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アレルギーのある選手がアナフィラキシーの時に使用するエピペンとは

近年コロナワクチンの副反応でアナフィラキーショックになったという事がよく聞かれるかと思います。

実際に私もコロナワクチンの予防接種を実施した際に、急変して搬送されるシーンを見ています。

 

アナフィラキシーショックはアレルギー反応が急速に全身に現れる状態で、コロナワクチンだけではなく、食物アレルギーやハチなどの虫刺されでも起こるケースがあります。

 

私は現在バスケのプロチームでトレーナーとして活動し、医学に携わり30年が過ぎました。

選手の中にも食物アレルギーを持っている方は意外と多く、その対応に病院へ一緒に行く機会も多いです。

 

万一のアレルギー反応のアナフィラキシーに備え、エピペンを処方してもらっている選手もいます。

そのため、万一に備え私自身もエピペンを所持して選手の身に何かあった際は対応できるようにしています。

 

この記事ではエピペンやアレルギーに関して記し、プロ選手の場合ドーピング検査対象の為、エピペンは禁止物質を使用しているので、ドーピングに対してどのように対応するのか等も記載しています。

この記事を読むことでアナフィラキシーになった際のエピペンの使用などを理解できるかと思いますので、参考にしていただければと思います。

 

結論

  • 食物アレルギーがあるとアナフィラキシーになる場合がある。
  • アナフィラキシーになると30分程度で生命の危機になる場合もある
  • アナフィラキシーの症状が一つでもあればエピペンを使用して救急車で病院へ受診
  • エピペンは緩和薬であり、治療薬ではないので使用したら必ず病院へ
  • エピペンを使用する機会は突然やってくるので事前に練習して大腿部前外側に使う事
  • エピペンはドーピングで禁止物質となる為、使用したら必ずTUEを申請する

 

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーとは、短時間に全身に現れる激しい急激なアレルギー反応です。

異物が体に侵入すると免疫システムが過剰に反応し、咳やくしゃみ、じんましんなどの症状を引き起こします。

その反応が短時間に全身に現れ、血圧低下・意識レベル低下・失神などをアナフィラキシーショックと言います。

 

食べ物や蜂毒アレルギー

食べ物による反応が最も多く、ハチ・アリ・ムカデによる虫刺され、抗生物質・解熱剤・造影剤の薬物投与、天然ゴムなどによるケースもあります。

ココに注意

食べ物アレルギー

卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、エビ、カニなど

虫刺され

ハチ、アリ、ムカデなど

薬物投与

抗生物質、解熱剤、造影剤など

 

 

 

症状

皮膚症状

発疹、じんましん

粘膜症状

唇や舌が腫れる

呼吸器症状

呼吸困難、気道狭窄、低酸素血症など

循環器症状

低血圧、意識障害、失神など

分類 症状
皮膚症状 発疹、蕁麻疹など
粘膜症状 唇や舌の腫れなど
呼吸器症状 呼吸困難、気道狭窄、低酸素血症など
循環器症状 低血圧、意識障害、失神など

※エピペンを使用する症状の詳細は以下に記します。

 

全国のアナフィラキーに関して相談できるお医者さん

全国のアナフィラキーに関して医療施設をさがすことができるサイト

参照

アナフィラキシーってなあに.JP
https://allergy72.jp/search/

 

 

エピペンとは

アナフィラキシーになってしまった時、症状を一時的に緩和しショックを防ぐ補助治療剤です。

食べ物アレルギーがある方は病院を受診し、エピペンを処方してもらい、万一に備え常にエピペンを持ち歩くことになります。

食べ物には何が入っているかわからないケースも多いため、間違って食べてしまう事があるためです。

 

大人用は黄色いパッケージ

子供用は黄緑のパッケージ

アドレナリン液の量がことなるだけで使用方法は一緒です

 

エピペンを使用すべき症状

エピペンを処方されている方で、アナフィラキシーによる下記の症状が1つでもあればエピペンを使用する。

食べ物によるアナフィラキー発症から心停止まではおよそ30分と言われています。

 

消化器の症状

繰り返し吐き続ける

持続する強い(我慢できない)お腹の痛み

呼吸器の症状

喉や胸が締め付けられる

声がかすれる

犬が吠えるような咳

持続する強い咳き込み

ゼーゼーする呼吸

息がしにくい

全身の症状

唇や爪が青白い

脈をふれにくい・不規則

尿や便を漏らす

意識が朦朧としている

ぐったりしている

エピペン使用の注意事項

エピペンを処方されると2枚の資料がありますので、必ず読むようにしましょう。

 

ココに注意

アナフィラキーの症状にてエピペンを使用したら、必ず近くの医療機関を受診してください。

エピペンは緊急時の補助治療剤であり、治療に代わり得るものではないためです。

アレルギーを治す薬剤ではなく、アナフィラキシー反応を緩和する薬剤です。

 

