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プロバスケチームのスタッフは専門家としてスペシャリストの集まり

私はプロバスケチームでアスレティックトレーナーとして活動中です。
プロチームもたくさんのチームで活動していたのでチームによってもスタッフ構成もちがえば業務内容も異なってきます。

さらに会社の方針によっても仕事の仕方が変わってくるので、いかに現場で対応できるかという点が仕事として成立させるためにもポイントになると思います。

プロチームではGMやヘッドコーチの意見が重要視されるので、各スタッフが各独立して仕事をしながら共有していくことになります。

この記事ではプロチームのスタッフの働き方や会社の方針を私の経験したプロチームを参考にしながら記したいと思います。

プロチームのスタッフ構成

プロチームのチームスタッフにも大きく分けると3つのカテゴリーに分類され、さらに専門分野に別れる傾向です。

チームによってもスタッフ構成は大きく異なり、4名程度のスタッフ構成のチームもあれば12人くらいの大人数でのスタッフ構成のチームもあります。

さらにサポートスタッフを入れるとバスケットボールチームの選手は12名プラス2名程度と練習生で15名程度になりますが、スタッフの方が多いというチームもあります。

スタッフも多ければ組織としても複雑化し、業務も増加するのでメリット・デメリットがありどこまで業務を遂行するのかということは会社の考え方やヘッドコーチの意向もあります。

上記の図で一般的な組織のイメージですが、最近は役職の名称も変わってきている傾向があります。

コーチングスタッフ

実際にバスケットボールの場合、コーチングスタッフもヘッドコーチ、アシスタントコーチ、スキルコーチ、ビデオコーディネーター、ストレングスコーチとその役割も分担されています。

プロバスケチームでは、外国籍選手も3名、さらに帰化選手またはアジア枠が1名と外国色が強くなっている傾向です。そのほかに日本人のハーフやアメリカ出身の日本人、留学生とチームに4-6人英語での会話となります。

そのため、アシスタントコーチも1名外国人のコーチを加入させているチームも多くなっています。

ヘッドコーチは全体的な指揮をとり、アシスタントコーチがオフェンスやディフェンスのパートを任されたり、対戦相手チーム対策を考案するなど役割が分業しています。

Bリーグの場合、試合数が多く、試合出場時間によってもコンディショニングの調整が異なってくるので個人のワークアウトをチーム練習以外でも実施するために、スキルコーチが個人練習を任されることも多くなっています。

ビデオコーディネーターはアナリストとも言われますが、試合の映像をカットして必要な部分を出してビデオミーティングに備えたりもしています。

ストレングスコーチは選手のフィジカルの維持向上に努めて対応する役割となります。

最近では選手の動きをGPSで常に練習や試合時の運動量や走行距離、負荷を数値化してデータベースで体力やコンディショニングをコントロールするようになってきています。

コーチングスタッフでも様々な役割があり、シーズン中は勝敗にも左右されるのでメンタルの維持も含めて体調管理もとても大切になります。

マネージメント

マネージメントはチームにとって生命線となる業務になります。チームのスケジュール管理、遠征時のホテルの手配、食事の手配、移動手段としての飛行機、新幹線、バスの手配もあります。体育館の確保から練習中のドリンクやタイマー、タオルの準備や洗濯と多くの仕事がひっきりなしに舞い込んできます。

メインとなるチーフマネージャーが管理して、アシスタントトレーナーがサポートする体制が作られるわけです。

そこに外国籍の管理をする通訳が関わってきます。

外国籍選手はチームによっても環境が大きく異なり、車を運転させるのか、ビザ、市役所での保険証の手配など外国籍の世話役を全面的にサポートする役割となります。

また外国籍選手が家族で日本に滞在する場合は家族のサポートも行わなければなりません。

病院への帯同も色々と問題となったりしますので、通訳を介さないと伝わらないケースも多く、一緒に同行せざるを得ないケースもでできます。

外国籍選手の連絡網として必須の役割になります。

GM(ゼネラルマネージャー)はチームの最高責任者となってチーム全体を管理する役割となります。選手やスタッフの契約業務、チームのルールや方針、トラブルの対応、Bリーグの代表者会議などかなりの業務が実際に生じます。

