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【激務】プロチームでストレングスとトレーナーの兼務の難しさ

2020年3月24日

私はトレーナーとして長年プロチームの現場を経験してきた。

プロチームも多数経験している。

 

チームによっても方針や体制が異なり、トレーナーとストレングスを兼務する機会も多くあった。

現在のプロチームではトップリーグはストレングスの専門家が存在しているチームがほとんどである。

 

この辺りは同じバスケットボールのプロチームでもB1チームB2チームでは事情が異なってくる。

 

結論

現在の日本ではアスレティックトレーナーとストレングスコーチは兼務しない方が良い。

やはり全くの別分野であり、それぞれの専門性が存在する。

特に怪我人が出た場合、メディカルを優先する事になってしまう。

ただし学生やU15では兼務は十分可能と考えている。

 

一昔前のスタイルとして

Back Camera

 

15年〜20年前はチームにストレングスコーチがまだまだ存在していなかった。

そのため、トレーナーがトレーニング指導も含め、トータル的に行う形が一般的であった。

私もその中の1人である。

 

ストレングスがいなかった時代

現在ではストレングスコーチはどのチームもトップチームでは当たり前のように存在している。

しかしそれもまだまだここ10年くらいの話である。

 

それまではまだまだチームにストレングスコーチはいなく、トレーナーが兼務する事が当たり前であった。

 

ひと昔はそもそもチームのスタッフ自体少なかった
JUNK TRAINER

 

プロチーム1年目のスタッフ構成は、ヘッドコーチ、マネージャー、トレーナー、通訳の4名だけである。

現在のプロチームはヘッドコーチ、アシスタントコーチ、マネージャー、アシスタントマネージャー、トレーナー、アシスタントトレーナー、ストレングスコーチ、通訳とこのくらいは最低整っている。

 

8名で2倍の人材が関わっている。

 

時代の変化によって環境も整ってきている事はありがたい事である。

 

学生とプロの違い

学生も高校のチームと大学のチームでは状況も変わってくる。

高校チームの場合、全国大会に常連のチームも多数関わってきたが、ストレングスとトレーナーを兼務する事がほとんどであった。

一番は予算となってしまう。

チームにとっては兼務できる方の方が両方対応していただけるので、コスパがとても良いわけである。

 

高校のチームにはストレングスの方がニーズが高い

高校チームもメインはどちらかというとトレーニングメインとなるチームが多い。

なぜなら身体がまだできていないので、強化する事が先決となるからである。

 

場合によっては、大きな怪我をした選手が数人いる場合などリハビリをやってもらいたく、また怪我予防のスキルなどの指導をして欲しく依頼が来るケースもある。

 

高校チームでは月に数回から週1回程度の頻度でしか予算的に参加できないのが現状となり、全てにおいて厳しい。

高校生ではまだまだ病院や接骨院等でメディカルは補えるという感覚の方がコーチやチームの意識は強いのかと思います。

 

大学のチームはスタッフ育成も

大学チームでも兼務した経験がある。

やはりトレーニングメインではあるが、学生トレーナーの育成とケアも増えて来る。

大学チームの場合、学生コーチやマネージャー、トレーナーと高校よりも細分化された学生スタッフがいるため、学生スタッフの育成にも力を入れる形となる。

 

私が関わったチームでは予算も確保していただけたので週に2-3回は参加できたため、全てにおいて教育、育成はできる状態であったので良い環境となり、結果も出せた事は良い点となった。

 

毎日自分が関われないので学生スタッフを育成する
JUNK TRAINER

 

 

プロチームでは個人個人の対応に

プロチームになると、個人個人の対応となる。

パーソナルトレーナーのように個人でのトレーニング指導と、グループでの指導になるケースがある。

 

 

兼務しなければならない場合は、午前中に3グループに分けてトレーニングを行うようなスタイルとなる。

練習後はケアをしなければならない為、チームの環境によっては大きく異なるが、練習後のトレーニングは難しい点も多い。

 

