プロチームで働きたいと思っている方は多いと思う。
試合を観戦した際にプロチームで仕事がしたい、そしてたくさんの方に夢や笑顔を届けられたら、そんな仕事ができればなと思った方も多いのではないでしょうか。
プロチームの特に現場スタッフになるには、難関な部分があります。
一般的に求人等の人材を公募することがない為である。
その為どのようにすれば働けるのか、関われるのかという疑問も多いのではと思っています。
私は現在プロチームのトレーナーとして長年関わっていています。
この記事が少しでも参考になればと思っています。
結論
学生の段階でスポーツに関わっておくこと。
そしてどのスタッフとして関わりたいのか明確にする事。
プロチームの現場見学など実際の仕事をイメージできるよう行動し、インターンなど実際に関わり、チームにとって戦力として期待できるよう行動し、認めてもらう。
そのためには勉強や努力が必要となり、早い段階で計画的に行動しよう。
プロチームのスタッフ構成
チームによってスタッフ編成は大きく異なる為、一概には表せないが、プロバスケチームでの一般的なスタッフ構成は以下のようになる。
スタッフ構成
GM(ゼネラルマネージャー)1名
AGM(アシスタントGM) 1名
コーチ ヘッドコーチ 1名
アシスタントコーチ 1-2名
アナリスト1-2名
ストレングスコーチ 1名
通訳 1名
チーフマネージャー 1名
アシスタントマネージャー 1名
ヘッドトレーナー 1名
アシスタントトレーナー 1名
栄養士 1名 (いないチームは多い)
選手 選手 12-14名
練習生 1名
プロチームの場合、選手含め全てのメンバーが専門職のスペシャリストという立場となって、各自の役割を責任を持って行わなければならない。
チームによってもその役割は、微妙に異なるので、その専門職だけでなく、隣接する業務も行えるキャパの広さも求められる。
スタッフになるためのポイント
事前にインターンでも、現場見学でも構わないので、実際のプロチームの現場をいくつか見ることができると、イメージはつきやすいかと思います。
一つのチームだけでは、偏った仕事内容の場合もあるので、チームによってはアジャストできないこととなってしまわないようにしておきたい。
- プロチームの現場を実際に見ること
- プロチームの現場を見学するためためには自ら人脈にアプローチ
- プロチームのスタッフと交流を持ち情報を収集することも大切
- 現場で見学したらどんな業務があるのか書き出す
- 書き出した内容をさらに詳細を洗い出す
- そのためのスキルを磨き、勉強し、自分の現場で活用する
プロバスケチームでの仕事の役割
各スタッフの仕事内容や役割、必要な資格や学歴などを記していく。
どの立場でもそうであるが、各自が独立した専門職となるため、その責任は大きい。
資格はあくまでも目安となり、実際にチームにとって機能するのかということの方が大切となる。
若者は資格を取ればという考えも持っているかと思うが、実際は資格をとってからがスタートで、いかにプロチームでその資格をいかせるのかという点になる。
GM(ゼネラルマネージャー)
仕事・役割
チームの最高責任者。
全ての権限を持っている。
- 選手やスタッフの人材確保
- 契約解除などの判断決定
- 外国籍選手の確保
- チームに関する全ての判断を下す
- チームをコントロールする役割である。
チームによっては社長が兼務する場合もある。
学歴・資格
学歴や資格は特に必要なし。
ただしチームも最高責任者となる人格やキャリアは必要となる。
GMの仕事を記した記事はこちら
シーズンオフにGMが奮闘するストーブリーグ
AGM(アシスタント・ゼネラルマネージャー)
仕事・役割
GMを補佐する仕事である。
- GMに依頼され資料作成
- 人材確保の代行・調査
GMの仕事を補う役割となる。
チームによっては不在の場合もあ。
学歴・資格
学歴や資格は特に必要なし。
ヘッドコーチ(HC)
仕事・役割
チームの現場での指揮官としてチームを強化し、統率させ、練習や試合での戦術・戦略にて勝利できるよう導く指導者である。
学歴・資格
学歴は関係なし。
資格はコーチライセンスが必須となる。
B1リーグはS級コーチ、B2リーグはA級コーチが必要となる。
必ずしも選手出身とは限らない、学生時代から学生コーチとして関わりキャリアを積む方も多くいる。