GMの方はチームとフロントとの架け橋ともなり、全体のバランスを取る必要があります。

バスケットボールは移籍が当たり前となるため、特にオフの時期に入る前から選手やスタッフをいかにリクルートできるかで翌シーズンの成績にも影響してきます。

バスケットボールだけでなく、マネージメント能力、メディカルの部分にも対応できるような総合的にジャッジができること、判断力なども問われます。

GMの方の采配でチームは大きく変化するとても需要な役職となっています。

メディカルスタッフ

メディカルスタッフとして、アスレティックトレーナー、アシスタントトレーナー、チームドクター、理学療法士、栄養士など選手スタッフの健康管理をサポートするスタッフとなります。

バスケットボールは身体接触があり、怪我が常につきものとなります。

そのため、いかに怪我を出さないよう予防できるか、日頃のケアにて良い状態にしていくかということはとても重要となります。

実際に怪我をした際に医療機関で速やかにMRIやCTといった画像検査ができる環境は大切です。

時には手術しなければならない状況となるため、手術の段取りの手配を速やかにしなければならないので、提携の医療機関は必須となります。

怪我でけでなく、現在はコロナ禍なので、ちょっとした体調不良もまずコロナを疑わなくてはならないので、抗原検査を実施なければならず、無症状でコロナ陽性を発見してしまうケースもあります。

昨シーズンであれば、コロナ陽性者が出てしまうと選手も濃厚接触者となって隔離となったため、試合が中止となりましたが、今シーズン2022-23では中止とはならず開催するので、メンバーが7人以上で試合開催となります。

このようにメディカルスタッフはコロナによって雑務も大きく増加して常に多忙となっています。

プロチームでの仕事の仕方

プロチームは各スタッフが独立した専門分野としてプロフェッショナルの立場で自分自身の業務を遂行する形となります。

契約の仕方が年間の契約となり、1シーズン業務を全うするという形となります。

プロバスケットボールチームでは契約スタートが7月からが多く、6月までの期間が一般的となります。

その間のオフ日はチムのオフ日となりますが、なかなか休みが作れることが難しいのがプロチームのスタッフとなります。

しかし、社員ではなく、業務委託となるため、週一回の定期的な休みを確保できるかというとそうもいかないわけです。

独立した業務

基本的に各自の仕事を全うして納期を守って仕事をしていればいつ出勤しようが、いつ帰宅しようが問題ないのがプロチームのあり方だと思っています。

その代わりしっかりと事前の準備をして、いざという時にできていないのでは役立たずとなってしまい、空気感が悪くなり、他のスタッフに迷惑がかかってしまいます。

自分自身で行わなければならないことは責任を持って対応するのがプロチームのスタッフとなります。

共通した業務

例えばコーチでも誰が戦術を作り、誰がワークアウトするのかは業務の分担をしていきます。

リハビリでもどこまでがトレーナーが関与して、どこからストレングスが対応し、どこからコーチが参入するのかという共通した部分があり、お互いが連携をとって責任を持って対応すること、場合によっては別スタッフに任せるべきことなどその時のケースによって対応する役割も変わってくるかと思います。

この辺りはコミュニケーションをしっかりととって対応する、役割を決めるということが必要となり、コミュニケーションが取れない、取りにくく仕事がやりにくい方がいるとチームワークが乱れます。

