トレーナー 怪我

【予防】膝の怪我を防ぐ為の股関節の動きづくり

2018年6月12日

バスケットボールでは膝の怪我が多い。小学生5年生くらいから成長痛としてオスグッドで痛みを抱える選手、その後中学生で起こるジャンパーズ・ニーなどもある。

高校生になると靭帯損傷や半月板損傷も多くなる年代となり、痛みと戦いながら練習する選手も多いと思う。

特に高校生では試合や大会が多くなり、よっぽと大きな怪我でない限り練習を休んだりする事も難しく、練習を休む勇気も必要になってしまうほどだ。

怪我に対するトレーナー等の専門知識を持った方が身近にいると良いのだがまだまだそのような環境でプレイ出来ている選手も一部にすぎないであろう。

怪我をしないように予防する為のスキルやドリル、トレーニングも大切となり習慣づけてもらいたい。

膝のケガ

膝の怪我にもいくつもあり、怪我によっても発生するメガニズムが異なってくる。怪我は練習時よりも試合での発生率の方が高い。常に試合でのメンタルで練習を望み、その差をなくすようにする事も予防の一つと考える。

オスグッド(成長痛)

小学5年生から中学1年生くらいに多い成長痛である。

膝のお皿の下の部分に痛みが生じる。ひどくなると骨が変形して盛り上がってくる。

成長期が安定してきても、骨が変形してしまうと後遺症として痛みが残ってしまう事も多い。

成長期はまだ骨が安定しておらず、筋肉よりも大腿骨の方が伸びる成長が早いため生じてしまう。

オスグッドの詳細はこちらを参考に
ミニバス選手に多いオスグッドの対処法【成長痛】

ジャンパーズ・ニー

成長期が安定してくる中学2年生から高校2年生くらいに多い

オスグッドとの違いはお皿の下の靭帯に痛みが生じたり、お皿の上に痛みが生じる。

運動強度が増加する事で大腿四頭筋(ももの前の筋肉)が使われすぎて筋肉が疲労によって縮んでしまい膝蓋靭帯(お皿の下)の負担がかかり痛みを生じる

鵞足炎(がそくえん)

ジャンパーズニーが膝の内側で起こるケースをいう。

膝下内側に筋肉がまとまってくっついている。その部分が運動で使われすぎて炎症を伴い、痛みとなる。

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)

ジャンパーズニーの外側で起こるケースをいう。

外側にはとても強い靭帯が存在している。

その靭帯が酷使され短く縮んでしまうと、大腿骨の外側で擦れやすくなり、炎症を生じる。

半月板損傷(内側/外側)

半月板には内側と外側に存在している。膝の内部にあり、骨と骨の間にある軟骨で膝の衝撃を緩和する働きがある。

運動中膝に衝撃が加わり、軟骨である半月板が傷んでしまうケースである。

半月板は膝の中にある為、血流に乏しく、回復することが困難である為損傷が大きいと手術して削るか、取り除く、縫合するかの選択となる。

また生まれつきのケースとして半月板が円板状に丸くなり、通常よりも負担がかかりやすい構造の選手もいる。

靭帯損傷(内側/外側/前十字/後十字)

