コロナが蔓延してB.LEAGUEは2019-20シーズンは途中で中断となってしまった。
2020-21シーズンはシーズン終盤にかけて試合が中止に相次いでなって行ったものの観客動員50%で開催していった。
2021-22シーズンはオミクロン株の流行でかつてないほどの試合中止が相次いでチーム関係者も感染者多発、濃厚接触者扱いという中でかなりのダメージが現在進行形である。
こんな中でチームのメディカルスタッフとしてのトレーナーの仕事量が倍増し、コロナ対策業務に追われる日々となり、かなり激務の状態となっている。
私は現在プロバスケチームのアスレティックトレーナーとして活動して、現在も選手やチームの健康管理としてもコロナ対策を任される立場です。
ベテラントレーナーとして長きにわたりプロチームや日本代表、海外での活動もしてきました。
とにかくこの2年間、特に今シーズンは今まで以上にコロナ対策としてBリーグよりトレーナーの負担量が多くなっています。
コロナによってBリーグ・アスレティックトレーナーの仕事倍増
- 2週間に1度のPCR検査実施
- 週2回の抗原検査実施
- 健康管理アプリの入力管理
2週間に1度のPCR検査実施
Bリーグ独自のPCR検査を2週間に1度実施しなければならず、選手スタッフは検査を実施して陰性にならないと試合のエントリーが行えないのがルール化されています。
PCR検査は基本的に月曜日に配送業者が回収に来るので、月曜日にOFFが多いチームも多く、その時点でOFFがなくなってしまいます。
選手やスタッフ全員の採取した唾液を管理して検査コード番号を検体に貼り付け、しっかりとした梱包をしての出荷となります。
また、誰が検査を実施するのか、選手・スタッフ・フロントスタッフと事前にBリーグに報告書も作成する必要があります。
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週2回の抗原検査実施
チームに部外者が交流する際に抗原検査を用いて、その場で検査ができる抗原検査はとても有効な手段となっています。
特に一緒に練習する大学生や練習生などアーリーエントリーの候補者たちがチームに合流し練習する際にはとても役に立ちます。
オミクロン株が流行してから、週に2回の抗原検査がルール化されました。
Bリーグより支給される抗原検査キットが業務用のため、個包装されていないので、1つづつ小分けしなければならない作業も発生するわけです。
チームとして活動しているので全員いるタイミングで実施できる時もあれば、できない時もあるため、かなり手間がかかります。
特に遠征先では、抗原検査を実施して万一陽性になったら、遠征先でステイしなければならないため、遠征先で実施することは極力避けなければならず、解散する前に個人個人に渡して、各自実施してもらう必要があります。
PCR検査は唾液を規定量以上採取できれば問題ないのですが、抗原検査は選手に任せると失敗してやり直さなければならないケースも出てしまいます。
健康管理アプリの入力管理
毎日体調管理をリーグでも一括管理するためにBリーグではアプリを導入して、選手・スタッフは毎日記録しなければなりません。
当日項目に当てはまる症状がある場合は、試合会場に来てはいけなく、もちろん試合出場はできなくなってしまいます。
試合当日にアプリの入力が試合出場のエントリー条件となっています。
その症状は診断がつかなければコロナと見なされてしまうわけです。
そのため、毎日のようにアプリの入力のメールをチーム全体にインフォメーションしなければなりません。
細かい作業が毎日のように続くことがとてもストレスに送信する側も受信する側もかかるわけです。
チーム内での業務増加
そのほかにもチームでの業務もかなり増えています。
- 遠征時のマスク等の感染予防グッズの準備
- 遠征中のケアルーム感染予防対策
- 体調不良者との対応と病院帯同
遠征時のマスク等の感染予防グッズの準備
Bリーグは不織布のマスクを推奨しているので、マスクを常に大量に準備しています。
遠征では公共交通機関も使用することが多いため、感染を防ぐ目的で、不織布マスクを選手に配布します。
毎回毎回渡すことがとても面倒な作業なので、遠征分まとめて袋やケースに入れて配布しています。
選手は人のものは平気でなくすので、マスクケースだと無くしたり、持ってこなかったり、管理する方としても大変なので、私の場合はビニール袋に個人個人セットして渡していますが、この作業もかなり面倒です。
遠征中のケアルームでの感染予防対策
遠征ではアスレティックトレーナーの部屋が基本ツインルームとなり、ケアルームとなります。
そのため、選手の出入りが多く、時にはクレームが入ることもあります。
そのため、ドアを以前は開けておけたのですが、現在コロナの影響でさらにドアを閉めなければならず、換気にも問題点があります。
ホテルでは窓が開かないタイプの部屋も多く、トレーナーは感染リスクがとても高い状況となります。
ホテルのケア中も常にマスクを装着しながらの選手のケアが必須のため、かなり長時間マスクをつけての生活になってしまいます。
ケア後は多くの選手が使用したベッドで就寝しなければならないので、予備のシーツは必ず準備してもらっていますが、常に感染していないか心配な点があります。
遠征中のトレーナーの業務に関してはこちらを参考に
遠征は準備が大切でトレーナーにとっては過酷なスケジュール