時には大きなストレスやミスにつながってしまうので、お互いのスタッフを理解して尊重する必要があります。

しかし、チームの中にはどうしてもうまくいかないタイプの人間もいるので、どのように対処していけばうまく治っていくのかを考慮する必要はあります。

プロチームのスタッフだからこそ責任感が強く、尊重できない、方針や考え方が違うという意見が噛み合わないケースも実際の現場ではよくあることです。

しかし、最終的な目的はチームが勝利して優勝するための最善の努力をすることだと思っていますし、目標は同じだと思いますので、対応能力、人間力が必要となるわけです。

このようなことからプロチームでは人間力の評価が高く、仕事が多少できなくても揉め事を起こさない方が必要とされがちでもあります。

手がけたことに責任を持つ

プロチームでの働き方は各スタッフが独立して業務を行うことなので、自分自身で業務を遂行する責任があります。

もっとこうしたらいいな、こういうことを導入したいと思っても、自分自身が責任者となって担当することが前提となります。

人間各自仕事のキャパがあるわけで、あれもやりたいこれもやりたいと思っても、そこまで能力がゆとりがないのが現状です。

ですから、業務を手広く行わず自分自身が責任を持って担当できる業務を全うするのです。

一番良くないのは、このチームはここが不足していると率先して導入するも後は任せたという形で他人に投げてしまうようなスタイルの仕事の仕方はGMや社長でも事前の会議にて決まった案件でなければ、チームで実際に活動するスタッフにとっては重荷しかなく、新規に導入した企画自体が潰れてしまい中途半端になってしまいます。

ましてや1スタッフがそのような管理職のような動きをしてしまうとチームワークにヒビが入ってしまい大きなトラブルの要素となってしまいます。

チームスタッフは各自プロフェッショナルだからこそ自分の仕事に責任を持って対応する必要があるのです。

時間の効率的な活用をすべき

プロチームのスタッフは実際に休みがかなり少ないのが現状です。

バスケットボールの場合、コーチングスタッフは試合や練習の映像を確認して、自チームの修正点を見出し、また対戦チームの戦術のデータを分析しています。

チームとしてオフであっても、翌日の練習に向けてオフを使ってミーティングに使う映像や資料を整理して、練習のメニューを構築するわけです。

ビデオコーディネーターはコーチが仕事をする前にその映像を編集してまとめて納品するわけです。

マネージャーは年間通しての遠征の手配や調整、チームのスケジュールなども空いている時間にゆとりを持って準備しなければなりません。

トレーナーも試合で怪我をすればオフに選手と病院へ行き、選手のケアを行なって対応するわけです。

BリーグはNBAに次ぐ試合数のため、年末年始も含めて試合が中断するという時期がほとんどありませんので、1シーズン駆け抜けなければならない状況となります。

そのため、いかに仕事を効率的に行なってオンとオフを切り替えて自身のメンタル維持や体調管理も行いながらリフレッシュできるかもとても大切なことだと思います。

家族サービスも必要ですし、普通の会社員のように土日の休みといった定期的な休みはほぼ皆無なので自分自身で調整しなければ滅入ってしまいます。

年契約というスタンス

プロチームの活動に際してどのような雇用形態があるのかという点でいくつか働き方があります。

  • 正社員雇用
  • 契約社員雇用
  • 業務委託契約

プロチームでは一般的な契約はやはり業務委託となります。1シーズンでの契約が一般的だと思います。

7月から始動してシーズンは5月上旬にレギュラーシーズンが終了し、そこからプレイオフの期間となります。

6月は年間を通してイベントやスポンサーの会社訪問などがありますが移行期となります。

そのため7月契約スタートで6月末までの1年契約が多いかと思います。

業務委託となるため、健康診断も自分自身で実施しなければならず、シーズン中も業務ありきで活動する前提となります。

ですから休みがないと文句は言えないわけで、その代わり報酬を払っているということです。

この辺りは全て契約の項目に含めるかどうかということになるので、難しい点でもあります。

特にチームスタッフの場合、細かい契約内容だとプロ球団側が断ってくるケースもあるのでやりすぎてしまうと面倒だとなってしまい、仕事の話が流れてしまうケースもあります。