膝を安定させる靭帯としては大きく分けると4つある。どの靭帯も損傷すると不安定感が出てしまい、運動時に問題は生じてしまう。

前十字靭帯

運動をする際に一番重要な靭帯となり、膝に対して脛(すね)が前に出ることを抑える働きがある。

また回転動作においても重要となっている。

前十字靱帯を損傷してしまった場合は基本的に手術が必要となる。

日常動作や直線を走ることであれば問題なく行えるようにはなるが、膝の変形は早くなってしまうので将来を考える若者に対しては手術が必要である。

特に回転性のあるスポーツ(バスケット、スキー、スノーボード、ゴルフなど)は前十字靭帯はとても重要であり、膝崩れする原因となる。

膝崩れを起こすと膝が変形したり、半月板損傷にも繋がるため手術をすることが望ましくなる。

後十字靭帯

後十字靭帯は損傷しても運動を行えるケースは多い。

膝に対して脛(すね)が後ろに引っ込む事を抑える働きがある。

膝下にタックルされたり、過伸展(伸びすぎる)などで損傷しやすい。

靱帯が損傷していても運動はできるが痛みは生じてくる。

特に膝下のジャンパーズニーと同様な痛みが生じることが多い。

内側側副靭帯

膝の内側が開かないように働く靱帯である。

損傷程度も1度(伸びる)、2度(部分断裂)、3度(断裂)とあり、その状態によって復帰も異なってくる。

手術は行わない場合が多い。ただし膝の安定力がかなり減少するため、運動の際はテーピングやサポーターにて保護して行なっている選手は多い。

外側側副靭帯

膝の外側が開かないように働く靱帯である。

こちらも損傷程度が1度、2度、3度とあり、その状態によって復帰も異なってくる。

手術は行わない場合が多い。外側には腸脛靱帯があるので強さはあるが、不安定さは出るのでテーピングやサポーターを装着している選手は多い。

棚障害

成長の過程で膝の中に膜があり、成長するとともに消失する。

その膜が残ってしまい膝の関節運動をする際に挟まってしまい痛みが出るケースとなる。

痛みが強く運動ができない場合は、その膜を取り除くことで改善できる。

膝蓋軟骨軟化症

↑赤丸の中が損傷部位

膝のお皿の裏側に軟骨があり、膝の関節の動きをスムーズに行うことができる。

筋肉の使い方のバランスや怪我、アライメント(骨の配列)異常、酷使しすぎの場合に軟骨部分が無理に擦れてしまうことで軟骨に傷が入ったり、剥がれたりしてしまう。
 
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運動中の膝の動作

運動中の膝の動きには大きく分けて3つのパターンがある。

バスケットボールでは個人個人の習慣(動きのクセ)によってタイプが異なる。

怪我をしないために動作を見直して、怪我から守る動きづくり、怪我をしても軽度で済む動き作りを獲得して練習・試合に臨んでもらいたい。

1.ニュートラルポジション

↑写真のように足先と膝の向きが同じ方向を向いているこのタイプは足と膝による捻れが少ないので膝に負担がかかりにくい。

2.ニーイン・トゥーアウト

↑写真のように足先が外を向き、膝が内側に入っているこのようなタイプは膝に捻れが入り膝に負担がかかりやすい。

内側側副靭帯、外側半月板、前十字靭帯、鵞足炎、シンスプリント、このようなケガが起こりやすくなる。

もちろん個人差もあり一般的な考えである

3.ニーアウト・トゥーイン

↑写真のように足先が内側を向き、膝が外側に入るこのようなタイプも膝に捻れが入り、膝に負担がかかりやすい。

外側側副靭帯、内側半月板、腸脛靭帯炎、足関節捻挫、このようなケガが起こりやすくなる。

こちらも個人差もありで一般的な考えである

バスケット時の動作習得

個人差もあり、すべてが問題がある訳ではないが、基本的にはニュートラルポジションをプレイ中に維持できればケガは起こりにくくなる。

バスケットのプレイ中にストップや、ピボット、ターンをしたり急な方向転換の際に膝のねじれが起こりやすい。

ストップの際に足先は内側に入るが、この時に膝の向きが足先と同じようになっていればニュートラルポジションということである。

常にニュートラルポジションを無意識でできるように動作の反復練習をすることでケガの予防につながる。

ポイントはまず意識してできるようにすることから始まり、無意識でできるようにすることが重要となる。

なぜなら運動中は意識している暇はなく、試合に集中しているためだ。

意識しないとできない動作は実戦ではできないため動作を習得したとは言えない。

動作を習得するには反復練習をして、それを継続することである。

ケガが起こりやすいタイプ

私が長年バスケットボールに関わってきて感じている事である。主観的な要素ではあるが30年間バスケットのトレーナーとして関わっているので参考になるかと思う。

前十字靭帯損傷の場合

・悪い動作習慣がある
・筋力の弱いタイプの選手である
・ぽっちゃりしている女子
・身体能力の高い女子
・股関節の硬い(うまく使えない)選手
・チーム練習メニュー、チームスタイル

悪い動作習慣がある

生まれ持ってのアライメント(骨の配列)が悪くて損傷しやすいタイプもいますが、そのような選手でも全く怪我をしないタイプもいる。

そのため一概には言えないと思っているが、基本的な考えとしては上記で説明したニュートラルポジションでプレイできれば怪我のリスクは低い。

膝が内側に入っていても、例えば車のハンドルのように遊び部分であれば車はまっすぐ進むことと同じで怪我は起こらない。

筋力の弱いタイプの選手である

筋力が不十分であると怪我をする可能性は高くなる。筋力といっても瞬発力と筋持久力がある。

怪我をしやすい時間帯としては練習後半が多い。

このあたりを考えると筋持久力がなく、練習や試合の終盤に支える力が減少することで怪我の発生リスクが上がってしまうので、練習ばかりでなくトレーニングも必要となってくる。

