スポーツをしているとどうしても膝の怪我はスポーツ現場で起こってしまいます。
動作の問題、身体接触によって起こるケース、疲労から力の脱力で起こるケース、スリップして怪我をしてしまうなど色々な問題があります。
今回は膝の内側にある靭帯、内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)を痛めたケースのテーピングを実際にプロ選手に巻いていた巻き方を紹介します。
テーピングの巻き方は症状やその時の状態によってテーピングの巻き方も変化するので、この記事でイメージを持っていただければと思います。
私は現在プロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動しています。
選手に毎日のようにテーピングを巻いています。
膝の内側側副靱帯で悩んでいる方の参考になればと思っています。
内側側副靱帯とは
膝には大きく分けると5つの靭帯でサポートされて安定しています。
膝の内部には前十字靭帯と後十字靭帯で内側から前後の動きを保護して守られています。
内側には内側側副靱帯があり、外側には外側側副靭帯があり左右の安定感を出しています。
そして膝のお皿の動きをコントロールしている膝蓋靭帯があって膝関節の全体的な安定感を保っています。
今回は内側にある内側側副靭帯が痛んだケースのテーピングを紹介していきます。
内側側副靱帯は運動時には上の右図のようにつま先に対して膝が内側に入り込んでしまった際に損傷するリスクが高く、外側から接触して内側に入り込んでしまうこと、スリップした際、方向転換なども影響します。
この際に前十字靭帯への負担もかかるので、ひどい場合では前十字靭帯と内側側副靱帯の両方の損傷、さらに半月板の損傷も同時に起こってしまうケースも実際にあります。
まずは足先に対して膝が内側に入らないような動作改善なども必須となります。
いくらテーピングで保護しても根本的な動作に問題があれば負担はかかってしまうので改善に対して遅くなってしまいます。
動作の改善も含めてリハビリを行なっていくことはとても大切です。
テーピングの種類
使用テープ:
・ヒール&レースパッド
・アンダーラップ
・伸縮ソフト75mm
・伸縮ハード75mm
・ホワイト50mm
テーピングも色々な種類のテーピングを使用します。
ヒール&レースパッドはワセリンをつけて膝の裏側にあてがって皮膚の摩擦を軽減するために使用します。
なくてもなんとかなりますが、一度皮膚にトラブルが生じるとマメのような嫌な痛みが継続するので実際には使用しています。
ヒール&レースバッドはワセリンをつけて使うよ!
アンダーラップはミューラーさんのが強いので扱いやすくて使ってます!
伸縮ソフトは小柄な選手だと50mmでも対応可能!
伸縮ハードは巻く前に一度テープを出して戻すと作業をする際にコントロールしやすい!
ホワイトテープは伸縮しないので固定力アップ!
プロバスケ選手に実際に巻いていた膝の内側側副靱帯に対するテーピング
1.膝の裏にヒール&レースパッドをつけたらアンダーラップを巻いていきます。
2.テープを巻く幅は人によっても対応が異なるので選手と確認しながら対応しましょう。
3.伸縮ソフト75mmで土台となるアンカーのアンダーラップの端上下に2周程度巻いていきます。
4.伸縮ハード75mmで内側側副靭帯に対してアンカーからアンカーまで下から上に向かって貼っていきます。テーピングに伸縮性があるので程よいテンションをかけて巻きましょう。
5.伸縮ハード75mmで靭帯に対して斜めに貼っていきます。Xサポートテープと言います。
6.Xサポートのもう一本で5番のテープと逆方向に斜めに貼っていきます。
伸縮ハードを強く引っ張りすぎると土台のアンダーラップからズレが発生します。
その際は粘着スプレーをアンダーラップを巻く前に少し振り掛けても良いです。
7.この選手の場合、もう少し固定感が欲しいとのことで伸縮ハードの上にXサポートの2本に対して同じ走行でホワイト50mmを使って貼っていきました。
8.逆のXサポートに対してもホワイトテープ50mmで補強しています。
9.伸縮ソフト75mmを使ってアンカー同様に巻いていきますが連続で巻き切ります。
10.膝のお皿を避けるようにして一度膝下を巻いたら、もう一度膝上に戻って実態部分の強度を増すように巻いて、ふくらはぎの方まで巻いていきます。
この巻き方をラッピングとも言います。
11.完成した状態です。
アンカーの部分の端が見えてしまい雑となってしまいました汗
プロレベルだと1分ちょっとで全体的に巻きおわりますが、今回雑さも目立ってしまいました。残念
12.最後にふくらはぎの部分がきつすぎるので少し切れ込みを入れて調整しました。
この上から、サポーターをつけることもあったり、ロングタイツを履くことがあったりとこの選手は実際にテーピングを巻いていることが外には出ていないような形でした。
選手の状況や好みによってもテーピングを巻く量をコントロールしていきます。
この選手も何度か巻き方を変えて対応して、その時の状況によっても変化するようになっています。
臨機応変で対応できるようになると選手もベストパフォーマンスにつながるかと思います。
まとめ
今回、膝の内側側副靭帯に対するテーピングを紹介しました。
テーピングはあくまでも練習や試合を行うための手段にすぎません。
テーピングをしたから治ったわけではなく、あくまでも保護して関節の安定感の増加やメンタル的な安心感などに有効な手段です。
ですからまずはしっかりとリハビリやセルフケアなど自分自身出でできることを行いながら、アドバイスをもらって回復・向上・強化を目指していく必要があります。
競技特性に対して過度な負荷がかかるような動作習慣を改善して対応できるように動きづくりも行なっていくことがリスクを軽減できます。
この辺りもぜひ対応して取り組んで、良い形で復帰してください。
この記事が参考になれば幸いです。