横浜は夏が本当に過酷で、移籍で最も心配なことが夏をどう乗り切るかという点であった...
今まで横浜で活動してきた方々には心から尊敬致します。
過酷な環境である夏の横浜ビー・コルセアーズ
2019-2020シーズンは7月よりチーム始動となった。
7月は例年にないくらい涼しい環境で本当に助かった。7月はまず高橋SCのトレーニングを行い、シューティングなどの個人練習で徐々に体を作り上げていく時期となる。
空調のない体育館
ビーコルが使用させていただいている体育館は空調がない。学生にとっては当たり前の環境であるが、プロチームではいたって珍しい環境となっている。
こればかりは変えられないので仕方がない。昨年シーズンの夏が暑すぎたことで今年は体育館を求めて夏の間は極力空調を求めて移動することとなった。
これはありがたいことであり、汗っかきの私としては嬉しい限りであった。
激涼の体育館も
なかなかパーフェクトな環境はないものの、空調のある体育館で練習することができるようになった。
しかし、バスケット経験者であればわかると思うが、体育館によって床の硬さは意外と異なってくる。
今回の空調のある体育館は通常よりもはるかに床が硬く、足へのダメージが1回の練習でかなりの選手に影響してしまった。
怪我のリスクを考えるとこの体育館ではやりたくないレベルであった。しかし、空調ない体育館だと汗で転倒して大怪我にも繋がるため、どちらも選択肢としては厳しい状況には変わりがない。
最終的に決めるのはヘッドコーチであるので、答えは明白である。涼しい環境で集中して練習できることが選ばれるわけである。
あとはトレーナーがしっかり対応しろということである。
選手はどっちもどっちでお互いメリットとデメリットがあるからねと。
結果としては空調がある体育館で行うこととなった。
ケアができない環境に
空調がある体育館で練習することは良いのだが、練習後のケアを行うスペースと場所がなくなる。
足へのダメージが増加しているのにケアとのバランスが大きく崩れてしまう。
本当に難しい環境であり、問題である。
この辺りは横浜の永遠の課題なのかもしれないな...と考える
ダメージあるのにケアできないのは困るし...
長期の合宿キャンプ
外国籍選手も合流し始めると、チームとしても組織的な練習に移行していく。
そのため2部練習でシステムの時間が必要になってくるため、キャンプとなった。
キャンプでは宿泊費用等かかるのでなかなかプロチームでも行えないが地域との協力やイベント実施等で実現でき本当に良い環境で練習を行えたと思っている。
トレーナーとしてはケアに追われてかなり疲弊はするが、涼しいだけでもありがたい限りである。
とは言っても9日間連続で合宿という経験は初めてである。体育館に10時間以上いるとさすがに病んでくるんです...
とは言っても日本代表での合宿や遠征よりは、はるかに楽であるのでストレス耐性はできているんだなと実感できた。
本当にやばい時はケア中に突然鼻血が出てきて、目が充血して、蕁麻疹出て、頭がカッカする兆候が出るので...笑
コンディションに影響
横浜に来て一夏過ごし、7月上旬が涼しかったので良かったが、全体を通して9月に入ってもまだまだ暑い日が続く環境である。
数々のプロチームを経験した私としては、この横浜の環境はシーズン入るにあたりかなりのダメージがあることが理解できた。
疲労との戦い
暑いとどうしても集中力が短くなってしまう。体から水分が出てしまい、補っても減少してしまうからだ。
そのことによって循環系の疲労が出てしまい、体の内部から疲労が起こってしまう。脱水症状を起こさせないために、こまめに短時間の休憩を取ってもなかなか改善できないし、練習の質が落ちてしまうことも事実である。
そうすると終盤になってくると集中力が確実に低下してしまうので、練習強度も上げきれない状況となる。
練習後の脱力感から個人練習にも影響してくる。
体重の減少
暑い環境で練習するとどうしても体重の減少となってしまう。発汗によって水分が不足となって脱水してしまう。
もちろん空調のある最高の設備での練習であっても脱水症状となってしまうのだ。
一つの目安としては練習後におしっこが出るようにすることが基準となる。
これはプロ選手であれば試合後にドーピングの検査を実施するので習得しなければならない対策にもなるので、選手は体調管理として練習後におしっこが出るようにすることは一つのポイントとなる。
疲労してくると食が細くなって、冷たい飲み物やあっさりした食べ物になりがちである。