プロチームで活動することはとてもステータスがありやり甲斐もありますが、その反面1シーズンで仕事がなくなる可能性もあり不安定な面もあります。

プロチームでも違った構成

私はプロチームでアスレティックトレーナーとして、ストレングスコーチとして、スクールコーチとしても働いていたことがあります。

プロ球団によっては兼務することが多かったチームもあります。

日本国内でも9チームに関わったことがあり、海外でも活動したことがあります。

プロ球団は同じ組織図なのかというと全く別の構成になっています。

面白いものもです。

社長が完全に仕切ってチームの方針を決定する対応するトップダウンのスタイルを取るチームもあれば、現場の意見を反映させてGMが良い環境を作ってくれるボトムアップのスタイルをとるチームもあります。

また社長やGMだけでなく現場のスタッフの意見も反映させ定期的に会議を行なって良い環境づくりを進めるトップダウンデモクラシーというスタイルをとっているケースもあります。

トップダウン

トップダウンとは、プロチームの場合会長や社長、GMが意思決定を示して、その方針に従ってチームが動く体制のことを指します。

そしてその方針を元にヘッドコーチがチーム作りを行っていく事となり、その他のフタッフで役割分担をしていくというスタイルになっていきます。

上の方針が絶対となるため、意思決定までのスピード感があり、組織として統一された一体感が出やすく、シンプルによる仕事の効率性も測れるかと思います。

しかしその反面、トップの人望や能力による影響が大きく、矛盾していることが出てしまうと秩序が乱れルールを破る者が出てきてしまいます。

選手やスタッフからの反発や言い訳となり、ギクシャクするケースも出てしまうという-面もあります。

ボトムアップ

ボトムアップとは、現場の選手やスタッフの意見が尊重され、トップの方々では見えないような点も配慮できることで現場主体で決定しながらチームを改革していくような方針となります。

実際に現場で起こっていることを反映させられることは

トップダウンデモクラシー

トップダウンデモクラシーとは、トップダウンの良いところとボトムアップの良いところの両者を取り入れた形となります。

日頃現場にもいるGMが各スタッフや時には選手の意見としっかりと精査して、その情報を元に社長や会長といったトップにアイデアや現場の意見を提案して意思決定する形となります。

トップ層が一方的に決定するのではなく、しっかりと現場サイドの意見も吟味して判断していくので、大きなトラブルに発展することもなく、結果的に現場の意見が反映されなくとも、しっかりと検討した上で判断していることが伝わるため、良い形でまとまることも多いかと思います。

現場の納得も得られスピード感もあるため、良い形が取れるかと思います。

しかし、最終的にはトップが意思決定するので現場では納得できないことも十分にあるという点もあります。

以上3つの意思決定する構成を解説しました。

 1.トップダウン型

 2.ボトムアップ型

 3.トップダウンデモクラシー型

いずれも長所短所があり、どのスタイルがベストなのかはプロチームの組織によっても異なるし、社長やGMが変更されれば会社の方針も異なってきます。

プロチームでは経営者が急に変更になることもあるので、その時の状況によってチームが大きく発展する場合もあり、低迷してしまうケースもあります。

プロバスケチームのスタッフは専門家としてスペシャリストの集まり

プロチームは各々のスタッフがしっかりと役割分担されています。

選手12名に対してスタッフは5-8名程度が一般的で少数精鋭となります。

そのため各分野にスペシャリストとしてのメンバーが集結してチームを構成しています。

プロチームのスタッフになることは狭き門であり、しっかりと目的を持って行動して計画して行動しなければそのポジションを勝ち取ることは難しいわけです。

いかに学生のうちに行動し、チャンスを掴むか、そこに焦点を合わせる必要があります。

新卒でいきなり就職できることは稀で、何らかのコネクションがあることでしょう。

しかし、そのコネクションを入手するために行動しているのだと思います。

運やタイミングの要素もあります、本気でプロチームで活動したいのであれば行動あるのみだと思います。

この記事が参考になれば幸いです。

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