体調不良者との対応と病院帯同
チーム内で体調不良者が出た場合、まずコロナを疑わなければなりません。
そのため、選手の家に抗原検査を実施するため向かい、PCR検査も実施して唾液を採取します。
選手を病院の手配をして対応します。この時に病院へ本人のみで行かせるか、帯同するかがまたポイントとなります。
選手だけで病院へ行った際に、薬がドーピング対応のものを処方してもらうよう手配する必要があり、選手だけでは問題になるケースが出てしまうことがある。
PCR検査はその日に検査結果が出る民間の検査機関に依頼するため、そちらにも連絡し、回収してもらいます。
いつ、どのタイミングで現場復帰させるのか、社長と打ち合わせをして決定となります。
試合中の感染予防対策
バスケットボールは試合中コートではマスクをして行える競技特性ではないため、いつ感染するか分からない状況となります。
Bリーグの方針ではベンチエリアでは極力マスクを装着となっていますが、そこに対するペナルティーはありまん。
大汗をかいた状態ではすぐにマスクを着けられないこと、試合にて相手選手も含めて接近しているので、感染や濃厚接触者になることは通常起こり得ることとなります。
その中でもできる限りの対策を実施して感染しないように努めているわけです。
- マスクの準備や消毒対応
- 常時グローブ装着による手荒れ
マスクの準備や消毒対応
試合開始でベンチメンバーはマスクを装着しなければならないので、マスクを常に準備していいます。
基本的には使い捨てとして、選手だけでなく、スタッフが感染しないように配慮しています。
そのため、マスクをかなりの量を使用します。
消毒液を準備して選手やスタッフが感染しないように実施しています。
そのため、通常の試合の業務よりも現在のコロナ対策の方が試合中の仕事も増加しています。
常時グローブ装着による手荒れ
トレーナーは出血時の対応でグローブを使用していますが、現在は常時試合中はグローブをしています。
選手のタオルやドリンクを常に触るので、ちょっとしたことで感染する可能性があるので、現在ではグローブをすることが当たり前となっています。
グローブをつけると手がカサカサになり、手荒れが増してしまい、あかぎれが起こります。
手が荒れると選手のケアでも影響するため、気を使う部分が増えました。
常に緊迫したメンタル的疲労
アスレティックトレーナーはチームの健康管理を任される立場のため、自分自身が病気になってはいけないという使命感がつきものです。
私自身30年以上病気で、トレーナーの仕事を休んだことはなく、今までなんとか乗り越えてきました。
もちろん体調不良になったことはありますが、仕事柄の使命感かOFFの日にスイッチが切れて体調不良となったケースはあります。
ストレスの段階的徴候
精神的な疲労が重なると段階的に症状が出てきます。(私の場合)
- イライラしてゆとりがなくなる
- 顔の一部分が痙攣する
- 指にボツボツと肌荒れが起こる
- 腕に蕁麻疹ができる
- 身体中に蕁麻疹ができる
- 寝ている際に歯ぎしりをして歯が折れそうになる
- 不整脈が起こり、心臓がバクバクと動悸がする
今までにこのような経験が段階的に感じています。
そのため、現在どのくらいのストレスレベルなのか大体わかるようになっています。
初めての不整脈で不安要素
7の不整脈や動機は今年初めてなった徴候で、年齢を重ねて新たな症状が出てきたという感じです。
そのため、循環器系の問題は初めてだったので、とても不安要素があり、病院で検査も実施しましたが、特に異常なしということでしたので、ストレスによる新たな反応として捉えています。
1名体制は現実的ではない
仕事量が増えゆとりもなくなり、休みも仕事に追われ、ONとOFFの切り替えができないような状況が現在のBリーグのアスレティックトレーナーに降りかかっているのかと思います。
トレーナーもチームでは2名体制が一般的となっていますが、現在のチームでは1名体制のため全ての業務をこなさなければならないのでこの辺りも負担は大きいように感じています。
今まで2名体制のチームで活動していたので、その分疲労感も増しているのだと思っています。
とてもやり甲斐のある仕事ではありますが、あまりにも仕事量が多く、仕事の質が明らかに低下していることは実際にあり、不甲斐なく、選手に申し訳ない気持ちもあり、さらに疲弊します。
まとめ
このコロナ禍でいつ何が起こるかわからない状況下では、スタッフが離脱した場合でもチームが機能するようなスタッフ構成をするということは必須要件だと思っている。
悪循環しないよう努めてはいるが、万一に備えてチームとしても対応する時代だと思っている。
コロナによってプロチームのメディカルスタッフの仕事が実際に倍増しているのは事実である。
常に感染しないよう気を張って仕事をしているのは、皆一緒であるがアスレティックトレーナーというチームの健康管理する立場としてはやはり感染するわけには行かないとチームの誰よりも感じている。
そのため、メンタル的にも疲弊していくので、うまく自分自身のコントロールをできるように、トレーナーを目指している方は知識や技術だけでなく、精神面での安定性も身につけていってほしい。
この記事が特にトレーナーを目指している方の参考になれば幸いです。
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