人間の体はタンパク質で必要で身になっていくので、タンパク源は必須となる。脳を働かせることは、糖質が唯一のエネルギーとなるため、タンパク質だけでは効率が非常に悪い。
そのため、アスリートはオフ期間は別として糖質オフのダイエットをやりすぎると集中力が低下してしまい、非効率となるので覚えておいて欲しい。
このチームが強くなるには
横浜に来てとても感じたこととして、夏場の練習環境が成績にも影響しているのかと思っている。
シーズン開始でもまだまだ残暑が残っているので、それまでのコンディショニングの効率など含めて、とても良い状態とは言えないのは事実である。
とは言え、環境が変えられない現実があるので、今後どのように夏場の環境を改善できるのかは横浜にとって生命線となるように感じている。
過酷なトム練習
トムHCとは栃木で2年、日本代表で2年、横浜で1年一緒に行った。
とても走るメニューが多く、しかも練習時間が長い、そのためかなり疲労と障害が起こりやすい練習である。
横浜に来てどのように変化しているのかなという期待ももちろんあったが、いたって昔と同じ内容のベースの練習がメインであった。
さすが徹底して自分の信念を貫いている素晴らしいコーチであると実感した事と、全て練習の進行や起こりうる事も予想できることは私にとってはプラスとして働いたかと思っている。
トムHCは信念を曲げずに貫いた練習を行う。それに起こりうる怪我をいかに防ぐかが私の仕事であり、このチームに呼ばれた事だと思っている。
昔と今
大きく異なるのは選手の世代である。この差を今回は大きく感じることができたことは今後のプロ人生でとても役に立つと実感できた。
トムの練習はかなりハードである。そのため、これ以上やったら選手が壊れるよというタイミングでは練習強度を落とさなければならない。
本当にやばいタイミングで福田コーチと私でトムHCに説得して練習コントロールしていた。
この夏まず怪我していった選手は若手選手であった。ベテランの竹田選手やエド選手は怪我をせず26歳以下の選手が怪我をしていったのである。
不思議な現象が起こっているわけである。決してベテラン選手が手を抜いたり、練習を抜けたりしているわけではない。
一昔前の選手
一昔前の選手は現在30代の選手である。このような選手は学生時代、特に高校時代にかなりしごかれて強化されている選手たちである。
要するに根性論で理不尽の中練習し、練習時間も4時間くらい当たり前のような環境で育っている。
さらに30後半の選手は水すら飲めない状況下で練習している。
OFF日などなくほとんどなく部活に明け暮れていたと思う。だから合宿で連日練習しても早々壊れない体となっているのかと思う。
現代の選手
20代中頃くらいの選手はかなり科学的なことが導入されて来ている年代となっている。
インターハイでも冷房完備は当たり前になっている。体罰もかなり厳しくなっていて、1994年生まれが高校3年生の時に、全国区でも有名高校の先生が体罰で問題視されている。
大学でもかなり科学的な練習や休息も導入され、強豪大学でも練習時間は2時間以内、練習を3日行ったらOFF日があったりと非常に効率良くなっている。
本当に良い時代となっていると思っている。
この辺りの育った環境で大きく異なってくるのだと実感できた。
時代に合わせた指導方法
トムHCの練習時間は2時間半は当たり前、2時間以内で終わることの方が少ないくらいである。
そのため若い選手は長い練習・連続した練習を経験したことがない選手もいるわけである。
その練習でいすゞ、JOMO、栃木で優勝しているし香港、日本、カタールで代表チームのHCを務めている。
私にもよく言っていたのが、栃木の選手はできていたのに横浜の選手は弱いということ。
この辺りの時代の流れというか選手も進化しているということがよく理解できた点である。
決して現代の選手が弱いわけではなく、効率良く、科学的な練習やトレーニングを行なって進化している証しである。
自分自身もトムHCと一緒にできたからこそ分かったことであり、かなり話して理解してもらい、練習時間をコントロールしてくれた対応力にはやはり尊敬している。
本当に怪我の対応には大変であるが、常にいろいろな事を学ばせてもらえている。
すでに5月になって暑くなって来ている。今年の横浜がどのように対応していき、少しでも良い環境を選手に提供し、良いコンディションでシーズンに臨めるかは課題だと思う。
この記事が参考になれば幸いです
横浜ビー・コルセアーズにトレーナーとして移籍して良かった事7選
健康診断したいけど病院に行く時間がない方必見【おうちでドック】