膝のサポーターはたくさんの種類があって、正直どれがいいのかわからなくないですか。
今回ミューラージャパンの「オムニフォース® ニースタビライザー KS-700」を今シーズンプロバスケ選手3名に1シーズン使用したのでそのレビューを記してみました。
私はプロチームで長年トレーナーとして活動しています。小学生からプロ選手まで幅広く関わっているので、現場での経験は豊富です。
膝のサポーターは様々なタイプや様々なメーカーが作っています。
この記事では膝のサポーターの選び方や実際に選手が使用したレビューなどを記しています。
この記事を読むことで膝のサポーター選びのイメージがわき、一つの参考にしていただければと思います。
結 論 |
・前十字靭帯なら60%のスピードくらいから膝のサポーターをつけよう それまではリハビリをして筋力強化したいのでサポーターよりも装具になる ・2部練習が多いチームは2つでローテーション ・装着感が良いので違和感なく使える ・バスケットボールに最適なタイプ |
膝サポーターの使用目的
膝のサポーターをする目的としては痛みがあるからであり、試合や練習中の痛みを軽減させること、怪我の再発予防のために行う。
サポーターを選ぶ際に確認しておきたいことは以下の点である。
膝サポーターの目的
■サポーターの目的
・痛みを軽減させる
・怪我の再発予防
■サポーターを選ぶ際のポイント
・自分の膝の痛みは何か症状名
・骨、靭帯、半月板、筋肉
・履くタイプ、巻くタイプ(シューズを履いたまま着けられるのか)
・横にワイヤーがあるのか、ないか、鉄が入るか
・サイズは合っているか
サポーター機能 | 目 的 | このサポーター(KS-700) |
前後のズレ防止 | 前十字靭帯の保護 | ◯ |
横へのズレ防止 | 内側・外側にある靭帯の保護 | ◯ |
回転動作防止 | 前十字靭帯・半月板の保護 | ◯ |
お皿の安定感 | お皿の動きをスムーズにし、軟骨への負担軽減 | ◯ |
曲げ伸ばしの補助 | 大腿四頭筋(もも前)の補助 | ◎ |
靭帯の圧迫 | 膝蓋靭帯のの圧迫で痛みを軽減 | △ |
膝の前後のズレ防止
前十字靭帯の役目としては...
足がついている状態でストップした際など脛の骨(下腿)に対して膝より上が後ろにズレることを防ぎます。
後十字靭帯の役目としては...
その逆で足がついている状態でストップした際など脛の骨(下腿)に対して膝より上が前にずれることを防ぎます。
バスケットボールの場合は後十字靭帯は手術しなくても痛みはあるもののプレイはできるので、前後のズレの場合は前十字靭帯に対してサポーターをつけることが圧倒的に多い。
ただし、後十字靭帯の場合は膝蓋靭帯に負担がかかるので、ジャンパーズ・ニーと同様な膝の痛みや違和感は発生する。
膝の横へのズレ防止
膝の横のズレに対しては、内側にある内側側副靱帯と外側にある外側側副靭帯がある。
怪我をする時はどちらか一方のみが一般的である。
前十字靭帯と内側側副靭帯のセットで損傷する場合は多い。
横の靭帯が損傷するとサイドステップから急に切り返すときに、不安定となりやすい。
そういう動作が加わると骨(下腿)と骨(大腿)の間にある半月板にも負担がかかってしまう。
膝の回転動作防止
バスケットはターンやピボット、スピンなど回転することもよくある。
この時に靭帯が緩くなっていると、ねじれが生じて半月板を痛めやすくなってしまう。
膝のお皿の安定感
膝のお皿も成長するし場合によっては分裂してしまうこともある。
わかりやすく説明するとO脚やX脚とよく聞くかと思うが、生まれ持ったものや習慣で足の形状が変化してしまう。
そうなるとお皿の動くレールからはみ出してしまい、軟骨に負担がかかってしまう場合と、お皿自体が割れてしまう場合もある。
そのためお皿の動きを安定させることは重要となる。
膝曲げ伸ばしの補助
サポーター自体が伸縮素材でできているので、多少は屈伸動作の補助になっている。
横にワイヤーが入っているものもあり、膝が曲がると反動から膝が伸ばされやすくなる。
そのため、まだ完全な筋力回復が達成できていなくても、サポーターによって補助してくれるのでプレイが可能となるわけだ。
靭帯の圧迫
膝の下にある靭帯(膝蓋靭帯または膝蓋腱という)はスネの骨(下腿の脛骨)についている。
オスグッドで痛みが出る場所である。
この靭帯を伸ばされすぎないよう圧迫することでオスグッドの痛みを軽減させる働きがある。
成長痛の膝に適しているサポーターとなる。