アシスタントコーチ(AC)
仕事・役割
アシスタントコーチの中でもいくつかに分類される。
- 個人に対してのスキルコーチ
- データ分析のアナリスト
- 戦術面のコーチ
などチームによって誰が担当するかは異なってくる。
学歴・資格
コーチライセンスが必要となる。
B1リーグA級コーチ、B2リーグB級コーチが必要となる。
コーチ同様選手ではなくともアシスタントコーチになる事は可能である。
アナリストの場合はパソコンの技術が必須となり、試合の動画をクリップごとにまとめて編集する作業が伴う。
アシスタントコーチといっても様々な得意分野があり、分業されているチームも多い。
アナリスト・ビデオコーディネーター
仕事・役割
チームによっても体勢が異なりますが、練習中の映像や試合中の映像を戦術ごとこ切り出して編集してまとめてコーチ陣にまとめた状態で編集することが仕事となります。
自チームの分析から対戦チームの分析まで仕事量は多くデスクワークが中心となりがちです。
学歴・資格
特に学歴や資格は問われませんが、多くの方は大学の体育会の部活等に所属して学生時代から映像の分析を行っていた経験者が多いです。
そのため、PCや分析ソフトの使用方法、競技のルール、戦術など競技特性の理解も必要となってきます。
椅子に座りっぱなしの作業が長時間続くので体へのダメージ、目や頭の疲労感も影響します。
この辺りの耐性も作っておく必要があります。
ストレングスコーチ(SC)
仕事・役割
選手のトレーニング指導をして体力面の向上を図る役割となる。
選手と一緒にフィットネスジムへ行ったり、ウォーミングアップを任されたりもする。
また遠征に行かない選手をしっかりとトレーニングさせることもある。
チームによっては常勤、非常勤と契約の形態も異なってくる。
学歴・資格
大学・専門学校等でスポーツやトレーニングなど専門的に勉強した方が多い。
資格としては様々あるが、
- NSCA-CSCS
- JATI-ATI
- スポーツプログラマー
などの資格保有者も多い。
資格よりもどちらかというと実績を重視される部分が多い。
SCは契約の形態が常勤なのかパートタイムなのかで異なってくる。
さらに遠征の帯同があるのかないのかも関わってくる。
チームによってもトレーニング施設の環境は大きく異なるため、自分の力が発揮できるのか、腕の見せ所となる。
通訳(TR)
仕事・役割
外国籍選手がいるリーグではその役割は大きい
- 練習や試合の通訳を行う
- スケジュールなどの翻訳業務
- 外国籍選手の世話役
日本の生活に不便のないよう手助けすることも多い。
学歴・資格
学歴や資格は必要ないが、英語力が必須となる。
その為語学力をチェックされることが採用時に行われる。
競技の専門用語に関しては最低限同時通訳ができるスキルが必要になる。
その他として医療系や契約などの法律系にも強くなければ務まらない場合も生じる。
短期の語学留学では厳しいのが現実で、実際に2年くらいは生活・留学していた経験などが重要なポイントになるかと思う。
家庭環境で英語を話す機会などが当たり前の場合は留学などもちろん必要ない。
通訳は外国籍選手の生活のサポート役としても大切な仕事となる。
買い物に行ったり、役所等の手続き関係や雑務も多くなる。
通訳業務だけでなく、マネージャーを兼務したり、トレーナーと兼務したり、 ACと兼務したりと一芸だけでなく、その他の業務も求められる傾向となる。
チーフマネージャー
仕事・役割
チームにとってマネージャーはとても重要なポジションとなる。
- チームのスケジュール管理
- 遠征先のホテルや移動手段の確保
- 体育館の確保
など様々な業務をこなす。
試合中はスコアをつけたりと常に動いている。
チームのマネージャーの仕事は限りなく多いのでとにかく大変な仕事である。
学歴・資格
学歴・資格は特に必要ない。
マネージャーに必要な事は経験値であり、学生時代に部活でマネージャー経験者が物を言う場合が多い。
その為就職では学生時代のマネージャー経験者が有利な立場である事は事実である。
チームの車を運転する機会は多いので普通自動車免許は必須となる。
ポイント
マネージャーはいきなりチーフマネージャーとして職に就くことは難しい。
経験値がものをいう仕事なので、アシスタントとして働き仕事ができると見なし、チームのメインマネージャーになれる。
