ではまだ骨盤を動かすという習慣がないため、腰が丸まりやすい。そのため、常に腰に負担がかかってしまう。
また中学生はまだまだ筋力強化されていないので、体が細く、必要以上に一定部位に負担がかかりやすくなってしまう。
さらに言えるのが、骨の成長が進む事で、重心のバランスが変化する。この変化に対応できず、偏った使い方をしてしまう。
骨盤の動きを出す
↑ペルビックティルトを繰り返し行う(20回)
1.(左)膝を曲げ寝る、腰を床に押し付けるように力を入れる。(腰と床をつける)
2.(右)同じ体勢から、腰を反らして、腰と床の隙間を作る。(腰と床を離す)
毎日練習前後に10回でも良いので行う事。
リバウンド動作(肩の柔軟性)
肩の可動域が悪いと、それ以上上がらない場合腰を反らせて対応しなければならない。
↑(左)極端ではあるが肩が上まで上がりきらない
↑(右)そのため手を上げようとすると腰で反ってしまう
リバウンド時はボールが飛び跳ねて、体を反らせないといけないケースは多い。
腰をしっかり保護するためには肩の可動域獲得とドローインを行うことがポイントとなる。
体幹強化
中学生は体幹がまだまだ弱く、発展途上である。そのため、しっかり強化しなければならない。
スタビライゼーション
まずよく行う体幹のトレーニングである。しっかりできるようにしたい(30秒〜1分間)
この体勢はシュートを打つ瞬間の安定感でとても重要な体幹となる。シュート確率を上げるには必要だ。
男女共通でシュート時の安定に活かせる。
ベアー
↑両手と両膝をつく、次に両膝を少し浮かせる。このままの体勢をキープ(20〜1分間)
この体勢はバワーポジションに近い形の体幹トレーニングである。
そのため、バスケットボールの動作全般に必要な筋力となる。
バランスの良い選手は安定して行うことができる。
さらに2つのトレーニングとも体幹を固定したまま、手や足を動かしながらも体幹が安定出来ると、よりバスケットボールのプレイ中に活かされる。
是非とも強い体幹を身につけ、腰をしっかり守ってほしい。
まとめ
腰椎分離症はバスケットボール選手の場合、偏った身体の使い方で、一定の部位が負荷がかかって起こってしまう。
そのためには、正しい動作を習得し、体幹を強化することが重要なポイントとなる。
動作習得のポイント |
・ドローイン |
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