使用上の注意事項

  • いざという時のために練習用トレーナーで使用方法を習熟しておくこと。
  • ピロ亜硫酸塩アレルギーがあっても緊急時にはエピペンをご使用ください。
  • 15〜30℃で保存しておく。高温低温下で放置しないように。
  • 使用期限があるので確認するように。およそ1年間有効
  • 実際に投与される量は大人用(黄色)は0.3ml、子供用(黄緑)は0.15ml投与されますが、本体には安定のため2ml薬液が入っていますが、使用後本体に薬液が残るようになっています。再度注射はできません。
  • 飛行機の手荷物時にトラブルを避けるため、航空会社に事前に連絡することを勧めます。(※実際に国内線の手荷物検査ではパスできた経験はあります。)

 

原則禁忌のケース

※生命の危機に直面している場合、緊急時は使用せざるを得ない

  1. エピペンで過敏症の既往歴がある患者
  2. 交感神経作動薬に対して過敏な反応を示す患者
  3. 動脈硬化症の患者
  4. 甲状腺機能亢進症の患者
  5. 糖尿病の患者
  6. 心室性頻拍等の重症不整脈のある患者
  7. 精神神経症の患者
  8. コカイン中毒の患者
  9. 子供用0.15mg(黄緑タイプ)体重15kg未満の場合、大人用0.3mg(黄色タイプ)体重30kg未満の場合

 

エピペンの使い方

エピペンを処方されると2本入っている。

黄色や黄緑色が本番用で、もう1本が練習用として準備されています。

本番用は携帯用のケースに入っています。

ココに注意

本番用は実際にアナフィラキシーになった場合以外、使用しないこと。

万一練習で使用してしまった場合はすぐに病院を受診するようにしてください。

 

使用手順は簡単です。

練習用で実際に練習しましょう。

練習用には針や薬剤は含まれていません。

 

1.青いキャップを取り除く

針のストッパーとなっているため、青いキャップを取り除く。

 

2.エピペンのオレンジ色の先端を足の大腿部(太もも)前外側にカチッと音がするまで押し当てる。

ポイント

必ず大腿部の前外側に行う事

足の外側は神経や血管などを避け筋肉に注射できる為です

 

エピペンはドーピングは大丈夫!?

エピペンはドーピングに対応しているのか!?

ドーピング検査には競技会検査と競技会外検査があります。

  • 競技会検査 ・・・大会中の試合直後に実施する検査
  • 競技会外検査・・・練習時などを含め抜き打ちで実施する検査

 

ドーピングに関しての詳細記事はこちらを参考に
【わかる】選手がドーピングで実際に確認すべき7つの事

 

 

グローバルDROのサイトで自分の競技や使用したい薬がドーピングにて禁止されているのか確認できます。
https://www.globaldro.com/JP/search

  • ユーザータイプ
  • 競技
  • 購入国
  • 検索に薬の名称
    検索ボタンをクリックすると調べる事ができます。

競技会検査

大会や試合直後に試合会場で実施する検査にあたります。

ドーピング実施の大会や競技で、全ての選手が対象となります。

試合直後に実際に行う検査のため、ドーピングの基準も競技会外検査よりも厳しく制限されることが特徴です。

 

エピペンは競技会検査では禁止なんだね

そのため使用したらTUEの申請が必要になるんだ

JUNK TRAINER

 

競技会外検査

日本代表選手の中でもその年の大会によって対象者が異なるケースもあります。

競技会外検査の場合は、どこでも検査員が訪れてその場で行う抜き打ち検査にあたります。

そのため、対象者になる選手はADAMSという居所情報を入力している事が前提となるので、ドーピングが実施されている競技の中でも限られた選手が対象者となります。

 

競技会外検査の場合は試合直後ではないため、競技会検査よりも使用できる薬も少しだけ幅が広がる事が特徴となります。

 

競技会外検査では使用しても問題ないよ
JUNK TRAINER

 

TUE(治療使用特例)の申請

エピペンの場合、競技会検査では禁止物質となるため、万一使用した場合はTUEの申請が必要となります。

この際にTUEを申請するだけでは受理されず、アレルギー検査(パッチテスト)で実際にアレルギー反応があることを証明する必要があります。

 

エピペンはアドレナリン注射液のため、心臓を強く働かせるため、競技力が向上する働きがあるということになります。

そのため、競技会検査で禁止されているわけです。

 

TUEの申請方法

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のサイトからTUE申請書類をダウンロードして、必要な書類と合わせてJADAに申請する流れとなります。

https://www.playtruejapan.org/medical-staff/tue_flow.html

 

エピペン使用にてTUE申請に必要な書類

  • TUE申請用紙
  • アレルギー検査結果
  • 過去の治療薬の使用状況
  • 禁止物質の使用日

 

 