ウォーミングアップは基本的にストレングスがいるチームはストレングスの担当となる。

練習前の時間は基本的にテーピングやストレッチなど選手の練習に向けての調整に時間がかかる為、ゆとりがある場合は練習前に個人的にチューブトレーニングやコンタクトトレーニングを実施する形となる。

 

練習後に一緒に体幹などを行なって、あとはメニューの指示を出し、選手の終わり次第ケアとなる。

 

プロはチームのメニューと個々のメニューを準備する、ケアも時間をかけて対応
JUNK TRAINER

 

 

学生とプロチームの違い

■高校チーム
・基礎トレーニングをメインに怪我をしない体づくり
・怪我を防ぐための予防スキルを習慣化
・高校生の起こりやすい怪我に対応

■大学チーム
・学生スタッフの育成・教育
・トレーニングで筋肥大で強い体づくり
・組織としての指導が中心となる

■プロチーム
・個人・小グループでの対応
・スキル・パフォーマンス向上なトレーニング
・シーズンを怪我をしない体づくり

 

役割分担として

バスケットボールのプロチームではB1リーグでは比較的スタッフは充実している。

B2になると兼務しなければならないチームが半数くらいは出て来る。

B3になると兼務が多くなって来る。

 

といった具合である。

やはりスタッフに予算をかける前に選手に予算を使い、良い選手を獲得するという方針のチームがほとんどである。

 

どんな業務でも共通する仕事があるかと思う。

この辺りはトラブルになる事も多いので、スタッフ間のコミュニケーションが必須となる。

人間性が大きく出る部分であるかと思う。

 

メモ

トレーナーの場合、選手の怪我からリハビリに移行して強化する際にストレングスと業務がかぶるシーンが出て来るので、どこまで担当するのかは連携する必要がある。

 

 

強化とケアのバランス

ストレングスとしてはトレーニングで追い込んで強化したい想いがある。

トレーナーとしては怪我や障害を悪化させないよう注意しながらケアを行う。

この辺りの部分が難しい。

 

どちらかを優先しなければならないかとなった場合、ケアを優先して怪我を防止しなければならない
JUNK TRAINER

追い込みたいストレングス

ストレングスとして関わった場合、やはり強化をしていかなければなないので、かなり追い込んでいくこととなる。

もちろん練習強度との兼ね合いもあるが、ストレングスとしてもやらなければならない事があるわけだ。

 

そのあたりの駆け引きというか遂行力というか、優先順位をつけてその時々のコンディションで対応しなければならない。

 

ケアを優先しなければならない現実

トレーナーとしての立場から練習で消耗した部位や怪我に対してはしっかりとケアをしていかなければならない。

Bリーグは60試合ある為、かなりの疲労となってしまう。

 

特に外国籍選手の出場時間はどうしても長くなってしまう為、障害や大きな怪我から離脱する可能性もある。

この辺りを考慮すると、時間の配分がケアを優先しなければならなくなる。

 

選手は不思議と練習後わざわざ待ってまでケアしようとはしない傾向である。

特に外国籍はとっとと帰ってしまう為、うまく捕まえてケアをしなければならない。

 

まぁ子供同然である。

 

とはいってもケアしないと痛いから練習できないといって来るわけで困ったものである。

 

時間の制約

ストレングスとトレーナーを兼務して最も大変になるのがタイムコントロールである。

労働時間はかなり長くなる。

 

問題なのが、ダブってしまう時間があるとどうしても選手のケアを優先しなければならない事。

 

これが学生チームであるとトレーニング優先で大丈夫である。

この辺りはリーグの性質、プロ選手で年齢層も幅広くなる事が影響する。

 

学生は同世代なので、扱いやすいが、プロ選手は各自に合わせなければならない部分も大きいので時間と目がかかる。

 

練習前のトレーニング

兼務するとどうしてもチームとして対応できる時間は午前中となる。

9時から3グループに分けて対応する形をとっていた。

 

いっぺんに見れる人数はプロだと4名くらいが限界である。

個人的には3名がベストであるが、なかなかうまくできない事は多い。

 

チームの環境、トレーニング環境、練習環境など様々な部分が影響してしまう。

 