今回のサポーターにはそこまでの機能はない
プロ選手が実際の使用レビュー
今シーズン実際に選手に装着して活用させて頂きました。
【1人目】前十字靭帯再建術後6ヶ月から使用
昨シーズンの試合中にドライブから左膝の前十字靭帯損傷し、手術をしました。
その時に私はこのチームにはいなかったため、そこまで詳細は分かっていませんが、6月に確認した際はまだまだ筋力不足とバスケット的な動きをそこまで行っていなかった。
7月よりチームの練習が開始され、個人のドリルを実施していくにあたり使用し始めました。
夏場なので2つのサポーターでローテーションして使用しました。
本人もフィット感があり良い感じで行えています。
開幕時にはサポーターなしで問題なくプレイできるようになったためその後は使用しなくても大丈夫であった。
本人の使用感
サポートされてドライブ時の片足荷重でも安定する
装着しても違和感がなく良い
【2人目】前十字靭帯再建術後8ヶ月から使用
昨シーズンのプレイ中に左膝の前十字靭帯を損傷し、半月板を縫合する手術を行った。
チームに移籍してきた選手で本人は大丈夫というものの筋力不足が明らかであった。
筋力強化しながら、サポーターを装着して個人練習から行っていった。
この選手の場合、サポーターとテーピングを合わせて使用していた。
テープはキネシオテープ75mmを使用しベースで安定させ、その上からサポーターを使用していた。
膝が悪化することなく、順調に復帰できている。
シーズン途中からサポーターのみとテーピングのみと使い分けをして対応した。
サポーターの方が膝の補助や保護はより良いと思う。
テーピングだとフィット感と試合や練習を通して、汗での重たさや違和感、弛みが無いのが利点である。
最終的に2月よりサポーターもテーピングもなしでプレイできるようになっている。
本人の使用感もかなり良いとのことである。
本人の使用感
フィットして使いやすい
今までのサポーターで一番いい
シューズ履いてから着けられないからたまに面倒
コンタクトプレイの最初はテープと合わせて使用した
【3人目】膝蓋軟骨の後遺症で使用
慢性的なひざ痛で少し変形してきている状態である。
ベテラン選手でもあるので膝との付き合い方もわかっている。
Bリーグはどうしても試合が多いため、疲労が蓄積してくる。
プレイタイムが長くなるとどうしても痛みが出てしまう。
この選手はアーリーカップという9月に開幕前のトーナメント戦でドライブに行った際に痛めてしまった。
原因は外国籍選手がビザの問題で試合に出場できず、かなり負担がかかってしまっていことである。
サポーターを装着しながらプレイして本人も感触は良いとのこと。
痛みが大きい時はキネシオテープ75mmで最初に巻いてからサポーターをつけるような使用方法でした。
現在でも継続して使用している。
本人の使用感
使っていて違和感ない
痛みが強い場合は少し弱いのでテープを足していた
通常はこのサポーターだけで大丈夫
総合評価
今シーズン3名の選手が実際に使用し、前十字靭帯術後2名と膝蓋軟骨1名でした。
ただし使用する時期としては術後のリハビリ時期では弱いです。
ジョギングやサイドステップなどバスケットボールの動作が60%くらいのスピードで行えるレベルに達したら非常に機能するサポーターだと思います。
まずはしっかりトレーニングして回復させることが大切です。
横ブレはワイヤーなので強度自体はそこまで強くはないですが、そのぶん動きが制限なく滑らかさが出る。
実際にコンタクトプレイを始めるようになった時は、キネシオテープで軽く補強してテープとサポーターの両方を使うと安全です。
慣れてくればサポーターだけで対応できるし、さらに筋力強化すればテープもサポーターもなしで行えるようになると思います。
それには継続してトレーニングを行うことです。
膝蓋軟骨に関してはお皿のホールド感もあるのでこちらの使用にもいいですね。
サポーターをつけて違和感なくプレイしたいならこのタイプで良いかと思います。
使用ポイント
・前十字靭帯なら60%のスピードくらいから
・2部練習が多いチームは2つでローテーション
(その方が持ちがいいし機能が保てる)
・装着感が良いので違和感なく使える
・履くタイプなので靴紐結ぶ前に装着すること
・バスケットボールに最適なタイプ
・オスグッドは別のストラップタイプで十分
この記事が参考になれば幸いです
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