2020年4月26日に上記の内容で投稿しました。
1分間トレーニングとして音楽に合わせて行なっています。
プロの選手は肩の怪我が多いです。
ドリルとしてチームで練習開始前に実施しています。
なぜなら個人に任せるとやる選手とやらない選手が出てきます。
やらない選手がよく怪我をしていたので、チームのドリルとして導入するようにした結果、肩の怪我がほぼなく4シーズン過ごせています。
1分間トレーニング【チーム実施】
(曲 Shake it offで!)チューブで肩のインナーを!
チューブなし🙆♂️
練習・試合前に曲なしで実施各8回
1.下→上
2.肘曲げ外
3.胸の前
4.対角
5.肩回す
6.上→下
7.背中 腕前
8.肩甲骨前後
9.肘曲げ内
10.腰に手 肘前
11.肘伸ばし3年間で肩・肘のケガほぼなし👍 pic.twitter.com/dG29PZPPJX
— 水野彰宏 (@junk_trainer) April 26, 2020
このドリルはチーム全員共通項目として練習や試合の前に行って実際に傷害予防に一役買っていると実感しています。
(実際ではもちろん音楽はなしで行っています。)
結 論 |
・肩インナーのチューブトレーニングはバスケットボール選手にとって怪我の予防としても良いと思っている。 ・個人的にはシュートの安定にも良い反応があると思っている。 ・学生のうちから自分のルーティンとして活用していただければと思う |
肩周囲の筋肉
肩のインナーマッスル
肩を安定させる筋肉は4種類ある。
肩の4種類のインナー
4つの筋肉で肩関節を安定させている
・棘上筋
・棘下筋
・肩甲下筋
・小円筋
※図に肩甲下筋は記載されていませんが、肩甲骨と肋骨の間にある筋肉で、実際に触ることができない筋肉です。
実際に肩甲骨の周りにはたくさんの筋肉があり、すべてが支えあてバランスをとっています。
ポイント
筋肉には大きく分けると2種類に分類できる
1.インナーマッスル・・・関節の安定感を出す
2.アウターマッスル・・・パワーを発揮させる
肩関節や股関節はあらゆる方向へ動くので筋肉の種類も多くなるので、複雑化されている。
インナーマッスル
筋肉の中でも深部(奥の方)にある筋肉で、細くて力の発揮としては弱いので補助するための筋肉で小筋群である。
役割としては、関節を支えて安定感を出すための筋肉となる。
ポイント
見た目重視のトレーニングで、アウターの大筋群ばかり鍛えていると、奥にあるインナーマッスルにハリがなくなって緩みが出てしまう。
そうなると関節が不安定となり、怪我が起こりやすくなったり、バスケットボールの場合だとシュート率が低下してくる。
足の場合だと関節が不安定となり、バランス力も低下してより怪我が起こりやすくなってしまう。
アウターマッスル
筋肉の表面にある大きな筋肉がアウターマッスルである。
関節をメインで動かす力があるため、パワーやスピードに直接関わってくる筋肉となる。
体の表面にあるため、強化した部分の凹凸がわかりやすく、目視で変化を築くことができる。
周囲計の測定でも大筋群のサイズが大きく変化した数字として捉えることができる。
そのためスポーツをする際は見た目の筋肉だけでなく、その競技で必要な実践的な筋肉が必要となるので、インナーマッスルとアウターマッスルの両方のトレーニングが必要となってくる。
トレーニング内容
今回は肩のインナーをメインとしてチューブを使って筋肉に刺激を与えて、可動域の確保や筋肉の緊張を入れることで安定感を出して競技に入るための準備をしていく内容となっている。
チームとして全員共通種目
プロ選手だとチーム練習の前に、各自で補強のトレーニングや、ストレッチ、シューティングやハンドリング、ドリブルなど様々なルーティンがあって、選手によっても全く異なっている。
そのため個人に任せっきりでも、実際に必要性を理解してもらえるかは分からないし、自然とやらなくなってしまうものである。
導入ポイント
選手各自に任せてもこちらで管理ができない事は、チームのメニューとして導入した方が良い。
選手全員に共通するドリルはチームメニューとして時間を作ってもらう。
私の場合、チーム練習が始まる3分前に選手全員集まってもらい、トレーナーの補強トレーニングメニューとして実施している。
トレーナーの持ち時間
・チーム練習開始前 3分間
・チーム練習後のストレッチで3分半
横浜ビー・コルセアーズでは合計6分半だけ時間をもらっている。
仙台89ERSでも同様に対応している。
今回紹介しているのは練習前の3分間の中の1つのメニューである。
1.下→上 (棘上筋)
親指を上にして、下から上に30度くらいまで上げる事で棘上筋を使うことができる。