トレーナーとしての対応

チームの中にアレルギーを持っている選手がいるかいないかで、トレーナーの仕事も変わってきます。

もしアレルギーのある選手がいる場合、特に食物アレルギーには注意が必要となります。

以下の手順で対応していく形となります。

トレーナーのすべき7項目

  1. 対象選手の確認
  2. 病院受診
  3. アレルギー検査実施(パッチテスト)
  4. 適応選手本人にエピペンの使用方法の確認
  5. 遠征時には万一に備えエピペン持参
  6. 使用したら病院受診し適切な処置
  7. 使用したら速やかにTUE申請

 

 

1.対象選手の確認

チームスポーツでは特に多くの選手やスタッフで構成されています。

特に選手の中に食物アレルギーがある場合、アナフィラキシーとなり試合に出場できなくなってしまうような場合もあります。

事前に選手にアレルギーがあるのか、何が反応してしまうのか、過去にアナフィラキシーになった経験はあるのかなど確認する。

確認項目

・アレルギーはあるのか

・何がアレルギー反応を起こすのか

・過去にアナフィラキシーになった経験は

 

 

チームでは遠征の際にチームでの食事となる。

この際に事前にわかっていれば、アレルギーになる素材を使用しないようホテルのレストラン等に指示することも可能である。

一番起りやすいのは、外国籍選手が初来日した際に、食べ物の事が文化の違いから見た目では何の食材を使っているのかわからない事で、トラブルは起りやすい。

 

2.病院受診

実際に病院を受診して、医師の診察や検査を受けることは大切となります。

選手は事前に聞いている情報と実際に病院に行って診察の際に言うことが違う事があります。

トレーナーに対しては何となく説明しますが、実際に病院に行くと記憶を辿ったり、過去の資料によって行っていることが異なってくるケースはよくある事です。

実際に検査するとアレルギー自体の種類が異なっていることもあるくらいです。

 

3.アレルギー検査(パッチテスト実施)

ドーピングのTUE申請にはアレルギー検査の結果は必須となるため、いざエピペンを使ってから検査をするよりも、事前に検査することで、何のアレルギーなのか詳細を突き止めておくことは必須となります。

エピペンはあくまでも緊急時の対処法であり、治療ではないため治療する際に何のアレルギーなのか明確にしておいた方が万一に備えられるわけであり、TUEも速やかに申請できると思います。

 

4.適応選手本人に使用方法の確認

エピペンは使用する際に、本人は意識がもうろうとしている場合も想定できます。そのような状況でも対応できるように使用方法の確認、定期的な反復練習を行うことは大切で自分の命を守る防御対策となります。

チームであればトレーナーやマネージャーなどの役割の者も使用できるようにしておく必要があります。

意識がなくなった場合、自分でエピペンを使用できなくなり、第三者が実施する場合もあると言うわけです。

 

5.遠征時には万一に備えエピペン持参

チームスポーツの場合、遠征でチームの食事が出るかと思います。

その際に事前にアレルギー食物がある食材は使用しないでもらう事がベストですが、調理する側も常に完璧ではないので万一に備え、エピペンは持参しておくことが本人には必須項目となります。

またトレーナーはチームの遠征時にエピペンを持参して万一に備えておく形を取れればベストな対応となります。

チーム内にエピペン保持者がいるので、私も1本遠征時に持っています。
JUNK TRAINER

 

6.使用したら病院受診し適切な処置

エピペンは緊急時ようの対処方法なので、使用したら速やかに救急車を手配し病院へ受診することが必須となります。

 

エピペンを使用するケース

  • エピペンを使用して緊急の対処
  • 救急車の手配
  • 病院にて適切な処置

 

7.使用したら速やかにTUE申請

ドーピング対象の選手は、TUEの申請を速やかにしましょう。

エピペン使用にてTUE申請に必要な書類

  • TUE申請用紙
  • アレルギー検査結果
  • 過去の治療薬の使用状況
  • 禁止物質の使用日

 

万一に備え、事前に準備しておく事が大切です。

いざ問題が起こると、その他の部分でミスが出てしまうこともあります。

 

トレーナーは事前の準備は大切な考え方です
JUNK TRAINER

 

まとめ

長々とエピペンに関して記してきました。

ここでもう一度おさらいとしてまとめました。

結論

  • 食物アレルギーがあるとアナフィラキシーになる場合がある。
  • アナフィラキシーになると30分程度で生命の危機になる場合もある
  • アナフィラキシーの症状が一つでもあればエピペンを使用して救急車で病院へ受診
  • エピペンは緩和薬であり、治療薬ではないので使用したら必ず病院へ
  • エピペンを使用する機会は突然やってくるので事前に練習して大腿部前外側に使う事
  • エピペンはドーピングで禁止物質となる為、使用したら必ずTUEを申請する

この記事がアレルギーのある選手に対して参考になれば幸いですし、トレーナーのお役に立てればと思います。

 

 

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