とにかく事前の段取りと手際の良さが求められ、速やかに対応できる能力が必要となる。
チームとフロントの架け橋となるのでチームの軸となる役割である。
アシスタントマネージャー
仕事・役割
マネージャーの仕事を分散させ、マネージャーをサポートする仕事となる。
チームによってもその役割は異なるが、
- 一般的には荷物の運搬
- 資料の準備
- 洗濯
なども任される。
学歴・資格
学歴・資格は特にない。
マネージャー経験がなくとも仕事に就く事は可能である。
チーフマネージャーが何ができるのかを判断してくれるので与えられた仕事をしっかりとこなせるようにしてもらいたい。
1年経験すればかなり慣れてくるかと思うので、徐々に仕事を増やし対応できるようにしていく。
チーム荷物の運搬も多い仕事のため普通自動車免許は必須となる。
ポイント
マネージャーを補佐する役割となり、そのチームによって業務が大きく異なってくる。
順応性があるかというところは重要となる。
マネージャーは咄嗟の対応ができる、事前に段取りよく準備できるかで、チームにかかるストレスが変わってくる。
そのため全く経験がない状態ではやはりなれるまで大変である。高校や大学の体育会でマネージャー経験があるとイメージができ、良い仕事ができるようになるかと思う。
ヘッドトレーナー
仕事・役割
チームの怪我やコンディションを担当する。
- ヘッドコーチや医師と連携
- 練習や試合に出場させるか判断
- テーピングやストレッチ
- 選手のケアやリハビリ
復帰のタイミングをいつにするかなど対応し、知識や技術、経験値も必要となる。
学歴・資格
医療系の専門学校や大学にて国家資格の取得を進める。
またアスレティックトレーナーの資格も有効である。
現場のトレーナーは知識や経験がとても重要となり、一人前になるには20代後半あたりからとなる。
そのため20代はしっかりと勉強できる環境も大切だ。
ポイント
トレーナーは治療技術もそうであるが、病院やチームドクターとの連携、メーカーとの連携など雑務はかなり多い。
一般的な方がよく誤解しているのは、治療ができればトレーナーになれると思っている方も多いかと思うが、どちらかというと治療技術は二の次でも問題ない。
それよりもリハビリやテーピング、雑務と選手のコミュニケーションなどの方が必要性はある。
トレーナーは肉体労どで拘束時間も長いので体力は必要である。
アシスタントトレーナー
仕事・役割
ヘッドトレーナーのサポートをして選手の怪我やコンディションを調整する役割である。
練習前の準備でのケアや練習後のケアなどトレーナーによっても考えが異なるため、ヘッドトレーナーに合わせられることも大切となる。
アシスタントトレーナーは試合に出すか、やめさせるかなどの決断・判断をする事はないので、まずはテーピングの技術、ストレッチ、ケアに対応できるようにしてほしい。
学歴・資格
医療系の専門学校や大学で国家資格を取得する事はその後のキャリアに大きく影響する。
実際にヘッドトレーナーになると時間の制約が多いため、資格を取得するための時間はなくなる。
そのため若い20代前半に徹底して勉強し、取れる資格は取得しておくべきである。
ポイント
トレーナーにも専門要素は異なってくる。
自分のアピールポイントや得意分野を明確に提示できるようにすることは大切である。
治療でも何ができるのかわからないようでは採用にならないわけである。
そのチームに必要なパートを補えるかが採用のポイントになるので、自分をアピールするにはインターンや見学でもいいから現場に行かなくては始まらない。
経験値やプロチームでの経歴があるのかないのか、ないなら積極的に活動することが必要になる。
トレーナーを目指そうと思っている方にはこちらも参考に
スポーツトレーナーになるためにはQ&A【質問に答えます】
栄養士
仕事・役割
チームで専属の栄養士の方がいるチームはまだまだ少ないのが現状だ。
- 選手各自に食事の指導
- 家族に指導
- いつどのタイミングで何を食べるかと提案
疲労回復や体重の減量や増量などの改善にも関与する。
学歴・資格
栄養士も2つの資格があり、栄養士のさらに上位資格が管理栄養士となる。
チームに関わるには管理栄養士が適任となる。