棘上筋は野球の投手が肩を痛めた時に、この棘上筋のトラブルが最も多いです。
2.肘曲げ外 (棘下筋)
肘を曲げで外に開く動作は棘下筋を使います。
肩甲骨に大きくかかっている筋肉で押すととっても痛い部分が棘下筋になります。
3.胸の前 (菱形筋)
胸の前で両腕を水平に開いていく事で菱形筋を使います。
鳥は菱形筋がとても発達している事で空を飛んでいます
4.対角 (多数の筋肉と連携)
胸の前で対角線に交互に開いていく事で、菱形筋、僧帽筋、三角筋後部と様々な筋肉を使います。
バスケットボール時によく使う動きになってくる。
5.肩回す (可動域確保)
どうしても疲れてくると肩関節自体の動きが悪くなってくる。
悪くなってくると腰や背中へダメージがくるので、様々な怪我につながってくる。
チューブを使う事でより肩の可動域を広げることができる
6.上→下 (大円筋、僧帽筋)
肩甲骨を安定させ、脇を締めるような動作に働く。
バスケットボールではリバウンドの際に腕を持っていかれることが多いので、必要な刺激となります。
7.背中 腕前 (大胸筋、三角筋前部、烏口腕筋)
背中にチューブを引っ掛けて、両腕を前に持っていく。
主に大胸筋がメインで働くが、バスケットではコンタクト時やフェイントでもかなり使う要素である。
8.肩甲骨前後 (前鋸筋)
肩甲骨と肋骨の間にある筋肉を使う。
ボクサーにとってパンチの力としてとても重要で前鋸筋はボクサー筋として有名である。
9.肘曲げ内 (肩甲下筋)
肩甲骨の裏側に付いていて、触ることができない筋肉。
インナーマッスルの一つなのでとても肩の安定に大切である。
10.腰に手 肘前 (小胸筋)
チューブを背中に引っ掛けたまま、手を腰に回す。
肘を前に回すことによって肩甲骨を外側に動かす時に様々な筋肉も働くが、小胸筋もかかわっている。
この動作はバスケットではどちらかというと、棘下筋のストレッチとしての要素の方がより働く。
小胸筋に刺激を入れながら、棘下筋のストレッチを行なっているようなイメージである。
棘下筋が硬くなると肩甲骨の動きがとても悪くなっていくため行なっている。
11.肘伸ばし
首と肩の付け根にチューブを引っ掛けて肘を伸ばすことで上腕三頭筋を使うことができる。
バスケットボールではパスやドリブルでとても使う筋肉である。
またスクリーンなどのコンタクト時に腕で相手を止める動作は上腕三頭筋の耐える力がとても働いている。
しっかりと刺激を入れて動きをスムーズにしている。
その他にも実施
3分間のトレーナーの補強トレーニングとしてはチューブのメニューもまだ他にもある。
その他チューブを使わないメニューでも肩の可動域を出すことも行なっている。
この辺りを行うことで肩の動きを確保できている。
また別の機会に紹介したいと思っている。
肩・肘の怪我がほぼなし
この肩のチューブのインナートレーニングのドリルを導入して4年が経っている。
その間、関わった選手の肩や肘の大きなトラブルはほとんどなく済んでいる。
もちろん運やトレーニング、選手の個人の努力など様々な要素が関わっていると思うが、4シーズンで大きな問題がなければ、そのドリルはしっかりと機能していて実践向きと判断できるので、チームメニューとして正式に採用決定となるかと思う。
トレーナーとしての考え
私個人の考えとしては、いかに短時間で効率よく、選手に負担を感じず、怪我を予防できるかということである。
そしてシーズン通して同じ内容を実施して、本当に使える内容なのか判断する。
3年間の実施で主観であっても効果を感じることができれば自分自身のアイテムとして根付く。
その積み重ねで様々なドリルができ、効率よく刺激、予防、強化が行える。
ポイント
・チーム全員に行った方が良い動作
・選手個人に合わせて対応させた方が良いもの
この区別を行なって無駄なものは省いて対応すべき
そのためには導入前に自分自身でしっかりと検証しておくことが大切で見切り発進ではダメである。
ありがちなミス
・選手に補強のメニューを与えすぎる事
・メニューの追加ばかりで増えていく一方
・メニューを与えても放置している事
いかに選手が自主的に実施してくれるようになるかを考えよう
ま と め |
・肩インナーのチューブトレーニングはバスケットボール選手にとって怪我の予防としても良いと思っている。 ・個人的にはシュートの安定にも良い反応があると思っている。 ・学生のうちから自分のルーティンとして活用していただければと思う |
中学生の世代ではシュート率かなり向上しますよ!
※チームでは青色や黒色のチューブを切って使用しています
この記事が参考になれば幸いです
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