体育館でできる事が一番であるが、なかなかそうもいかない環境のチームもある。

トレーニング用具の機材にしても影響して来るので、そのチームに合わせた形となる。

 

よってマニュアルが通用しない事が圧倒的に多く、その年で環境に合わせて対応できるかがポイントとなる。

その為自分の行うメニューは40分コースが基本で、プラスして20分程度のフリーの時間で調整する。

そうする事で3時間弱で終了できる形は取れる。

 

練習後はケアが中心に

トレーニング後は移動して体育館へ。だいたい車を運転しながら昼食を食べることとなる。

体育館に着いたら、次は練習の準備になる。

 

選手の練習前ケア、テーピング、ストレッチなどこなしていく。

そして練習のウォーミングアップを15分程度行なって、バトンタッチでチーム練習へ移行する。

 

ここまでずっと肉体労働である。

ようやくひと段落でき、モップを持つタイミングである。

けが人がいるとここからさらにパーソナルのリハビリが始まるわけで、ずっと動きっぱなしになっていく。

 

練習後は体幹なども行うが、リバウンドをしてタイミングを見てケアを優先的にしなければならない。

特に外国籍選手はすぐに帰る傾向である。ケアの順番を待ってまでケアするようなタイプは少ない。

 

選手のタイミングを見て順番も決めながら対応する事はなかなかテクニックがいる。

そのために電気系の物理療法を使用して時間を調整したりすることもある。

さすがに全員はできないため、1人に20〜30分くらいで4人くらい担当する流れが一般的である。

 

チームの方針

チームとしてはもちろんストレングスとトレーナーを別の人材で構成したいと思っている。

しかしチーム予算の関係は大きいと思う。

 

チームの予算

チーム編成に際し、選手の人件費とスタッフの人件費はチームにとって大きな存在となってしまう。

そのためどうしても優先順位をつけると人員を制限しなければならない事は仕方がない事である。

 

特にストレングスは毎日必要かというと、そうでなくても対応できる部分もある職業でもある。

特に遠征で、できる事はメインがウォーミングアップと出場時間が短い選手のコンディショニングになってしまう。

 

そのため、遠征に帯同できない、また帯同しても人件費や遠征費としての効率が悪いと考えてしまうチームもある。

この辺りは難しい問題である事が現実である。

 

兼務のメリット

兼務のメリットとしては、怪我をした際、怪我の予防策として、共通した内容で強化できるため、非常に効率が良い。

この辺りは自分が兼務したチームでは怪我の予防に関してとても良い結果となっている。

 

昨シーズンの茨城ロボッツでは毎日3時間チーム練習していても、日本人に関しては1名だけが膝の痛みで1試合できなかっただけで、練習自体は休む事なく、全員が全日程消化できた。

 

またプロチームで活動している経験としては長いトレーナーまたはストレングス活動をしているが、前十字靭帯やアキレス腱など手術をする大きな怪我は防ぐ事ができている。

1例だけ半月板で手術し無事復帰できている。

 

この辺りの怪我に対するトレーニングに関しては非常に効率よく行う事はできるかと思っている。

 

兼務のデメリット

一番は時間の制約ができてしまう事。

例えば練習後にトレーニングしたい選手に関しては基本的に対応できなくなってしまう。

ケア後であれば対応できるが、選手とのタイミングが取りづらい点は大きなマイナスポイントである。

 

もう1点として、選手が怪我をしている場合、追い込むことよりもケアに時間を優先しなければならないことである。

また、けが人が出た際に選手を病院に連れて行くことを優先しなければならないことである。

 

トレーナーは2名のチームも多いのでこの辺りは役割の分担ができる点ではあるが、そのあたりの対応、医師との連携にも影響を及ぼす場合が多い。

 

そのため、基本的にはストレングスとトレーナーは別とし兼務しない方が良い事である。

ただし、チームの状況では兼務し対応しなければならないので、そのスキルとして準備しておく事はプロチームの就職採用としてもまだまだニーズがある点ではある。

 

 

この記事が参考になれば幸いです

 

 

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