選手は試合が続くと体重が落ちる傾向になる。

筋肉量とパワーは比例するので、しっかりトレーニングして、栄養バランスを考えよく食べて、休養する事も大切となる。

ぽっちゃりしている女子

高校生の女子で多いのが体脂肪の多い選手が怪我をするケースが多い。

体重に対して筋力が少ないため、切り返しの初動作に耐えられないために怪我をしてしまうことがよくある。

日本は中学生3年生の受験で運動量が落ちて肥満となり、高校入学後体がついてこれず怪我をするケースが多いと思う。

この辺りは指導者も体力要素に合わせて練習メニューを構成する必要があると思っている。

身体能力の高い女子

以外であるが女子は身体能力が高い選手が怪我をしているケースが多い。

筋力は十分であるのになぜそうなってしまうのか、これに関しては身体能力によって無理に突っ込んでしまうケースで自爆してしまうケースと、対人での接触によって起こるものがある。

疲労要素もあったり、別の部位に痛みや怪我を発生している場合もある。

日本のトップ選手や県選抜選手でも怪我をしてしまう。そのため難しいとされている怪我である。

股関節の硬い(うまく使えない)選手

膝の怪我であるが、足には足関節、膝関節、股関節と大きく分けると3つの関節がある。

膝を怪我する際、バスケットボールでは足をついているため足関節は固定されることが多いのでコントロールするのは難しい。

踏ん張る際に膝で耐えてしまうと靱帯損傷に繋がるケースも多い。

その際に股関節の可動域があれば股関節で逃し遊びを作ることができれば大きな怪我を防ぐ事も可能になると思っている。

股関節の硬い選手やうまく使えない選手は膝の怪我のリスクは大きいと考える。

足関節や膝関節では怪我が多い。動く方向が限られているからだ。

股関節は丸い関節のため色々な方向に動くので比較的怪我は少ない。

そのため股関節を機能させることで膝の怪我はかなり防ぐことが可能と考えている。

チーム練習メニュー、チームスタイル

長時間の練習時間は怪我のリスクも増えてくる。

またチーム内に同じ怪我が多い場合は、その練習メニューに問題があるかと思う。

どのメニューが問題なのか検討する必要がある。膝特に前十字靭帯を毎年のように数名怪我をしているチームは検討する必要がある。

チームのバスケットスタイルも影響がある。

特に速攻で縦のロングパスをよく行うチームは怪我を起こしやすい。

前を走る選手は後ろを見ながら走るため、膝にねじれが発生しやすく、さらに全速力で走りながらボールをキャッチするため、片足での衝撃は大きくなる。

このようなスタイルのプレイは怪我をしやすい。

そのため、一度サイドに展開してボールをつなぎ、走っているものへパスようなスタイルに変更すると怪我のリスクは防げるかと思う。

股関節の動きを作るドリル

プレイ中は足は床に接しているので、固定されやすいです。

この時に股関節の可動域が大きいと膝に遊び部分ができて膝の動きにもゆとりができ最大限の捻れは避けれるので怪我のリスクは軽減する。

↓股関節の可動域ドリル

1.かかとをつけてフリフリ
2.ももをあげてフリフリ
3.後ろにあげてフリフリ

3つだけを短時間で簡単に行えるので、練習前のセルフやチーム練習のウォーミングアップに導入してもらえればと思う。

予防策はこれだけ行えば良いわけではなく、様々な要素(トレーニング、セルフケア、治療、練習)がうまくかかわっていると思っている。

私の場合、チームのドリルとして取り入れている。

個人的にこのドリルを開発し、導入してから前十字靭帯の損傷は、私の関わった選手は女子高生2名のみである。

プロ選手を長年かかわっているが現状前十字靭帯損傷はいなく、半月板損傷が1名であり有効性は実感している。

・1人は女子高生...身体能力がその県で最も高く、無理なドライブをして受傷
・もう1人も女子高生...インドからの留学生で200cmあり、基礎体力のレベルが低く走ることも未完成なレベルであった。

明らかに筋力不足でチーム練習はさせずに別メニューで体力強化を提案したが、異国に来たばかりの留学生で文化の違いに対応できず、さらにバスケットまでやらせないと精神的にも厳しいと判断され練習参加させていた。

不安が的中してしまい、後悔したケースであった。

まとめ

膝の怪我を予防するには

・試合で怪我をすることが多いので練習と試合の差をなくすメンタル
・足先と膝の向きが同じニュートラルポジションが怪我をしにくい
・意識してできるようにしてから、無意識でもできるように反復練習
・股関節の動きをよくし、膝への負担を回避する。

上記を意識して取り組んでいけば怪我をしづらい、または軽度の怪我に回避できる。
是非とも実行してもらいたい。

この記事が参考になれば幸いである。

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