栄養士になるには通学制の学校に行かなくてはならないので基本的には4年制の大学に進学するまたは、栄養士取得後の実務経験にて管理栄養士の受験資格が得られるかと思う。
ポイント
まずチームによって栄養士のニーズがまだまだ普及されていない。
実際にチームに何をサポートしてくれるのかがわかりにくいのが実情である。
チームに関わるには、実際に何ができ、どのように効果が期待できるのかプレゼンする必要が出てしまう。
バスケットボールの場合チームスポーツなのでこの辺りは難しい点となる。
業務委託としてチームに関わっているケースもある。
まだまだ栄養士までスタッフ構成になれないのがプロチームの実情であり、常勤ということはなく、パートタイムになるかと思う。
選手
現在少数の選手は高校を卒業してプロ選手になる方もいる。
女子のトップリーグでは高卒は多い。
男子の場合は大学生からプロになる場合が圧倒的に多い。
そのためプロ選手になるには実績が必要となる。
選手なれば最低年俸は確保できる事は良い事である。
1年契約から複数年契約と選手によって異なり、結果も求められる。
練習生
プロ選手の人数は12名から14名と少ない。
代表チームの選手がいたり、けが人が出ると10名以下となることも多い。
そのためチームによっては練習生をとり、選手にとってもチャンスを与え、環境を整えるチームもある。
公開・非公開のトライアウトを実施したり、大学の試合を観戦したり選手を選ぶことが多い。
収入はない場合やスクール事業でのアルバイトなどで関わるケースもある。
ポイント
最近はエージェントがついている選手も多く、その場合はタイミングによってはチームの練習生にもなれるケースもある。
コーチやチームスタッフに連絡を取り、チームの練習に参加するケースは多い。
7-8月はそのような機会も作れるかと思うので、自らを売り込むということも選択肢の一つである。
チームの正式メンバーも外国籍や代表選手などチーム合流が遅れて10人揃わないケースも多く、その際に練習生として関わる機会はある。
練習生としてチームに関わることができれば、チャンスは巡ってくるケースもある。
例えば正メンバーが怪我で戦線離脱するようなケースでは練習生から正メンバーへ昇格する場合もある。
また、他チームに欠員が出た場合、オファーが来ることもあり得る。
各スタッフの共通点
プロチームの現場のスタッフの共通点として
- その競技に学生時代から関わっていることが多い。
- 競技は違えどスポーツ経験者は多い
学生時代は選手であったり、学生時代から学生コーチをしていたり、学生時代からマネージャーをしていたり、ストレングスコーチやトレーナーに関しては別の競技出身の方も多い傾向にあるが、皆スポーツを本気で行なっていたという点ではスタッフとしては共通な点である。
スポーツ現場にいた方の共通の空気感というのは実際にあるので、スポーツの無知な方が現場に来ると正直、皆すぐにわかる。
そのためスポーツに関わっておく事は重要な事だと思う。
スポーツに関わりの薄い方は、ジャージ姿で見抜かれてしまう気がします。
プロチームに関わるためには
まずはプロチームの現場見学など実際にプロチームの現場へ足を運ぶことが大切である。
そのためには先輩や先生の紹介で見学させてもらう機会を作る必要がある。
インターンとして現場で実習できるよう問い合わせるか、紹介していただくことなども大切である。
プロチーム側としてはスタッフを採用する際に、その方の人間性、技術、知識などが事前にわかっていた方が良いので、その辺りが合格であればあとはタイミングとなる。
またそのチームでは就職できなくても、良い人材であれば別のチームに紹介して頂くこともできる。
本当にプロチームで働きたいのであればチャンスを掴むための行動をする必要がある。
プロチームの現場スタッフでも何をやりたいのかは学生の早い時点で決められた方が方向性は見えて来るのかと思う。
またプロチームで仕事をしたい場合、現場スタッフだけではなく、フロントスタッフとし働くことも可能である。
一般的な会社と同様で様々な専門知識を持った方々の集まりがプロチームの組織となる。
職業は自分の向き・不向き、やりがいや生きがいなどもあるかと思う。
この記事が少しでも役立ては幸いである。
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